もくじ

ニュースと活動報告

活動方針

組織について・入会案内

歯の健康情報と外部リンク

見出し

特集 歯を守る

Dental Health

子供のむし歯を放置することは児童虐待

WHOが歯科疾患の予防を世界に勧告する5つの理由

むし歯を予防して良いことは?(アメリカ歯科医師会の考え)

これまでのむし歯発生と予防の考え方

現在のむし歯発生の考え方

歯磨きで除去したい歯垢(プラーク)とは何か?

歯の表面のCaやリン酸が外に飛び出した穴がむし歯の始まり

歯垢(プラーク)が歯の表面につき脱灰した実際の例

むし歯の特徴

むし歯は歯を抜く大きな原因

むし歯は子供だけではなく一生続く病気です

むしろ、12歳以降で永久歯のむし歯が深刻化

無視できない高齢者の根面のむし歯

フッ化物の基礎知識

これだけは知っておきたいフッ化物の基礎知識

フロリデーション並びにフッ物利用を推奨している主な団体

世界のフッ化物の利用状況

特集 フロリデーション

Water Fluoridation

各種フッ化物応用方法の中でむし歯予防効果が最も高い

フロリデーションの利点は 平等な恩恵

水のフッ素濃度の知識(ppm=ピーピーエムとは 1万分の1%)

アメリカでは栄養素として供給

世界の水道水フロリデーションの現状

増加する世界のフッ化物利用

実施率の国家間格差がむし歯罹患率の格差に

世界で最も実施人口の多いアメリカの現状

ロサンゼルス浄水場のフッ化物添加装置

アメリカの州ごとの対人口実施率

人口の67%が実施しているオーストラリアの現状

シドニー浄水場のフッ化物添加装置

フロリデーションを実施しているオーストラリアの平和な都市

世界の主な水道水フロリデーション推奨団体

特集 集団フッ化物洗口

Mouth wash

週1回1分間のブブクブクうがいで予防

実施方法

洗口実施状況

フッ化物洗口の予防効果

洗口後、20歳での効果

洗口後、32歳での効果

北海道の事例

4、5歳だけ実施し、小学校で実施していない場合

洗口の経済効果

国が推進の通達(2003年1月14日)

学校実施での洗口の法的根拠

フッ化物洗口 北海道教育委員会の議会答弁

フッ化物洗口 国の見解

道内におけるフッ化物洗口導入までの具体例

北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例案の関連資料集

特集 フッ化物

Fluoride

むし歯予防のフッ素発見のきっかけ

歯のフッ素症(斑状歯)の基礎知識

フッ化物利用法と歯のフッ素症の関係は?

フッ化物の信頼レベル

特集 シーラント

Sealant

シーラントの効果

シーラントの注意事項

WHO/FDIによる評価

米国予防医療研究班によるむし歯予防のガイドライン(1993年)

CDC(アメリカ防疫予防センター)2004年声明

特集 甘味制限

Sugar and caries

現在のむし歯発生と砂糖の摂取制限によるむし歯予防の考え方

歯垢と砂糖とむし歯の関係

甘味制限への保健専門機関評価

米国予防医療研究班による評価 1993年

砂糖摂取が多い国でもむし歯が少ない。何故だ!!

国別・砂糖消費量とむし歯発生の関係

WHO報告:フッ化物利用は砂糖でのむし歯発生を抑える(2003年)

特集 代用甘味料

Sugar substitute

まずむし歯とは何か

遊離糖質(砂糖など)の摂取と歯垢PHの変化

代用甘味料とは

現在使われている代用甘味料の分類と種類

各甘味料についてちょっと説明しましょう。

代用甘味料だけの食品はむし歯の原因にならない

代用甘味料を使用した食品でも、砂糖などと同時に使われている場合にはむし歯の原因になる場合もあります

シュガーレス=糖類ゼロ、ノンカロリー=カロリーゼロかな?

歯に信頼のマーク

キシリトールについて

100%キシリトールでの予防には年間9-18万円の費用に

保健専門機関の評価

代用甘味料のまとめ

特集 歯磨き剤

フッ化物配合歯磨き剤

特集 空歯磨き

Tooth Brushing

日本では25年前から国民の90%は毎日歯磨きをしてきたのにむし歯が減らなかったのには理由があるのです

むし歯の国際比較をすると日本のみが減り方が少なかったのです

専門家も指摘する、空歯磨き

歯磨きの科学的文献による評価

空歯磨きへの保健専門機関の評価

新潟県燕市の事例報告

「空歯磨きでは、むし歯予防はできない」という科学的な真実に従う必要

でも、むし歯予防の目的ではなく他の目的で歯磨きは必要

歯磨きについての注意事項

特集 健康づくり

Health Promotion

健康づくりの考え方

新しい健康観

これまでの健康づくり

ヘルスプロモーションの推進

健康づくりと歯科保健

健康づくりの発祥

健康づくりの源流

下火となる健康づくり

健康づくりの夜明け

健康づくり国際会議の開催

特集 世界の報告書

World Report

国連食糧農業機関/世界保健機関の共同報告書

第28回 WHO総会事務総長報告

第22回 WHO総会決議文

アメリカ歯科医師会
フロリデーション(水道水フッ化物濃度適正化)の有効性と安全性に関するステートメント


アメリカ栄養士会の見解
健康に対するフッ化物の影響


カナダ歯科医師会
フロリデーション(水道水フッ化物濃度適正化)に関するステートメント


国際歯科連盟(FDI)
フロリデーション(水道水フッ化物濃度適正化)決議


CDC(アメリカ疫病予防センター)声明 2002

CDC(アメリカ疫病予防センター)声明 2006

特集 健康情報の批判的吟味

Critical Appraisal

健康情報の信頼性を評価するフローチャート

用語の説明

情報の読み取る力をアップする演習問題

海外のサイト

海外のサイト

国内のサイト

国内のサイト

リンクT 科学的に情報を読む力をつけるホームページ

リンクU むし歯予防を進める団体のホームページ

リンクV 熱血歯科医師のホームページ

リンクW 国が関係する機関のホームページ

リンクX 歯科医師会関係のホームページ

北海道子供の歯を守る会 公式ウェブサイト

世界保健機関(WHO)、国際歯科学会(FDI)と共に歩み
水道水フッ化物調整むし歯予防法(フロリデーション)、フッ化物洗口を推進する
北海道子供の歯を守る会公式ウェブサイトへようこそ!

このサイトでは、北海道子供の歯を守る会の
 ・ニュースと活動報告、今後の予定
 ・活動方針
 ・組織について、入会案内
 ・歯の健康情報と外部リンク
などを公開しております

歯の健康情報と外部リンク

こちらには、歯の健康情報と外部リンクがあります。

特集 歯を守る

子供のむし歯を放置することは児童虐待

昨今、小中学校でのいじめの問題が深刻化しています。また、家庭では児童虐待の問題が増加しています。虐待の種類には、身体的な虐待、ネグレクト(育児放棄・放置)、心理的虐待、性的虐待があり、その半分はネグレクト(育児放棄・放置)です。

親がむし歯の子供を治療もさせずに放置するなどもネグレクトや身体的な虐待に当たり、児童虐待に当たります。また、学校などの大人社会が「肉体的な苦痛を伴うむし歯を回避する手段である予防施策」を無視したり無関心であることは立派な児童虐待だと本会は考えています。

WHOが歯科疾患の予防を世界に勧告する5つの理由

@ 歯科疾患は医療サービスにとり高額な負担で、総医療費の5-10%を占め、工業国では心血管疾患や癌、骨粗しょう症の治療費を上回ります。

A 歯科疾患に起因する死亡率は低いが、自尊心や摂食能力、栄養、健康に影響を与えるため、小児および高齢者両方の生活の質を悪化させることがあります。


北海道某市の小学5年女子

B 現代社会では歯の重要な役割は外見を良くすることである:顔面は個人の社会との結びつきを決定するのに重要で、歯は会話や意思疎通に必須です。
C 口腔疾患はかなりの疼痛、不安および社会的機能障害と関連します。
D むし歯は歯の喪失の原因になり、栄養価のある食事摂取、食物摂取の楽しみ、社会生活の自信および生活の質を損ないます。


40代男性の歯周病

30代男性のむし歯

むし歯を予防して良いことは?(アメリカ歯科医師会の考え)

● 歯痛からの解放
● より積極的な自己イメージができる
● 歯の喪失の減少
● 歯の喪失が原因の噛み合わせ不良の減少
● 歯根治療の必要な歯の減少
● 入れ歯とブリッヂの必要性の減少
● 歯痛や歯科治療のために通学や通勤時間が失われる時間が減少する

これまでのむし歯発生と予防の考え方


これまで「むし歯発生の物語」として語りつがれてきたのは、「むし歯の発生は、砂糖の摂取によってできた歯垢の酸で弱い歯質が侵(脱灰)される」というものです。この3つの要因が重なって時間が経過するとむし歯が発生すると説明されてきました。

3つの輪を一つでも取り除けばむし歯は予防できると考え、日本ではむし歯予防に歯垢を除去する「歯磨き」が強調されてきました。それも「空歯磨き」と言われる歯磨き剤を使用しないというものです。しかし、世界的には、日本は「むし歯の多い国」でした。

ことあるごとに「歯を磨けば、むし歯にならない」というキャンペーン。「空歯磨き」で本当にむし歯を予防できたのでしょうか。  

現在のむし歯発生の考え方

現在は「むし歯とは、歯質の成分が溶け出た(脱灰)量が元に戻った(再石灰化)量を上回った時にできた穴」と単純明快に説明されるようになりました。


エナメル質の成分のCaや燐酸が歯垢中の酸により歯面から 飛び出し元に戻らなかった結果の穴がむし歯です。

歯磨きで除去したい歯垢(プラーク)とは何か?

歯垢とは砂糖や糖質をエネルギーとして繁殖した細菌と菌が作ったネバネバした物質(不溶性グルカン)が一緒になって歯の表面に付いた固まりです。

バイオフイルムという膜で覆われた中で乳酸を作り、歯を溶か(脱灰)します。歯垢1mgの中に細菌が5-10億いるといわれています。



ミュータンスの写真は日本歯科医師会ホームページから転載

歯の表面のCaやリン酸が外に飛び出した穴がむし歯の始まり

主にCaやリン酸でできている歯の表面をエナメル質といい、人体の中で一番硬い組織です。


エナメル質の弱点は酸に弱いことです。ある一定濃度(pH5.5)以上の酸に出会うとCaやリン酸が外に飛び出てしまいます。このことを「脱灰」といって、飛び出て穴のままになった状態がむし歯です。

しかし、「脱灰」は初期の段階では「フッ化物」や「中性の唾液」の働きにより修復が可能です。

歯垢(プラーク)が歯の表面につき脱灰した実際の例


厚い歯垢で埋まった前歯

染め出し液で赤く染め出された歯垢

歯ブラシで歯垢を取ると上の前歯の歯頸部が脱灰し白く見える

むし歯の特徴

むし歯は悪化する病気 (同一人の実際の例)

小学4年

小学5年

小学6年

中学1年
この写真は年1回の健診と指導時に撮っていたものを数年後に整理したものであり、偶然記録され残された貴重なものです。H大学A教室提供

むし歯の特徴は、治療しないで放置するとどんどん悪化する病気だということです。

上の写真は小学校4年から中1年までの3年間治療勧告にもかかわらず放置した様子です。このようにむし歯が進行すると悲惨な状態になるのです。しかも、一旦治療した歯は元に戻ることはなく治療を繰り返えす運命にあります。

むし歯は歯を抜く大きな原因

「むし歯」と「歯周病」と「歯折」で歯を抜く原因の86%を占めます。


2005年 8020財団 高齢者の根面のむし歯に破折
全国2001の歯科診療所の抜歯症例を調査
抜歯症例数9,350(患者数7,499名)
リンク:永久歯の抜歯原因調査報告書(8020推進財団)

むし歯は子供だけではなく一生続く病気です

これまで12歳のDMFT指数(一人当たりのむし歯経験歯数)でむし歯の増減を比較していました。

しかし、厚労省の実態調査では、左図のように生涯むし歯は発生し増加することを示しています。35歳で15本を越え増え続けています。また喪失する歯の数も増加します。
リンク:歯科疾患実態調:調査の結果(厚生労働省)

むしろ、12歳以降で永久歯のむし歯が深刻化

乳歯は2歳まで、永久歯は12歳までに口腔内に出てきます。出たての歯は歯の表面のエナメル質が完成していないので酸に侵されむし歯になりやすく、この時期に始まったむし歯が後に大きくなると考えられています。

近年、12歳以降の中学生、高校生の時期にむし歯が顕在化し、小学時代からの歯質強化が要求されます。WHOは「12歳でむし歯がないことは、生涯にわたってむし歯がないことを意味しない」と2003年テクニカルレポートで述べています。

無視できない高齢者の根面のむし歯


高齢者は歯茎の退縮によりエナメル質よりさらに酸に弱いセメント質が露出しやすくなります。高齢者に多い根面のむし歯は歯の破折を起こし、抜歯の原因になります。

歯茎が露出した高齢者の歯(アメリカ歯科医師会)

フッ化物の基礎知識


WHO/FDIが奨める むし歯予防法の順位
1位 水道水フッ化物添加(フロリデーション)
2位 学校・幼稚園でのフッ化物洗口・フッ化物塗布などの局所応用
3位 学校などでのシーラント
4位 砂糖の摂取制限
5位 歯磨き(フッ素入り歯磨き剤使用が条件)
WHO(世界保健機関) FDI(国際歯科連盟)

以前からむし歯予防法には、「歯磨き」「砂糖の摂取制限」「フッ化物の利用」の3つの対策が言われてきました。しかし、実際には、その効果に大きな差があります。WHOは「フッ化物利用」がむし歯を予防するのに最も科学的に証明された方法である」としています。

世界で最も信頼出来る健康情報を提供しているWHO(世界保健機関)が奨めるむし歯予防法の一位と二位はフッ化物の応用です。なぜ一位と二位なのか?それは効果と安全性が科学的証明されているからです。

これだけは知っておきたいフッ化物の基礎知識

●土壌や海水に多く存在
フッ化物はフッ化カルシウム(蛍石)や 氷晶石の形で地球上の土壌や海水に多く存在しています。

●全ての食べ物に存在
フッ素は海水、土に多く存在する元素であることから全ての飲食物に含まれています。私たちは全ての食べ物から1日1-2mg摂っています。


※1000g中1mg含まれることを1ppm(ピーピーエム)といいます。

●多く取っているのはお米・パンなど穀類といも類から約0.45mg


成人の1日所要量は3mg(米国全国科学アカデミー)

●海水にも人体にも多く存在する元素

自然界にある92の元素の中で、フッ素は多く存在する元素のひとつです。
人体に 体重1kg当たり約43mgのフッ素が存在しています。例えば、体重60kgの人では2.6gが骨や歯に含まれていることになります。
WHO/FAO、アメリカ、欧州連合(EU)はフッ素を栄養素としています。

●WHO/FAO、アメリカやEUで栄養素とされているフッ素
栄養素としている米国では年齢によってフッ化物を取る目安量や上限が決められています。

主要元素酸素、炭素、水素、窒素
準主要元素カルシウム、リン、マグネシウム、イオウ、ナトリウム、塩素
必須微量元素フッ素、鉄、珪素、亜鉛、クロム、銅、マンガン、セレン、ヨウ素、モリブデン

必須微量元素である条件
@ 生体に常に存在している。
A 生体の代謝系に影響を及ぼす。
B 欠乏する生体機能が低下し、適量投与によって、その低下した機能を回復させる。
という3点があげられます。 (大野誠編集 健康を保つ食生活改善「はつらつ家族」15頁)

●血液のフッ素濃度は骨を貯蔵庫として恒常性を保つ
フッ素は血液に恒常的に0.1 ppm (10万分の1%)、イオン濃度で 0.01-0.02ppm に保たれています。

血液の恒常性を保つ貯蔵庫は骨です。血液のフッ素濃度が上がれば血液から骨に蓄えられて恒常濃度まで、濃度を下げ恒常濃度を保ち、血液のフッ素濃度が下がれば、恒常濃度まで骨から血液へフッ素が溶け出し恒常性を保ちます。

フッ素を栄養素としている専門機関や学会
 WHO(世界保健機関)
 FAO(国連の食糧農業機構)
 国際栄養学会
 米国全国科学アカデミー
 FAD(米国食品医薬品局)
 英国王立医学協会
 米国栄養士会

●フッ化物の働き
フッ化物の役割で、歯の表面からフッ素が取り込まれ、歯を溶かす酸に抵抗できる酸に強い歯が作られます。初期の段階のむし歯は一度溶け出たカルシウム等が再度沈着(再石灰化)することによって 元に戻ることがあり、フッ素はこの再石灰化の働きを盛んに促進します。また、フッ素はむし歯菌の働きを抑制(抗菌作用、抗酵素作用)します。



フッ化物は強力に再石灰化を促進する

●信頼できる保健専門機関の科学的評価
フッ化物の利用は多くの保健専門機関の評価を受けておりますので一部紹介します。

米国予防医療研究班によるむし歯予防のガイドライン

予防方法証拠の質勧告の強さ
フッ化物*全身応用フロリデーションU-1
無作為ではない比較対照臨床試験による根拠
A
根拠十分
利用を支持する
フッ化物錠剤(6-16歳児)T
適切に実施された無作為に割り当てられた比較対照臨床試験による根拠
局所応用フッ化物洗口TA
根拠十分
利用を支持する
フッ化物配合歯磨剤
フッ化物歯面塗布

米国・予防医療研究班によるむし歯予防のガイドラインによっても、フッ化物は「適切に実施された無作為に割り当てられた比較対照試験による根拠」という最高レベルTという根拠十分な証拠があり、予防法の利用勧告は「Aレベル」で支持されています。

●WHO(世界保健機関) 2003年
食事とむし歯の関連について科学的な根拠の強さを2003年にWHOは発表し、むし歯の減少ではフッ化物利用のみが最高評価の「確実な根拠」となっています。今、話題のキシリトールは第3段階の評価をされています。

根拠むし歯の減少
確実な根拠フッ化物利用(局所および全身)
おそらく確実な根拠硬いチーズ
砂糖を含くまないガム
可能性がある根拠キシリトール、牛乳、食物繊維
不十分な根拠新鮮な果物

●WHOの勧告 2003年
2003年フッ化物利用に関してWHOは加盟各国に以下の勧告をしています。

「現在栄養に関する過度期にある多くの国は、適切にフッ化物を利用していない。例えば、安価な歯磨剤や水、食塩、牛乳などの適切な方法を介して十分なフッ化物利用を促進すべきである。各々の国に応じたフッ化物利用の計画と実行は、政府保健当局の責任である。また、その他地域で選択できるフッ化物利用計画の実施と結果の研究を奨励すべきである。」  
※WHOテクニカルレポートシリーズ916 食事、栄養および慢性疾患予防

フロリデーション並びにフッ物利用を推奨している主な団体

国際機関WHO (世界保健機関),FDI (国際歯科連盟),ORCA (欧州う蝕研究協議会),IADR (国際歯学研究学会)
アメリカ公衆衛生局,国立衛生研究所,防疫予防センター,国立癌研究所,環境庁,食品医薬品局,医師会,歯科医師会,小児科学会,公衆衛生学会,栄養士会,歯科衛生士会,看護協会,水道協会,他
イギリス保健省,王立医学協会,医師会,歯科医師会
カナダ厚生省,医師会,歯科医師会
オーストラリア歯科医師会
アイルランド歯科医師会
ニュージーランド歯科医師会
日本厚生労働省,日本歯科医師会,日本歯科医学会,口腔衛生学会,北海道歯科医師会

世界のフッ化物の利用状況


WHOの発表では、1990年から2000年の10年間で、種々のフッ化物の応用法が全世界で急速に普及しています。

特集 フロリデーション

水道水フロリデーション(Water Fluoridation)とは、むし歯予防のために水道水のフッ化物濃度を適正濃度にして供給する方法です。WHOが第1位に推奨しているむし歯予防法です。

各種フッ化物応用方法の中でむし歯予防効果が最も高い

1986年のWHOの発表では50-65%の乳歯と永久歯のむし歯の発生を予防します。

応用方法予防率
フロリデーション乳歯 40〜50%
永久歯 50-60%
フッ化物洗口永久歯 20-50%
フッ化物配合歯磨剤乳歯 40%(管理下の使用)
永久歯 20-30%
フッ化物歯面塗布乳歯 40-50%(定期的塗布群)
永久歯 20-30%

フロリデーションの利点は 平等な恩恵

水道水のフロリデーションの利点は、どのような悪い環境の子どもや大人も、身体に障害のある人も高齢者もだれもができる小さな努力で平等にむし歯を予防できる点です。

アメリカでは水道水のフロリデーションは20世紀における公衆衛生の10大成功事業の一つと評価されています。


CDC's Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR) April 02, 1999 / 48(12); 241-243
http://www.cdc.gov/phtn/tenachievements/default.htm

水のフッ素濃度の知識(ppm=ピーピーエムとは 1万分の1%)

● 海水のフッ素イオン濃度 1.32±0.02ppm
● 石狩川のフッ素イオン濃度 0.1ppm以下
● 現在、日本で供給されている水道水の中のフッ素イオン濃度は0.08-0.8ppm
● アメリカでは水道水のフロリデーションは調整フッ素イオン濃度は0.7-1.2ppm
● 水道水フロリデーションのフッ素イオン濃度0.7-1.2ppmは、むし歯を予防し、かつ審美的に困る段階の中程度以上の歯のフッ素症が発現しない濃度です。

アメリカでは栄養素として供給

フッ化物を栄養素としているアメリカでは食事摂取基準が決められており、水道水のフッ素濃度0.7-1.2ppmに調整して必要な栄養素としてフッ化物を供給しています。

フッ化物の食事摂取基準

年齢目安量上限量
1〜3歳0.7mg/1日1.3mg/1日
4〜8歳1.0mg/1日2.2mg/1日
9〜13歳2.0mg/1日10.0mg/1日

(1997年アメリカ医学研究所の食物栄養局)
※目安量:中等度以上の歯のフッ素症を発現することなく、むし歯を減らすために必要な1日の摂取量。
※目安摂取量=0.05mg/kg/day

9-13歳の上限量は10mgと突出していますが、これは全ての歯の歯冠エナメル質が完成し、歯のフッ素症が発現する時期を過ぎているためです。次に注意する慢性症状は「骨のフッ素症」ですが、1日10mg以下の摂取では発現しないことを保証しています。

世界の水道水フロリデーションの現状

その歴史は、今から60年以上前の1945年にアメリカのデトロイトの近くのグランドラビッドで開始しました。現在、水道水のフロリデーションを実施している国は61ヶ国で、約4億500万人と普及しています。


世界で61ヶ国で、約4億500万人が実施(2004年イギリスフロリデーション協会)

アジアで多いのは、マレーシア1,584万人、香港671万人、韓国537万人、フィリッピン500万人、ベトナム440万人、シンガポール410万人です。

増加する世界のフッ化物利用

実施率の国家間格差がむし歯罹患率の格差に

世界で最も実施人口の多いアメリカの現状

2005年5月現在、アメリカの人口100万人以上の全都市、50大都市中46都市と人口の約2/3が水道水フロリデーションを実施してます。1945年以来60年以上の歴史があります。

2010年までに総人口の75%が実施という目標があります。


ボストンの松坂、シアトルのイチロー、ニューヨークの松井は水道水フロリデーションで守られています。

50万人以上の実施都市

デトロイト(1967)ボルチモアインディアナポリスコロンバス
サンフランシスコメンフィスミルウォーキーボストン
ナッシュビルワシントンシアトルデンバー
クリーブランドオースチンニューオリンズオクラホマ
フォートワースカンザスロングビーチシャルロッテ
セントルイスオークランドアトランタサクラメント
バージニアビーチミネアポリスアルバカーキータルサ
ビッツバーグマイアミシンシナティオマハ
フレスノトレドバッファローエルバン(天然)
ジャクソンビル(天然)

人口100万人以上の実施都市

ニューヨーク(1965)ロサンゼルス(1999)シカゴ(1956)ヒューストン(1982)
フィラデルフィア(1954)サンディエゴ(不明)ダラス(1966)サンアントニオ(2002)
フェニックス(2003)

赤字・・・100万人以上の大都市と開始年
黒字・・・50-100万人のフロリデーション実施都市
青字・・・天然にフッ化物濃度が適正な都市

ロサンゼルス浄水場のフッ化物添加装置


(東北大 田浦先生提供)

濃度はコンピューター制御管理されており、水道水のフッ素イオン濃度を0.01-0.02ppmの精度で調節しています。 

アメリカの州ごとの対人口実施率

アメリカ歯科医師会 2005年

州名対人口実施割合州名対人口実施割合州名対人口実施割合
Alabama82.0%Kentucky99.6%North Dakota95.6%
Alaska57.3%Louisiana45.9%Ohio90.6%
Arizona55.4%Maine74.4%Oklahoma74.6%
Arkansas62.1%Maryland93.7%Oregon19.4%
California27.6%Massachusetts60.7%Pennsylvania54.0%
Colorado75.4%Michigan86.2%Rhode Island89.2%
Connecticut87.6%Minnesota98.4%South Carolina91.4%
Delaware80.9%Mississippi46.1%South Dakota78.0%
District of Columbia100.0%Missouri80.9%Tennessee96.0%
Florida67.4%Montana23.8%Texas65.7%
Georgia93.0%Nebraska69.5%Utah2.2%
Hawaii8.6%Nevada69.4%Vermont55.7%
Idaho47.5%New Hampshire42.7%Virginia93.8%
Illinois99.1%New Jersey20.8%Washington58.9%
Indiana95.5%New Mexico76.6%West Virginia91.5%
Iowa91.3%New York72.9%Wisconsin89.4%
Kansas62.1%North Carolina84.6%Wyoming36.7%

* 51州中22州で人口の80%以上が実施しています。

人口の67%が実施しているオーストラリアの現状

オーストラリアでも、むし歯予防のために水道水のフッ化物濃度を適正に調整して市民に供給しています。

1953年以来、50年以上の歴史があり国民の67%が実施しています。

シドニー浄水場のフッ化物添加装置


(瀧口 徹先生写真提供)

濃度はコンピューター制御管理されており、水道水のフッ素イオン濃度を0.01-0.02ppmの精度で調節しています。

フロリデーションを実施しているオーストラリアの平和な都市

フロリデーションの供されている都市、シドニー
シドニーの人口は415万人

フロリデーションにもフロリデーションは供されている
オペラハウス

キャンベラだって、もちろんフロリデーションを供されている
首都キャンベラ・32万人にある白亜の国会議事堂

キャンベラだって、もちろんフロリデーションを供されている
キュャンベラ国家議事堂と4km手前は荘厳な戦争記念館

メルボルンだって、もちろんフロリデーションを供されている
メルボルン市・349万人

メルボルンだって、もちろんフロリデーションを供されている
メルボルンの市役所

パースだって、もちろんフロリデーションを供されている
パース・140万人のビル街

アデレードだって、もちろんフロリデーションを供されている
アデレード・162万人の公園

*オーストラリアの歴史については、東京医科歯科大学川口教授が詳しく山下先生のホームページに書かれています。

世界の主な水道水フロリデーション推奨団体

世界保健機構(WHO) 3回日本に実施勧告
国際歯科連盟(FDI)

アメリカ小児科学会アメリカ小児歯科学会デルタ歯科計画協会アメリカ科学振興協会(AAAS)
欧州むし歯研究学会(ORCA)アメリカ歯学研究会(AADR)アメリカ歯科大学協会アメリカ歯科公衆衛生学会(AAPHD)
英国保健省アメリカ歯学協会アメリカ健康保険協会アメリカ科学健康会議
アメリカ歯科助手会国際歯学研究会(IADR)アメリカ歯科医師会(ADA)Mayoクリニック
アメリカ歯科衛生士会(ADHA)アメリカ国立科学アカデミーアメリカ食品栄養局アメリカ栄養士会
アメリカ栄養研究所アメリカ臨床栄養協会食品医薬品局(FDA) アメリカ労働総同盟産業別組合会議アメリカ病院協
アメリカ菓子製造協会アメリカ看護婦協会アメリカ国立保健評議会アメリカ整骨療法師会
アメリカ父母と教師会議アメリカ薬剤師会アメリカ国立歯科衛生研究所(NIDCR)アメリカ国立研究評議会(NRC)
全米保健機構(PAHO)アメリカ公共福祉協会アメリカ旅行者保険組合アメリカ学校保健協会
アメリカ農業省アメリカ小児歯科学協会アメリカ国防省アメリカ獣医師会
アメリカ環境庁(EPA) アメリカ水道事業協会(AWW)アメリカ青年商工会議所アメリカ保健所学会
アメリカ公衆衛生局(PHS) アメリカ州・広域地方歯科管理官会議疫病予防センター(CDC) アメリカ州・広域地方保健官会議
英国歯科医師会保健資源サービス局英国水道水フッ素化協会インディアン保健局
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特集 集団フッ化物洗口

ここではWHOの推奨するむし歯予防第2位の集団フッ化物洗口についてご紹介します。

週1回1分間のブブクブクうがいで予防

フッ化物洗口法によるむし歯予防は12歳のDMFT(虫歯の経験した歯の本数についての指数)を下げる目的が最終目標ではありません。歯質強化によって、成人になっても継続するむし歯予防効果を目的としています。歯質の強化によってむし歯の重症化も防げます。

実施方法


洗口法には、毎日法(フッ素イオン濃度で225ppm)と週1回法(フッ素イオン濃度で900ppm)があります。薬事法では1万ppm(1%)未満の濃度の溶液は普通薬です。

週1回でも、30秒-1分間ブクブクするだけで、永久歯のむし歯を30〜80%予防します。長年継続する必要があることから、継続が容易な集団での応用が優れています。


必要な器材は、500ml入りポリビンに入ったフッ化物溶液とコップ(紙コップが便利)と1分間、時間を計るものです。

実施には、年間1人当たり200-400円で済みます。

洗口の順序をお知らせします。


まず、ポリ容器からフッ化物洗口液を入れます。
2押しで幼稚園児や学童が必要な量5-7ml、
3押しで中学生や大人が必要な量10mlが出ます。


洗口液を口に含み、ほっぺたをふくらませて下を向いて、奥歯の歯に洗口液が行き渡るように元気よく、ブクブクうがい(洗口)をします。時間は30秒〜1分間です。


洗口後コップに吐き出します。
必要ならティシュペーパーで口のまわりを拭きます。


吐き出した洗口液後はバケツに捨て流しに水とともに流します。
教室に洗口場が特にある必要はありません。

最後に器具を片付けます。
洗口後30分間は、うがいや飲食物をとらないようにします。

洗口実施状況

世界では、2000年WHOの発表では1億人が実施しています。


全国では、2006年3月の全国調査では、保育所・幼稚園・小中学校など集団でのフッ素洗口を実施しているのは5133施設で約49万人が実施しています。4年前に比較すると20万人も増加しています。


北海道におけるフッ化物洗口法の実施状況は2006年全国調査では、143施設8,140人です。

北海道内の実施状況の詳細

保育所76施設2,223人
幼稚園45施設3,533人
小学校21施設2,374人
中学校1施設10人
合計143施設8,140人

フッ化物洗口の予防効果


都道府県比較
〈出典〉日本歯科医師会・地域保健委員会調べ(2002年)

2002年の調査では、12歳児(中学1年生) 一人平均むし歯経験歯数(DMFT)を都道府県別に比較すると、学童の52%がフッ化物洗口を実施している新潟県が最も低く、さらにフッ化物洗口実施市町村だけみる0.92本と北海道の4分の1でした。

北海道は全国で2番目に多いことが分かります。


市町村比較

新潟県では、2003年に中学1年(12歳児)の一人平均むし歯数を比較するとフッ化物洗口実施と未実施市町村では倍の違いがありました。

洗口後、20歳での効果


厚生労働省・歯科疾患実態調査 1992年

20歳で、厚生労働省 歯科疾患実態調査の全国平均と比較すると、保育・幼稚園・小学校でフッ素洗口をしていた新潟県牧地域は、未実施者のむし歯数は半分以下でした。

フッ化物洗口を止めた後も効果が持続していることが分かりした。

洗口後、32歳での効果

保育園、小学校、中学校でフッ化物洗口を実施した新潟県弥彦村出身者の32歳時点での一人当たりのむし歯数は全国平均の約1/3でした。

フッ化物洗口を止めた後も効果が持続していることが分かりました。

北海道の事例


旧穂別町・フッ化物洗口でむし歯予防効果大

現在、鵡川町は旧穂別町と旧鵡川町とが合併した町です。

1987年から19年間、旧穂別町はむし歯予防のために4、5歳児から小学校卒業まで週1回1分間のフッ化物洗口を全町で実施してきました。そこで北海道保健福祉部が、小学生のむし歯の状態を旧鵡川町と比較してみたところ、図のように各学年とも極端に差があることが解りました。

ちなみに旧鵡川町の3.5本は北海道の他の地域と比べ特に多いというわけではなく北海道の平均3.4本とほぼ同じです。

4、5歳だけ実施し、小学校で実施していない場合

フッ化物洗口によるむし歯予防は一時的にむし歯を予防するのではありません。フッ素による歯質強化によって、その後もむし歯予防効果が持続し、むし歯の重症化も防げます。

洗口の経済効果

新潟県は1990年の一人あたりの歯科治療費をフッ化物洗口経験別に比較しました。

特に、洗口経験年数6年以上の 29市町村と洗口実施経験なしの37市町村を比較すると、年間4,556円も違うことが分かりました。

一人あたりフッ化物洗口実施年間費用200-400円と比較すると経済効果は10倍以上でした。


危険率
* 5%以下
** 1%以下

国が推進の通達(2003年1月14日)

2003.1.14に「各都道府県知事」宛に厚生労働省医政局長・健康局長連名でフッ化物洗口ガイドラインを送付し普及を促しています。


国がガイドラインを出す意味は、「ガイドラインに沿って実施するならば効果と安全性は国が保証する。何か不都合があったら国が責任を取る」という信頼性が高い方法です。

それを受けて実施施設が増加しています。
通達全文はこちらです。


国の「フッ化物洗口ガイドライン」が収載された「う蝕予防のためのフッ化物洗口実施マニュアル」です。
●編集委員 12名
●事例報告者 5名
●厚生労働科学研究班研究員 35名
●顧問 3名

●内容
 ・はじめに
 ・対象者
 ・フッ化物洗口の実施方法
 ・関連事項
  う蝕予防のためのフッ化物洗口実施マニュアル

(フッ化物応用研究会編 発行所:社会保険研究所)2,000円+税

学校実施での洗口の法的根拠

昭和60年の国の見解は、

@学校の場でのフッ化物洗口は、学校保健法第2条に規程する学校安全計画に位置付けられ、学校における保健管理の一環として実施されている。

A劇薬から劇薬でない医薬品を薬として製造するには、薬事法に基づく製造業の許可が必要である。しかし、学校の養護教諭がフッ化ナトリウムを含有する医薬品をその使用方法に従い、溶解、希釈する行為は、薬事法及び薬剤師法に抵触するものではない。

フッ化物洗口 北海道教育委員会の議会答弁

H18年6月19日 北海道議会・文教委員会質疑・角谷議員質問答弁記録より抜粋

質 問
 学校におけるフッ化物洗口について

 まず、フッ化物洗口等のフッ化物を用いたむし歯予防法について、政府は安全性に問題はなく、歯磨き、甘味制限と併せて最適なむし歯予防法と見解を示しているところでありますが、道教委では、政府や専門団体の見解と異なる考えを、お持ちなのかお伺いいたします。

答 弁
 学校におけるフッ化物洗口についてでございますが、道教委としましては、安全性について問題はないとしております昭和60年の内閣答弁書や、4歳児から14歳までの期間に実施することがむし歯予防対策として大きな効果をもたらすこととしております厚生労働省のガイドラインを参考としまして、フッ化物洗口について指導しているところでありまして、今後とも児童生徒の歯の健康を保つことができるよう、知事部局と十分連携しまして、学校や市町村教育委員会に対して指導してまいります。

質 問
 フッ化物洗口について
 
 次に、この道教委の考え方が原因となりまして、旧穂別町において長年続けられた、そしてまた、顕著な効果をあげてきたフッ化物洗口の中止が検討されるなど、全道のフッ化物洗口実施施設への影響も極めて大きいことから、このような考え方を改めるべきではないかと考えますが、いかがなものでしょうか。

答 弁
 フッ化物洗口についてでございますが、現在、厚生労働省のガイドラインを参考といたしまして、学校や市町村の教育委員会に対しまして指導しているところでございますが、フッ化物洗口の実施につきましては、学校保健法2条に規定する学校保健安全計画に位置付けられ、学校における保健管理の一環として実施されるものであることにつきましての周知がこれまで不十分でありましたことから、これらの点が正しく伝わるよう徹底してまいります。

フッ化物洗口 国の見解

「フッ化物洗口ガイドライン」2003年1月14日
医政発第0114002号
健発第0114006号

平成15年1月14日
都道府県知事 殿

厚生労働省医政局長
厚生労働省健康局長

フッ化物洗口ガイドラインについて

 健康日本21における歯科保健目標を達成するために有効な手段として、フッ化物の応用は重要である。
 我が国における有効かつ安全なフッ化物応用法を確立するために、平成12年から厚生労働科学研究事業として、フッ化物の効果的な応用法と安全性の確保についての検討が行われたところであるが、この度、本研究事業において、「フッ化物洗口実施要領」 を取りまとめたところである。
 ついては、この研究事業の結果に基づき、8020運動の推進や国民に対する歯科保健情報の提供の観点から、従来のフッ化物歯面塗布法に加え、より効果的なフッ化物洗口法の普及を図るため、「フッ化物洗ロガイドライン」を別紙の通り定めたので、貴職におかれては、本ガイドラインの趣旨を踏まえ、貴管下保健所設置市、特別区、関係団体等に対して周知方お願いいたしたい。

別紙「フッ化物洗ロガイドライン」
1.はじめに
 フッ化物応用によるう蝕予防の有効性と安全性は、すでに国内外の多くの研究により示されており、口腔保健向上のためフッ化物の応用は、重要な役割を果たしている。
 わが国においては、世界保健機関(WHO)等の勧告に従って、歯科診療施設等で行うフッ化物歯面塗布法、学校等での公衆衛生的応用法や家庭で行う自己応用法であるフッ化物洗口法というフッ化物応用によるう蝕予防が行われてきた。特に、1970年代からフッ化物洗口を実施している学校施設での児童生徒のう蝕予防に顕著な効果の実績を示し、各自治体の歯科保健施策の一環として、その普及がなされてきた。
 そのメカニズムに関しても、近年、臨床的う蝕の前駆状態である歯の表面の脱灰に対して、フッ化物イオンが再石灰化を促進する有用な手段であることが明らかになっており、う蝕予防におけるフッ化物の役割が改めて注目されている。
 こうした中、平成11年に日本歯科医学会が「フッ化物応用についての総合的な見解」をまとめたことを受け、平成12年度から開始した厚生労働科学研究において、わが国におけるフッ化物の効果的な応用法と安全性の確保についての研究(「歯科疾患の予防技術・治療評価に関するフッ化物応用の総合的研究」 )が行われている。
 さらに、第3次国民健康づくり運動である「21 世紀における国民健康づくり運動」(健康日本21)においても歯科保健の「8020運動」がとりあげられ、2010年までの目標値が掲げられている。これらの目標値達成のための具体的方策として、フッ化物の利用が欠かせないことから、EBM(Evidence Based Medicine)の手法に基づいたフッ化物利用について、広く周知することは喫緊の課題となっている。
 このような現状に照らし、従来のフッ化物歯面塗布法に加え、より効果的なフッ化物洗口法の普及を図ることは、「8020」の達成の可能性を飛躍的に高め、国民の口腔保健の向上に大きく寄与できると考えられ、上記の厚生労働科学研究の結果を踏まえ、最新の研究成果を盛り込んだフッ化物洗口について、その具体的な方法を指針の形として定め、歯科臨床や公衆衛生、地域における歯科保健医療関係者に広く周知することとした。

2.対象者
 フッ化物洗口法は、とくに、4歳児から14歳までの期間に実施することがう蝕予防対策として最も大きな効果をもたらすことが示されている。また、成人の歯頸部う蝕や根面う蝕の予防にも効果があることが示されている。
1) 対象年齢
 4歳から成人、老人まで広く適用される。特に、4歳(幼稚園児)から開始し、14歳(中学生)まで継続することが望ましい。その後の年齢においてもフッ化物は生涯にわたって歯に作用させることが効果的である。

2) う蝕の発生リスクの高い児(者)への対応
 修復処置した歯のう蝕再発防止や歯列矯正装置装着児の口腔衛生管理など、う蝕の発生リスクの高まった人への利用も効果的である。

3. フッ化物洗口の実施方法
 フッ化物洗口法は、自らでケアするという点では自己応用法(セルフ・ケア)であるが、その高いう蝕予防効果や安全性、さらに高い費用便益率 (Cost-Benefit Ratio)等、優れた公衆衛生的特性を示しでいる。特に、地域単位で保育所・幼稚園や小・中学校で集団応用された場会は、公衆衛生特性の高い方法である。なお、集団応用の利点として、保健活動支援プログラムの一環として行うことで長期実施が確保される。

1) 器材の準備、洗口剤の調製
 施設での集団応用では、学校歯科医等の指導のもと、効果と安全性を確保して実施されなければならない。
 家庭において実施する場合は、かかりつけ歯科医の指導・処方を受けた後、薬局にて洗口剤の交付を受け、用法・用量に従い洗口を行う。

2) 洗口練習
 フッ化物洗口法の実施に際しては、事前に水で練習させ、飲み込まずに吐き出さとることが可能になってから開始する。

3) 洗口の手順
 洗口を実施する場合は、施設職員等の監督の下で行い、5-10mlの洗口液で約30秒間洗口(ブクブクうがい)する。洗口中は、座って下を向いた姿勢で行い口腔内のすべでの歯にまんべんなく洗口液がゆきわたるように行う。吐き出した洗口液は、そのまま排水口に流してよい。

4) 洗口後の注意
 洗口後30分間は、うがいや飲食物をとらないようにする。また、集団応用では、調整した洗口液(ポリタンクや分注ポンプ)の残りは、実施のたびに廃棄する。家庭用専用瓶では、一人あたり約1 か月間の洗口ができる分量であり、冷暗所に保存する。

4. 関連事項

1) フッ化物洗口法と他のフッ化物応用との組み合わせ
 フッ化物洗口法と他の局所応用法を組み合わせて実施しても、フッ化物の過剰摂取になることはない。すなわちフッ化物洗口とフッ化物配合歯磨剤及びフッ化物歯面塗布を併用しても、 特に問題はない。

2) 薬剤管理上の注意
 集団応用の場合の薬剤管理は、歯科医師の指導のもと、歯科医師あるいは薬剤師が薬剤の処方、調剤、計量を行い、施設において厳重に管理する。
 家庭で実施する場合は、歯科医師の指示のもと、保護者が薬剤を管理する。

3) インフォームド・コンセント
 フッ化物洗口を実施する場合には、本人あるいは保護者に対して、具体的方法、期待される効果、安全性について十分に説明した後、同意を得て行う。

4) フッ化物洗口の安主性

1 フッ化物洗口液の誤飲あるいは口腔内残留量と安全性
 本法は、飲用してう蝕予防効果を期待する全身応用ではないが、たとえ誤って全量飲み込んだ場合でもただちに健康被害が発生することはないと考えられている方表であり、急性中毒と慢性中毒試験成績の両面からも理諭上の安全性が確保されている。
@急性中毒
 通常の方法であれば、急性中毒の心配はない。
A慢性中毒
 過量摂取によるフッ化物の慢性中毒には、歯と骨のフッ素症がある。歯のフッ素症は、顎骨の中で歯が形成される時期に、長期間継続して過量のフッ化物が摂取されたときに発現する。フッ化物洗口を開始する時期が4歳であっても、永久歯の歯冠Iは、ほぼできあがっており、口腔内の残留量が微量であるため、歯のフッ素症は発現しない。骨のフッ素症は、8ppm 以上の飲料水を20年以上飲み続けた場合に生じる症状であるので、フッ化物洗口のような微量な口腔内残留量の局所応用では発現することはない。

2 有病者に対するフッ化物洗口
 フッ化物洗口は、うがいが適切に行われる限り、身体が弱い人や障害をもっている人が特にフッ化物の影響を受けやすいということはない。腎疾患の人にも、う蝕予防として奨められる方法である。また、アレルギーの原因となることもない。
骨折、ガン、神経系および遺伝系の疾患との関連などは、水道水フッ化物添加(Fluoridation) 地域のデータを基にした疫学調査等によって否定されている。

5. 「う蝕予防のためのフッ化物洗口実施マニユアル」
 フッ化物応用に関する、より詳細な情報については、厚生労働科学研究所「フッ化物応用に関する総合的研究」班が作成した「う蝕予防のためのフッ化物洗口実施マニュアル」を参照されたい。

道内におけるフッ化物洗口導入までの具体例

伊達市、登別市、千歳市におけるフッ化物洗口導入までの経過についての資料を掲載いたします。

伊達市フッ素洗口導入までの経過について

昭和54年3月7日伊達市学校保健会成立総会
    9月18日歯科医と学校保健担当者との合同研修会の開催
・内容/「学校現場における歯磨き指導等について」
・フッ素洗口法について、初めて、学校関係者に「試験的に何校か実施してはどうか」と提案
昭和55年9月14日歯科部会の開催
・議題/フッ素洗口について
・実施する方向で資料収集を行うことを決定し、資料収集を開始する。
昭和56年7月17日室蘭歯科医師会第7回理事会
・伊達市学校保健会が実施を予定していたフッ素洗口について了承。
    10月15日歯科部会の開催
・議題/フッ素洗口について
・種々の意見が出されるが、中でも毒性についての意見が多数出される。
・フッ素の安全性についての質問状に対する回答(北海道衛生部長、昭和55年2月2日)
    11月20日フッ素洗口説明会の開催
・対象/学校関係者(PTA含む)
    12月16日伊達市学校保健会役員会
・来年度からのフッ素洗口の導入の是非について、会長が導入の方向を示す。
昭和57年5月20日伊達市学校保健会総会
・会長が、57年度からフッ素洗口を実施することを表明。
    6月18日歯科部会の開催
・フッ素洗口実施に向けて活動スケジュール等の決定。
・1学期〜学校現場の協力を得る。
・2学期〜父母の理解を図る。
・3学期〜問題点を集約し、解決にあたる。
    7月 学校保健会開放に「フッ素洗口について」の説明を2回掲載。
    9月登別小学校見学
    12月3日 フッ素洗口の実施について協議
・経過報告と今度の取組みについて。
・実施希望校〜4校(長和小、関内小、伊達小、黄金小)
・3学期から実施。
・全身疾患、アレルギーがある児童について〜役員会において結論を出す。
    12月14日伊達市学校保健会役員会
・全身疾患、アレルギー疾患にあっても、問題なしとの結論。個々の例については、学校医に相談。
・実施日等 伊達小 火・水・木 8:20〜8:35
      関内小   土   8:20〜8:35
      長和小   土   8:20〜8:35
      黄金小   土   8:20〜8:35
・フッ素洗口希望申込書の作成。
昭和58年1月フッ素洗口開始

登別市におけるフッ素洗口の歩み

昭和53年登別小学校・当時の文部省のむし歯予防研究推進校に指定される
昭和54年6月登別小学校・学校歯科医指導のもとフッ素洗口開始(現在も週1回法で実施)
平成元年〜5年モデル事業として、市立の幼稚園・保育所にフッ素洗口が導入される
(現在も4・5歳児を対象に週5回法で実施)
平成12年2月厚生省(当時)<健康日本21>各都道府県に通知
これにより8020運動が国の政策として位置付けられた
平成13年9月市教委による教員対象の学習会実施
平成15年1月厚生省<フッ化物洗口ガイドライン>各都道府県に通知
「4歳から14歳間でフッ化物洗口を継続することが望ましい」
    9月市教委による管理職対象の学習会実施。導入に向けた具体的な話はなし。
平成16年3月登別市議会においてフッ素洗口について質疑が行われる
    6月市教研養護部会に市教委員訪問「フッ素洗口について率直な意見を聞きたい」
登別市PTA連合会と教育長懇話会の席上での教育長の発言
「フッ素洗口を全市的に実施したい。フッ素は安全である。」
    7月市教研養護部会三役がフッ素洗口について申し込み
「市の方針として小学校へのフッ素洗口導入をけんとうしている。
それに向けて保護者・学校関係者を対象にした学習会を実施し理解を得たい」
    9月チラシ配布(市内全世帯対象)
    6月むし歯予防(フッ素洗口)事業に係る合同学習会
主催:室蘭保健所、室蘭歯科医師会、登別市
    10月登別市議会において市立幼稚園・保育所のフッ素洗口について質疑が行われる
市校長会に学校歯科医2名が参加
各小学校単位で学習会実施要請
    11月市議会議員との懇談会
    12月「広報のぼりべつ」掲載:特集 みんなで進める「8020運動」
「第1回フッ素を考える市民集会」テーマ;フッ素は本当に安全で有効なの?
主催:「フッ素洗口を考える会」(事務局;北教祖登別支部)
温泉小学校PTA主催の学習会
平成17年3月若草小学校PTA会長から教育長に対し「フッ化物実施に関する要望書」
及びアンケート調査の結果が提出される
    4月幌別町学校PTA会長からアンケート調査の結果が提出される
    9月「歯の健康を考えるシンポジウム」
パネルディスカッション(健康な歯を残す秘訣)
主催:北海道歯科医師会、室蘭歯科医師会、登別市
    10月「第2回フッ素を考える市民集会」テーマ;フッ素は安全?有効?
    11月幌別小学校PTA会長から教育長に対し「PTA役員の見解」が提出される
平成18年6月フッ化物洗口実施事前説明会の開催:幌別小、幌別東小、若草小で実施
    7月フッ化物洗口実施希望申込書を保護者へ送付(各学校)
    8月学校教職員を対象とした実施手順説明会の開催
    9月幌別東、幌別小学校でフッ化物洗口スタート
    10月若草小学校でフッ化物洗口スタート
平成19年5月新たに青葉小学校PTA主催の学習会が開催される

千歳市におけるフッ素洗口の歩み

昭和49年より千歳保健所でフッ素塗布開始
平成元年「むし歯予防デー」千歳歯科医師会主催 千歳市共催 歯科担当は保健師1名
平成7年千歳市 第2種非常勤歯科衛生士 3名配置(乳幼児健診など月数回)
平成9年歯科保健推進会議を開始
(千歳歯科医師会・教育委員会・児童家庭課・子ども療育課・保健所・健康推進課)
育児相談で歯科相談実施
第2種非常勤歯科衛生士4名配置
「むし歯予防デー」千歳歯科医師会主催 千歳市共催 歯科担当は保健師1名
「健康祭り」で無料フッ素塗布開始
平成10年第1種非常勤歯科衛生士の配置
道のフッ素塗布事業移管で千歳市でフッ素塗布・歯科相談事業始まる
平成12年歯科担当職員4名(母子・成人・高齢者担当保健師各1名、第1種非常勤歯科衛生士)
口腔衛生学会(全国大会 札幌)で発表
フォーカスグループインタビューを実施。ミドリ理論を用いた乳幼児歯科保健計画開始
歯科通信1号発行(歯科医師へ市の状況やイベント結果の紹介)
平成13年歯科保健計画で保育所長と打ち合わせ(保育所歯科検診集計把握開始)
口腔衛生学会(地方会 室蘭市)で乳幼児歯科保健の取り組みを発表
フッ素と乳幼児健診の同時実施に向け平成14年1月よりアンケート実施
(1歳6ヶ月児健康診査、3歳児健康診査対象者)
市立保健所で子どもに対する歯科の健康教育開始
平成14年保育所でのフッ素塗布に向けて市立保育所4ヶ所で12月にアンケート実施
千歳幼稚園でフッ化物洗口に向けて調整するも事業は見送り
平成15年乳幼児健診、保育所、幼稚園、小中学校での歯科検診の統一
1歳6ヶ月児健康診査、3歳児健康診査でフッ素塗布同日実施
市立保育所(4ヶ所)で4歳、5歳児希望者にフッ素塗布を実施
民間保育所4ヶ所にも推奨、各自実施
第2種非常勤歯科衛生士8人配置
平成16年おやつ対策調査実施
「むし歯予防デー」のちらし配布時に、各幼稚園にむし歯予防教室のPRを実施
保育所長、保育課と調整し、フッ化物洗口事業保育所職員向け説明会実施
平成17年子どものおやつ対策アンケート、おやつ教室の実施
私立幼稚園への歯科健康教育開始
フッ化物洗口事業実施調整つかず1年延期
実施主体、実施方法など歯科医師会、保育課、保育所長とさらに調整し
平成18年度に保育所4歳5歳児対象に実施することが決定
フッ化物洗口事業 保育所職員向け説明会実施
平成18年フッ化物洗口事業 市立保育所4ヶ所・民間保育所5ヶ所で実施
保護者説明会を歯科医師会歯科医師、保健師、保健推進課歯科衛生士が担当し実施
ミラノール使用(週2回法 450ppm)

北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例案の関連資料集

平成21年6月16日、北海道議会にて「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例案」が修正議決され、条例は、平成21年6月26日に公布、同日より施行されております。北海道議会の公式サイトでは、修正議決された条例案が公開されています。

会議案一覧
2.北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例案

以下、一部引用します。

(効果的な歯科保健対策の推進等)
第11条 道は、幼児、児童及び生徒に係る歯・口腔の健康づくりの推進を図るため、学校等におけるフッ化物洗口の普及その他の効果的な歯科保健対策の推進に必要な措置を講ずるものとする。
(道民歯科保健実態調査)
第14条 道は、道民の歯・口腔の健康づくりの推進を図るため、おおむね5年ごとに、道民歯科保健実態調査を行うものとする。
(財政上の措置)
第15条 道は、歯・口腔の健康づくりに関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(年次報告)
第16条 知事は、毎年度、議会に、歯・口腔の健康づくりに関する施策の推進状況に関する報告を提出しなければならない。

「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例案」に関する会議録が公開されています。

平成21年3月18日の本会議(すべて文書化されています)

平成21年3月18日の本会議(音声が公開されています)

平成21年5月10日に有限責任中間法人日本口腔衛生学会理事長米満正美名義にて、自民党・道民会議北海道議会議員会政策審議委員会委員長柿木克弘殿に報告された、フッ化物洗口の質疑に関する見解です。

北海道議会におけるフッ化物洗口の質疑に関する見解

1)厚生労働省は「フッ化物洗口ガイドライン」(2003年)によって、フッ化物洗口の有効性と安全性を確認して推奨している。本学会はこれを全面的に支持するものである。

2)条例案に反対する質問者が引用したフッ化物洗口に関する有害性や副作用は、科学情報の誤認や論旨の不合理なところが多数見受けられる。

3)国内外の広範囲な調査結果から、フッ化物洗口事業のむし歯予防効果については、約30~80%の予防率が期待でき有効であるとの評価が得られている。

4)適切に行われるフッ化物洗口での1日あたりフッ化物の摂取量は、WHO(世界保健機関)が推奨する水道水フッ化物濃度調整(フロリデーション)の場合に比べても1/4~1/5であり安全性は高い。国内外の広範囲な調査結果から、心配される全身的な影響の証拠は認められていない。

5)WHO、FDI(国際歯科連盟)、PHS(米国公衆衛生局)等をはじめとする世界の歯学医学保健専門機関が合意している「フッ化物応用は安全で、むし歯予防に有効な歯科公衆衛生手段である」との結論が得られている。またわが国において、日本歯科医学会(1999年)、日本歯科医師会(2000年)、日本口腔衛生学会(2002年)、厚生労働省(2003年)、日本学校歯科医会(2005年)等により本方法に関する学術的、技術的検討が行われ、その有用性が確認されてきている。

6)今日、わが国でも小児期・学齢期のむし歯は減少傾向となってきている。しかし、むし歯経験歯数は依然として高く12歳児で比較すると先進諸外国の約2倍のレベルにあり、また都道府県格差、地域格差、個人格差も強く残っている。口腔の健康が全身の健康や生活の質に大きく係わっていることは医学専門機関の一致する見解となっている。したがって、公衆衛生特性の高いむし歯予防法であるフッ化物洗口をわが国で普及する意義は大きい。

平成21年6月に北海道子供の歯を守る会会長堅田進、並びに日本口腔衛生学会北海道地方会幹事長千葉逸朗名義にて、道議会議員に報告された、2009/05/12の成田憲一氏の「陳述の問題点」についての意見書です。

「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例案」に対する2009/05/12北海道議会保健福祉委員会意見陳述人成田憲一氏の「陳述の問題点」についての意見書

添付参考資料図 1 フッ化物洗口風景

添付参考資料図 2 フッ化物洗口の安全理由

参考資料 1 氾濫する健康情報を正しく選択するには?

参考資料 2 急性中毒や慢性中毒症とフッ化物の量との関係図

参考資料 4 米国はフッ化物を有益な栄養素とし、一日に摂るべき目安量を設定(意見書P32に記載)

参考資料 5 健康情報の信頼性を判断する6段階のフローチャート

参考資料 6 歯のフッ素症について解説した図

以下一部引用です。

又この度は、これからの道民の健康にフッ化物洗口が必要であることをご理解いただき、2009年6月16日道議会において、100対2という圧倒的多数の賛成により、「北海道歯・口腔の健康づくり8020推進条例」が成立するのにご尽力いただきましたことに心から感謝申しあげます。

また、保健福祉委員会において成田氏は、約30分間の陳述の間に26箇所の「誤りや不適切な問題ある陳述」、委員会での陳述と重複しない「配布文書の中での大きな誤りと問題点」5箇所、合計31箇所の「問題ある陳述」を道議会に対していたしております。

その一方でほんのわずかな反対者だけが“論争がある”と主張するにすぎません。それはフッ化物利用に対する科学的団体の見解を示しているのではありません。

特集 フッ化物

むし歯予防のフッ素発見のきっかけ

「歯のフッ素症」を予防する研究からむし歯予防のフッ化物利用の歴史が始まりました。

フッ素の研究は、アメリカのカリフォルニア州のコロラド川の流域に発生していた「重度の歯のフッ素症(斑状歯)」をいかに予防するかという害の予防の疫学調査研究から始まったことに大きな意味があります。

歯の表面のエナメル質に白斑や白い縞模様が出来る「歯のフッ素症(斑状歯)」が飲料水中のフッ化物濃度が高い地域に流行するのが判ったのは1931年に化学者チャーチルらによる水の分析によります。 

また、このような歯は「むし歯に罹りにくい」こと、約1.8ppm以下では「問題となる段階の歯のフッ素症」は発生しないことが判りました。

歯のフッ素症(斑状歯)の基礎知識

フッ化物の慢性中毒は、「歯のフッ素症」と「骨硬化症」です。最も少ないフッ化物の摂取量で発現する慢性中毒は「歯のフッ素症」です。「歯のフッ素症」が出ないということは、何もそれ以外の影響はないということです。

また、知っておきたいことは、水のフッ化物濃度が0.1ppmなどの低い地域でも、「エナメル斑といわれるエナメル質形成不全の歯」が出現するということです。その歯は「歯のフッ素症」と区別が難しく、原因は60種類以上もあるといわれています。


福岡歯科大学筒井昭仁助教授は上図のように分類しています。

歯のフッ素症は、3つの条件が重なったときにのみ現れるエナメル斑(エナメル質形成不全歯)の1種です。3条件が一つでも欠けると現れません。


歯のフッ素症は
@過量のフッ化物を
A歯冠のエナメル質を形成する時期に
B長期間摂取する
3条件が重なった時のみ発現

フロリデーションなどむし歯予防のフッ化物利用で3条件が重なることはありませんので、いかなる「歯のフッ素症」も発現しません。

歯のフッ素症は5段階あります
疑問型(Questionable)
非常に軽度(Very mild)
軽度(Mild)
中等度(Moderate)
重度(Severe)

中等度(Moderate)と重度(Severe)の段階は審美的に問題がありますが、むし歯予防のためのフッ化物利用で発現することは全くありません。

また、軽度以下は審美的には「美しい歯の部類」に入ることが調査報告されています。また、症状は進行せず機能的な問題はありません。それは氷の中に一旦できた気泡の大きさが変わらないと似ています。下図のように進行するむし歯と比較することも重要なことです。




病気ではない歯のフッ素症

以下の中等度、重度の歯のフッ素症は、フロリデーションなどむし歯予防のフッ化物利用では発現する心配はありません。



病気としての歯のフッ素症

現代の日本では、歯のフッ素症よりもむし歯による見た目の変化の方が、多く認められます。


進行するむし歯

ご注意:アメリカやオーストラリアでの水道水のフロリデーション実施濃度0.7-1.2ppmで実施される場合には、 このような重い症状の「歯のフッ素症」は決して現れることはありません。

何故なら、このような重い症状の「歯のフッ素症」が現れない濃度に正確にコンピューター管理されているからです。また、むし歯予防のためのフッ化物洗口法やフッ素塗布法、フッ化物入り歯磨剤では、水道水のフロリデーションから毎日取るフッ素量の5分の1程度かそれ以下であることからさらに全く心配いりません。

フッ化物利用法と歯のフッ素症の関係は?

むし歯予防に利用されるフッ化物摂取量では発現することは決してありません。

水道水のフロリデーションとの関係


水道水のフロリデーションは、審美的に困る段階の歯のフッ素症が発現しない濃度約1ppm(1万分の1%)で実施されています。(0.7-1.2ppm)

フッ化物の洗口法との関係


4-14歳の間に実施するフッ化物洗口では、フッ化物摂取量がフロリデーションの約1/5以下なのと、審美的に関係のある前歯が洗口開始の4歳の時にすでにエナメル質が完成していることから、時期的にも「歯のフッ素症」は発現しません。

フッ化物入り歯磨剤との関係


フッ化物入り歯磨き剤では、使用後口の中に残るフッ化物摂取量(約0.2mg)がフロリデーションの約1/5以下なので「歯のフッ素症」は発現しません。

フッ化物塗布との関係


フッ化物塗布では、フッ化物摂取量が年数回というように断続的なので「歯のフッ素症」は発現しません。

フッ化物の信頼レベル

特集 シーラント
北海道大学大学院歯学研究科口腔健康科学講座 八若保孝教授


奥歯(臼歯)のかみ合う部分には、“みぞ(しわ)”があります。
この“みぞ”を小窩裂溝といいます(図1:矢印)。
この小窩裂溝は、奥歯における一番のむし歯の好発部位です。


小窩裂溝は、とても細く、いろいろな形態があります(図2)。


そのため、小さな細菌(むし歯をつくる細菌: 図3)は、この小窩裂溝にたやすく侵入することができます。


しかし、残念ながら歯ブラシの毛先が入るだけの幅はありません(図4)。
このため、侵入した細菌を歯ブラシで除去することは、ほぼ不可能です。侵入した細菌は、だれにも邪魔されず、むし歯を作ることができるのです。


この小窩裂溝にできるむし歯を予防する目的で開発されたのが、シーラントです。“溝埋め”、“シール”などと説明されることが多く、現在、臨床で広く応用されています。


おおよその、術式は、
@小窩裂溝の清掃(歯科用電動ブラシ、薬剤などを使用)
A小窩裂溝の表面処理(薬剤)
B処理された小窩裂溝へのシーラント材の流し込み(填塞)
C硬化
となります(図5、6)。
多くの場合、唾液の排除のために、ラバーダム(ゴムのマスク)をします。

シーラントの効果

@ 小窩裂溝を塞ぐため、細菌の侵入を防ぐ
A 小窩裂溝を塞ぐため、歯ブラシがしやすい
B 小窩裂溝を塞ぐため、小窩裂溝内に細菌が残存したとしても、栄養(糖)がいきわたらない
C シーラント材からフッ素イオンが小窩裂溝へ移行する(歯質の強化):一部のシーラント材です。

・現在のシーラント材の大部分は、フッ素イオンを放出し、小窩裂溝へ移行させます。これにより、小窩裂溝の歯質が強化され、小窩裂溝に残存する細菌の活動を抑えます。・以上のことより、シーラントは、むし歯予防には非常に有効です。このことについて、多くの報告(論文)があります。


フッ化物洗口にシーラントの追加により、奥歯のむし歯がさらに減少

シーラントの注意事項

しかし、万能ではありません。小窩裂溝が埋められたとしても、その周囲に歯垢(多量の細菌)が付着していれば、周囲からむし歯になってしまいます。


シーラントは、かみ合う部位に使用されるため、かみ合う力で脱落したり、破折したり、磨耗したりします。それにより、シーラントの効果が落ちてしまいます。その状態を放置すると、残念ながらむし歯になってしまいます(図7)。
シーラントを長持ちさせるには
 @歯科医院で、定期的に検査を受けること
 A丁寧に、隅々までよく歯ブラシをすること
 Bフッ化物を利用すること

WHO/FDIによる評価

WHO(世界保健機関)FDI(国際歯科連盟)においても、フッ化物と並び、シーラントがむし歯予防に非常に有効であることが示されています。

米国予防医療研究班によるむし歯予防のガイドライン(1993年)

1993年「米国予防医療実践ガイドライン」でシーラセントによるむし歯予防法を「根拠が十分利用を支持する」と勧告の強さAの評価をしています。

表1 米国・予防医療研究班によるむし歯予防のガイドライン(1993年)

予防方法証拠の質勧告の強さ
フッ化物の全身応用
 フロリデーション
 フッ化物錠剤(6-16歳)

U-1
T
A
フッ化物の局所応用
 フッ化物洗口
 フッ化物配合歯磨剤
 フッ化物歯面塗布
TA
シーラントT
適切に実施された無作為に割り当てられた比較対照臨床試験による根拠
A
利用を支持する
十分な根拠がある
個人的な歯科衛生
(フッ化物の配合されていない歯磨剤による歯磨きやフロスの利用)
V
臨床経験、症例報告などに基づく権威者の意見
C
不十分な根拠だが他の要素を考慮した応用勧告
定期歯科検診VC

CDC(アメリカ防疫予防センター)2004年声明(口腔保健:むし歯、歯周疾患と口腔癌の予防の項目)

シーラントの使用の促進

臼歯部の咬合面をプラステックで填塞するシーラントは、児童に対する安全で効果的なむし歯予防方法です。既に初発したむし歯を停止させるケースもあります。シーラントは、未処置むし歯のある子どものリスクを有意に減少させます。

「ヘルシーピープル2010」では2010年までに子どもの50%がシーラントを持つように目標設定しています。

CDCの研究者はいくつかの方策を評価し、経済的に恵まれない通学児にシーラント処置することがシーラント使用における格差を是正するための最も費用効果の高い方策であることを認めました。

さらに地域予防のサービスに関する特別対策本部は、むし歯予防とコントロールの有効な方法として、スクールベースのシーラント・プログラムあるいは学校に関連したシーラント・プログラムを推奨します。

特集 甘味制限

これまで「むし歯発生の物語」として語りつがれてきたのは、「むし歯の発生は、砂糖の摂取によってできた歯垢の酸で弱い歯質が侵(脱灰)される」というものです。この3つの要因が重なって時間が経過するとむし歯が発生すると説明されてきました。


これまでのむし歯発生の考え方

WHOは「砂糖の摂取量と頻度」はむし歯を増加させる確実な根拠があるとしています。大切なことです。

しかし、むし歯予防のために砂糖の摂取制限を全員に願うのはなかなか難しいのが現状です。砂糖の摂取制限でむし歯をどこまで予防できるでしょうか?この章で一緒に考えてみましょう。

現在のむし歯発生と砂糖の摂取制限によるむし歯予防の考え方

現在は「むし歯とは、歯質の成分が溶け出た(脱灰)量が元に戻った(再石灰化)量を上回った時にできた穴」と単純明快に説明されています。

すなわち、エナメル質の成分のCaや燐酸が歯垢中の酸により歯面から 飛び出し元に戻らなかった結果の穴がむし歯なのです。ですから、直接、間接的に歯を溶かす(脱灰)させる糖質の代表である砂糖の摂取制限してむし歯を予防しようとする考えが「砂糖の摂取制限によるむし歯予防」です。

歯垢と砂糖とむし歯の関係

歯垢は砂糖や糖質をエネルギーとして繁殖した細菌と菌が作ったネバネバした物質(不溶性グルカン)が一緒になって歯の表面に付いた固まりです。

バイオフイルムという膜で覆われた中で有機酸を作り歯を溶か(脱灰)します。歯垢1mgの中に細菌が5-10億いるといわれています。



ミュータンスの写真は日本歯科医師会ホームページから転載

砂糖の摂取によって、一旦酸性になった歯垢も、その後の砂糖の供給がなければ、唾液がしみこみ数十分で中性に戻ります。

しかし、歯垢を除去せずに数日間放置し厚くなった成熟した古い歯垢では、歯垢中で有機酸が作られ、歯垢の酸性が強くなった状態が数十分続いて、エナメル質の成分のCaや燐酸が溶け出し脱灰します。


歯垢の酸度を下げる強さは歯垢の古さ(成熟度)に関係

糖質の摂取はむし歯の発病と関係が深く、糖質の中でもでん粉や乳糖に比べて砂糖(しょ糖)、ブドウ糖、果糖が歯垢の酸度(pH)は急速に低下します。しかし、ソルビトールやキシリトールの代用甘味料は歯垢の酸度を低下させません。


歯垢の酸度を下げる強さは糖質の種類に関係する

日常の食生活ではどうなっているか


氾濫する砂糖を使ったお菓子に群がる子供たち


間食の回数が多いとむし歯が多い
一日の間食の回数が3回以上と多かった就学前の幼児は、むし歯が多いことがわかります。


間食の回数が多いときむし歯が多い理由
間食の回数や量が多かったり特に寝る前に間食するとCa等が溶け出す脱灰する時間が増え、再石灰化する時間を越えるので、酷いむし歯が出来ます。


3度の食事だけの時はむし歯が少ない理由
一方3度の食事だけの時は、中性の唾液の力で酸の強さが中和し、溶けたCaとリン酸が歯に戻る再石灰が起こり、むし歯は出来ません。

甘味制限への保健専門機関評価

WHOは「砂糖の摂取量と頻度」はむしを増加させる確実な根拠があるとしています。

図表 食事とむし歯の関連における根拠の強さ

根拠むし歯の減少関連なしむし歯増加
確実な根拠フッ化物利用
(局所および全身)
デンプン摂取
(一部除く)
遊離糖質量
遊離糖質頻度
おそらく確実な根拠硬いチーズ
砂糖を含有しないガム
新鮮な果物
可能性がある根拠キシリトール
牛乳
食物繊維
低栄養
不十分な根拠新鮮な果物ドライフルーツ

WHO/FAO 1986年

WHOは砂糖を含む飲食物の摂取制限の効果を摂取頻度の減少に比例するとしています。

WHO 1986年

むし歯予防方法むし歯減少率
水道水へのフロリデーション50-65%
フッ素洗口(学校、家庭)20-50%
砂糖含有飲食物の摂取制限摂取頻度の減少に比例
歯磨き(学校、家庭)不明確

米国予防医療研究班による評価 1993年

1993年「米国予防医療実践ガイドライン」で甘いものを控え食事をコントロールするむし歯予防法を「根拠が十分利用を支持する」と勧告の強さAの評価をしています。

予防方法証拠の質勧告の強さ
甘いものを控えるU-1
無作為ではない比較対照臨床試験による根拠
A
根拠十分
利用を支持する
就寝時の哺乳びん使用を控えるV
臨床経験、症例報告などに基づく権威者の意見
B
根拠正当
利用を支持する

**:米国予防医療実践ガイドライン 1993

砂糖摂取が多い国でもむし歯が少ない。何故だ!!


一人当たり年間砂糖消費量とむし歯の比較(砂糖データーは2000年前後)

1998年の日本の砂糖の消費量はオーストラリアの1/2、米国の2/3です。しかし、2003年のWHO報告の、12歳児の一人当たりのむし歯経験歯数(DMFT)は日本に比べオーストラリアは約1/3以下(0.8本)、アメリカは約1/2でした。

これは、砂糖消費量によるむし歯の発生を「フッ化物の適切な利用」で強力に抑えているので砂糖消費量とむし歯が一致していないからです。2003年、WHOが砂糖とフッ化物利用で重要な発表をしています。

国別・砂糖消費量とむし歯発生の関係

国際小児歯科学会教育委員会 国際小児歯科学会教育委員会は、日本、オーストラリア、米国などを比較し、年間一人当たり砂糖の消費量とむし歯の発生数は必ずしも比例していないことが判りました。(一部の国を掲載) 何か他の要因がむし歯発生に大きな影響を与えていることになります。このことは、前述のフッ化物利用の砂糖摂取への影響(2003年)でWHOが報告しています。


砂糖の消費量は減らなかったが、むし歯は減った。


砂糖の消費量は減らなかったが、むし歯は減った。


砂糖の消費量は減らず、むし歯も変化なかった。

WHO報告:フッ化物利用は砂糖でのむし歯発生を抑える(2003年)

2003年、WHOはテクニカルレポートの中で、「砂糖摂取とフッ化物の影響」という重要な発表をしています。フッ化物利用は砂糖摂取の悪影響を抑えるというものです。(例:オーストラリア、アメリカ、日本の比較)

フッ化物利用は砂糖摂取の悪影響を抑える WHO 2003年(要約)
ほとんどのヒトで
・適切に定期的にフッ化物を利用した場合には砂糖摂取は、むし歯発生の中等度の危険因子に過ぎない。(例:オーストラリア、アメリカ)
・定期的にフッ化物を利用しない場合には砂糖摂取は、むし歯発生の強力な危険因子となる。(例:最近までの日本)

砂糖摂取を制限した場合には
・フッ化物を広範囲に利用すれば、むし歯を予防できる。
・フッ化物利用がなければ、それほど強力に予防できない。

特集 代用甘味料
北海道大学大学院歯学研究科口腔健康科学講座 本多丘人助教授

まずむし歯とは何か


左図のように、むし歯は歯の成分が酸により溶け出し(脱灰)歯に穴があく病気ですが、「脱灰」よりも「再石灰化」が強ければむし歯にはなりません。

遊離糖質(砂糖など)の摂取と歯垢PHの変化


下図のように、歯垢のpHがおよそ5.5以下だと歯は脱灰(溶解)されます。むし歯の発生は、歯垢のpHを下げる甘味飲食物の摂取頻度が問題です。

むし歯の発生は、歯垢のpHを下げる甘味飲食物の摂取頻度が問題です。

代用甘味料とは

糖質には、砂糖(ショ糖)、ブドウ糖、果糖、乳糖や麦芽糖などがあり、摂取のしかたによってはむし歯の原因になりやすい物質です。また、カロリーが高いので肥満・糖尿病・高血圧・痛風などの生活習慣病の原因ともなります。基本的には「節度ある飲食」の習慣が可能ならこれらの病気の予防につながります。

一方その対策の一つとして、近年、さまざまな甘味物質が開発され、使われるようになってきました。低カロリーでむし歯や生活習慣病の原因にならず、しかも味質の良い甘味料が求められてきたわけです。これが「代用甘味料」の登場です。

現在使われている代用甘味料の分類と種類

糖質系甘味料糖類パラチノース カップリングシュガー
糖アルコールソルビトール キシリトール マルチトール マンニトール エリスリトール 還元パラチノース
非糖質系甘味料人工甘味料スクラロース (糖質に含める考え方もある) アスパルテーム アセスルファムK サッカリン
天然甘味料ステビア (糖転移ステビアとしての利用が多い)
これらの甘味料はすべてむし歯の原因になりません。上記のほか、近年では糖類の一種である 「トレハロース」も使われています。

各甘味料についてちょっと説明しましょう

トレハロースブドウ糖2分子が還元末端同士で結合した2糖類。天然にも存在するが、トウモロコシデンプンなどから工業的に製造される。甘味は砂糖の45%。家庭用甘味料として、また、多くの製品に使われている。「むし歯の原因になりにくい」とされている
パラチノース砂糖(ショ糖)と同様に、ブドウ糖と果糖とが結合した2糖類(ブドウ糖と果糖との結合のしかたがショ糖とは異なる)。天然にも存在するが、ショ糖から糖転移酵素を利用して工業的につくられる。甘味は砂糖の40%程度。むし歯の原因にならない(歯垢のpHを低下させない)。
カップリングシュガー砂糖(ショ糖)とにブドウ糖を結合させたオリゴ糖。天然にも存在するが、ショ糖から糖転移酵素を利用して工業的につくられる。甘味は砂糖の半分程度。
ソルビトール
キシリトール
マンニトール
エリスリトール
マルチトール(還元麦芽糖)
還元パラチノース(パラチニット)
これらはすべて 「糖アルコール」 の仲間です。いずれも単独では むし歯 の原因になることはありません。1997年に厚生労働省がキシリトールを「食品添加物(甘味料)」として認可してから、CMの効果もあり、キシリトールが注目されています。しかし実際にはキシリトールばかりが(むし歯予防に)優れているわけではありません。
サッカリン(サッカリンナトリウム)通常はサッカリンナトリウムとして用いられる。甘味度は砂糖の500倍程度。日本では食品ごとの使用量が制限されている。
アスパルテームアスパラギン酸とフェニルアラニンの化合物。甘味度は砂糖の500倍程度。ダイエット甘味料としても市販されている。
スクラローススクロースの水酸基3つを塩素に置きかえた構造をした人工甘味料。甘味度は砂糖の600倍程度。日本では1999年に食品添加物(甘味料)として認可され、使用基準が定められている
アセスルファムK甘味度は砂糖の200倍程度。日本では1999年に食品添加物(甘味料)として認可され、使用基準が定められている
ステビア抽出物南米原産のキク科植物から抽出してつくられる。甘味度は砂糖の300倍程度。
これらの非糖質系甘味料はむし歯の原因になりません。

代用甘味料だけの食品はむし歯の原因にならない

これまで説明してきた「代用甘味料」は、いくら大量に、ひんぱんに摂取してもむし歯の原因になることはありません。

歯垢を形成している細菌のエネルギー源にならず、歯垢内で酸を生成しないからです。ですから、代用甘味料だけを使用した食品であれば、むし歯の原因になることはありません。

代用甘味料を使用した食品でも、砂糖などと同時に使われている場合にはむし歯の原因になる場合もあります

たとえば、キシリトール自体がむし歯の原因になることは決してありませんが「キシリトール入り」 「キシリトール配合」「むし歯にならないキシリトール使用」のような紛らわしい表示には注意する必要があります。

キシリトールを使っていても、同時に砂糖などを使っているとむし歯の原因になる場合があるからです。

このような場合、ひとつひとつの食品について、歯垢のpHを歯が脱灰される程度(pH5.5)まで下げることがないかを調べてみないと、本当にむし歯の原因にならないと断言することはできません。

シュガーレス=糖類ゼロ、ノンカロリー=カロリーゼロかな?

最近、シュガーレス、ノンシュガー、甘さひかえめなどと表示された食品を目にすることが多くなりました。これらの表示については以下のような決まりがあります。

糖類の表示

シュガーレス無、ゼロ、ノン などの表示食品100g当たり糖類(単糖および二糖)が0.5g以下。ただし糖アルコールを除く。
低糖低、軽、ひかえめ、低減、カット、オフ などの表示食品100g当たり糖類が5g以下(飲料では2.5g以下)

熱量(カロリー)の表示

ノンカロリー無、ゼロ、ノン などの表示食品100g当たり 5kcal以下
低カロリー低、軽、ひかえめ、低減、カット、オフ などの表示食品100g当たり40kcal以下(飲料では20kcal以下)

結局、ある食品がむし歯の原因になるかどうかはその食品を摂取した時に歯垢細菌が酸を産生して歯垢のpHをどれだけ下げるかによって決まります。

歯に信頼のマーク


食品ごとに試験を行い、いくら食べても(飲んでも)むし歯の原因にならない食品は、厚生労働省や日本トゥースフレンドリー協会が「お墨付き」を与えています。

キシリトールについて

キシリトールは欧米では1975年ごろから普及していますが、日本では1997年になって厚生労働省が「食品添加物」としてその使用を許可しました。


キシリトールについては、食後にキシリトールガムをかむ、キシリトールタブレットをしゃぶるなど、10数例の臨床研究があります。

いずれの研究も、研究期間1-3年程度で、むし歯の抑制率は30-80%程度と、その効果は高いとされています。キシリトールだけでなく、他の代用甘味料にも似たような効果が期待できますが、臨床試験が困難なため、行われていないのが現状です。

100%キシリトールでの予防には年間9-18万円の費用に

代用甘味料だけを使えば、むし歯の原因になることはありません。

しかしここで述べた多くの「代用甘味料」は食味や性質(熱安定性、酸性度による安定性、保存性など)によって、組み合わされて、あるいはむし歯の原因になる糖質(ショ糖、ブドウ糖、果糖)と同時に使われることがあります。

代用甘味料の普及が近年のむし歯の減少に役立ってきたことは明らかですが、実際に何%むし歯の減少に貢献したかは不明です。飲食に関わる要素は複雑であり、簡単には計算ができないからです。
また、100%キシリトールによるむし歯予防にかかる費用は一人当たり年間9-18万円と計算されています。

保健専門機関の評価

●食事とむし歯の関連における根拠の強さ WHO 2003年

根拠むし歯減少関連なしむし歯増加
確実な根拠フッ化物利用
(局所および全身)
デンプン摂取
(一部除く)
遊離糖質量
遊離糖質頻度
おそらく確実な根拠硬いチーズ
砂糖を含有しないガム
新鮮な果物
可能性がある根拠キシリトール
牛乳
食物繊維
低栄養
不十分な根拠新鮮な果物ドライフルーツ

代用甘味料のまとめ

基本は「健康でありたい」と思うこと、むし歯予防もそのひとつです。
むし歯の予防とともに、その他の生活習慣病にも注意を払わなければなりません。
歯を強くするフッ素の利用とともに、食習慣の見直しもしてみてはいかがでしょうか。
食品の摂取量だけでなく、摂取頻度に注意することが重要です。
食品の成分表示を見ることも忘れずに。

特集 フッ化物配合歯磨き剤


フッ化物入り歯磨き剤でむし歯減少

1986年から2004年の間に歯磨き剤売り上げ中で、「フッ化物入り歯磨き剤」の市場独占率が10%から88%に増加するとともに、12歳児のDMFT(一人当たりむし歯経験歯数)が半減しています。

「フッ化物入り歯磨き剤」が歯が生える時期の若年者のむし歯予防の環境の改善に働いた」と報告されています。

通常フッ素イオン濃度で0.09%(900ppm)、1日3回の使用で口に残るフッ素イオン量は0.2mg以下と微量ですが、6歳未満は、エンドウ豆大で親の監視下で使用するよう指導します。

特集 空歯磨き

私たちは科学的な真実に従う必要があります。

今や、 WHOや専門学会の科学的な常識は、「歯磨きだけでは、むし歯予防はできない」という真実です。私たちは日本人は歯磨き至上主義から脱却し科学的な真実に従う必要があります。

WHOが奨めるようにむし歯を予防するなら歯磨きにはフッ化物入りを使用する必要があります。

日本では25年前から国民の90%は毎日歯磨きをしてきたのにむし歯が減らなかったのには理由があるのです


厚生労働省の歯科疾患実態調査によると「1日1回以上歯磨きをする者」は今から25年前の昭和56年(1981年)にはすでに90%を越えています。


1969年と1987年を比較すると、1日2-3回歯磨きする者が17から55%に増加したのに喪失歯は増えています。これは「歯磨き回数の増加」が歯の喪失原因である「むし歯」と「歯周病」の予防に有効に働いていなかったことを意味してます。

むし歯の国際比較をすると日本のみが減り方が少なかったのです

下の図の1994年WHOの国際比較のころまでの日本のむし歯予防手段は「歯磨き」一辺倒で、フッ化物入り歯磨き剤のシエアは欧米の90%以上に対して日本では40%以下でした。12歳児のむし歯経験歯数を比較すると、WHO実施勧告に従い積極的に国の政策としてフッ化物利用でむし歯を予防してきた各国ほどには日本のむし歯は減っていません。歯磨きによる対策だけでは不十分なのです。


むし歯経験歯数(DMFT指数)とは?
D:未処置歯
M:喪失歯(乳歯ではe)
F:処置歯
T:歯数
を表し、むし歯にかかった経験の永久歯が一人当たり何本あるかの指数。乳歯ではdeftで表します。

専門家も指摘する、空歯磨き

本会顧問、北海道医療大学歯学部千葉逸郎教授、北海道大学歯学部森田教授は近年の各地での講演で「極細でも歯ブラシの毛の太さが顕微鏡で見ると歯の溝や歯間よりかなり大きいので溝の中の細菌や汚れを落とせない。そのような理由で、歯磨きだけでむし歯は予防できません」と述べています。

■毛先が歯の溝に入らない


歯ブラシの毛先は溝に入らないので、溝の中の歯垢は取り除けません。

■毛先が歯と歯の間に届かない


歯ブラシの毛先は歯間部に入らないので、歯間の歯垢は取り除けません。

■定期指導しても高校生の歯磨きの実態


一見綺麗な歯だが染め出してみたら


染め出し液を綿球で付けたところ


強くうがいした後も歯垢(プラーク・歯苔)はしつこく残っている


歯みがき10分間した後


みがき20分間した後
実際はむし歯になりやすい溝や歯と歯の間の歯間は磨き残しも多く実際は難しいものです。

歯磨きの科学的文献による評価

現在北海道大学歯学部の森田教授と岡山大学の渡邊教授らによる1986年の複数の文献の検討では、「フッ素を使用しない空歯磨き」でむし歯予防効果があるとした疫学報告は1950年に報告された1例のみであると報告されています。

日本では、この1例の報告でキャンペーンが行われ、科学的に根拠の少ないむし歯予防手段が声高に叫び続けられたということです。その結果、世界的にはむし歯が多い国ということになっています。

このような誤りの結果責任はどこにあるのでしょうか。

北海道大学歯学部の森田教授によると、最近になっても「フッ素を使用しない歯磨き」でむし歯予防効果があるとした疫学報告はないとのことです。

国名期間平均年齢効果
Fosdic
(1950)
米国2年23
Horowitzら
(1977)
米国2年8ヶ月10-13
McKeeら
(1977)
米国3年半10-12
Silversteinら
(1977)
米国2年半12
Axelssonら
(1977)
米国4年7-13
(フッ素使用)
Agerbackら
(1978)
米国2年7
Axelssonら
(1977)
米国3年半20-71
(フッ素使用)
岩本ら
(1978)
日本2年3-5
(フッ素使用)
岩崎ら
(1983)
日本2年2
※1986年 日本歯科医師会雑誌第39巻第1号 岡山大学渡邊教授ら


フッ化物入り歯磨き剤

空歯磨きへの保健専門機関の評価

●WHO/FAO 2003年
「フッ化物の予防的役割には議論の余地がない。一方、口腔衛生(歯磨き)とむし歯予防との間には明確な相関関係を示す強力な根拠はない」(WHO/FAO テクニカルレポートシリーズ916「食事、栄養および慢性疾患予防」)

「フッ化物入り歯磨き剤を使用した歯磨き」は第5位になっています。 「フッ化物入り歯磨き剤を使用しない空歯磨き」は順位に入っていません。

●WHO 1986年 1986年、 WHOは歯磨きのむし歯予防効果を不明確と評価しています。
むし歯予防効果

むし歯予防方法むし歯減少率
水道水へのフロリデーション50-65%
専門家によるフッ化物塗布30-40%
フッ素洗口(学校、家庭)20-50%
フッ素配合歯磨剤20-30%
シーラント(咬合面のみ)40-99%
砂糖含有飲食物の摂取制限摂取頻度の減少に比例
ブラッシング(学校、家庭)不明確
フロッシング(学校、家庭)不明確

●米国予防医療研究班によるむし歯予防のガイドライン(1993年)
個人的な歯科衛生(フッ化物の配合されていない歯磨剤による歯磨きやフロスの利用)によるむし歯予防方法は証拠の質はV低い、勧告の強さはC不十分な根拠、と評価されています。

予防方法証拠の質勧告の強さ
個人的な歯科衛生
(フッ化物の配合されていない歯磨剤による歯磨きやフロスの利用)**
V
臨床経験,症例報告などに基づく権威者の意見
C
不十分な根拠だが他の要素を考慮した応用勧告

●日本歯科医学会第20回総会記念出版「歯の健康学」(岩波新書 2004年)
「これまで、むし歯予防といえば歯磨きとされてきた。しかし、歯磨きとむし歯予防との関係は、歯周病予防ほどはっきりしていない」

新潟県燕市の事例報告

新潟県燕市の燕中学校1年生は、 4つの小学校から進学してきます。4つの小学校では異なったむし歯予防対策を実施してきました。むし歯予防対策は以下の通りです。
・A校とB校は 歯磨き指導していない
・C校は 年12回染め出しして歯磨き指導
・D校は フッ化物洗口校

小学生時代のむし歯予防対策とむし歯数の比較

小学校
歯磨き指導--+-
歯口染色/年3-41123-4
歯科検診/年111-22
フッ化物洗口---+
A, B:対照校 C:歯磨き指導校 D:フッ化物洗口校
筒井、境ほか 口腔衛生誌 33(1): 79-88, 1983

生徒がどこの小学校出身者か歯の検診者に知られないように検診して、DMFS指数の比較をしました。


* DMFS指数(むし歯経験歯面数)
D:未処置 M:喪失 F:処置 S:歯面数

結果は、歯磨き指導してないA校とB校出身者と年12回染め出しをして歯磨き指導したC校出身者との間に差が有りませんでした。フッ化物洗口校だけがむし歯が少なかったのです。盲検での検診結果です。

「空歯磨きでは、むし歯予防はできない」という科学的な真実に従う必要

今や、 WHOや学会の常識は、「歯磨きだけでは、むし歯予防はできない」という科学的な真実です。私たちは日本人は歯磨き至上主義から脱却し科学的な真実に従う必要があります。歯磨きにはフッ化物入りを必ず使用し、フッ素を洗い流さないようにすすぎは軽く2回までにしましょう。

でも、むし歯予防の目的ではなく他の目的で歯磨きは必要

*歯磨きは歯周病の予防に有効
*口臭予防などエチケットに必要
*誤嚥性肺炎予防のために必要

歯磨きについての注意事項

●口腔粘膜損傷事故に注意
ある病院の口腔外科外来では、幼児の口腔粘膜損傷の原因の1番が歯磨きです。歯磨き時の転倒によ る口腔粘膜損傷事故に注意しましょう。歯ブラシをくわえたままでふざける子供には注意したいものです。
●歯の磨耗、歯肉の損傷
強すぎるブラッシング圧による歯の磨耗、歯肉の損傷があるので、歯科医院で正しい指導をうけましょう。

特集 健康づくり

ここではWHOが提唱し、本会が推進する新たなる健康づくりの考え方を紹介します。これらの考え方は、フロリデーションや集団フッ化物洗口と深いかかわり合いがあり、理論的支柱として重要な意味を持っています。

新たなる健康づくりの考え方

子供の歯を守ることは、大人の歯を守り、生涯の歯の健康に影響します。生涯を通じて、健康で快適な生活を過ごすためにはどうしたら良いでしょうか?

従来の健康づくりから、「新たなる健康づくり」ヘルスプロモーションへ考え方を切り替える必要があります。

新しい健康観

1964年のWHOの主催する世界保健総会では「健康とは、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態」と定義されました。

その40年後のカナダ・オタワでの世界保健総会では「健康とは、その人の潜在能力を最大限生かし、個人の望みを確認・実現しようとする状態」とより高度になりました。

これまでの健康づくり


これまでの健康づくりは、地域の人々に「講演会や研修会」「文書」で知識や技術を教えることにより、住民の意識を向上させて、住民が努力する気持ちになり、健康を増進しようとするものでした。

知らぬ間に自然に忍び寄る生活習慣病は、個人的な努力だけでは予防することが難しく限界があります。


悪い社会環境という急な勾配の坂道で健康獲得という大きな玉を目標まで押し上げるには辛すぎてたった一人では挫折してしまいます。

ヘルスプロモーションの推進

ヘルスプロモーションとは、人々が自らの健康をコントロールし、改善することができるようにする過程(プロセス)のことです。健康に資する諸行為や生活状態に対する教育的支援と環境的支援の組み合わせです。


ヘルスプロモーションの2つの柱
@ まず、個人を取り巻く環境を健康に役立つように改善し、健康を獲得しやすいようにすることです。
A また、個人が健康を増進する能力を備えることにより、自らが健康を獲得する力を身につけることです。

健康作りがしやすい環境を作ることは行政や社会の責任であり、このことが健康獲得の坂道の勾配を下げることになります。

また、個人への各種の啓発活動によって、知識の伝達や動機付けが成功し、多くの住民の参加によりみんなの協力で健康を獲得することができます。

健康を手段として生活の質を高めることができるのです。

健康づくりと歯科保健

子供の歯を守ることは、大人の歯を守ることにつながり、生涯の歯の健康に影響します。生涯を通じて、健康で快適な生活を過ごすためにはどうしたら良いでしょうか?ここでは新たなる公衆衛生の潮流をご紹介します。

むし歯や歯周病は、いまこの現在もなお、数多くの人々に苦痛と不快感をもたらしています。これらの病気の原因は徐々に解明されつつあり、また数多くの効果的な予防方法も、確立してきています。また歯科治療は、決して歯科疾病の原因を撲滅し得ないという知見があるにも関わらず、国内で予防に費やされているのは、歯科医療費のごく一部のみとなっています。

歯科治療にはさまざまな限界があるという認識のもとに、代わりとなる健康を守る方法「健康づくり」が試みられています。当会は、健康づくりの考え方を積極的に支持し、普及していきたいと考えています。

健康づくりの発祥

健康づくりという考え方は、どこから生まれたのでしょうか?その謎解きのために、健康づくり発祥の地である19世紀のイギリスに、さかのぼってみましょう。

19世紀のイギリスは、産業革命の影響を受け、大きな街の労働者にはいくつもの重荷が背負わされていました。それは、 貧しさと過酷な労働状況、劣悪な生活環境です。

この恐るべき社会的状況は、必然的にいくつかの社会的課題へと帰結しました。その一つが、コレラ、インフルエンザなど感染性疾病の大流行です。疾病は、市民にあまねく広がり、社会の安定への脅威となりました。

健康づくりの源流

Edwin ChadwickやSouthwood Smithのような優れた改革者たちは、 地方自治体の改革を通して社会的状況を改善することの必要性を強く訴えました。 1875年、 彼らの訴えは一つの法令に結実します。都市の水道供給、 下水処理、 動物処理の管理について定めた公衆衛生法令 (Public Health Act 1875) の採択です。

法令に基づいた環境の整備は、感染性疾病の減少に大きな影響を及ぼしました。これは、臨床医学が感染症の病原体や抗菌薬を発見するよりずっと以前の出来事でした。「健康づくりという考え方」の源流は、ここから始まったといわれています。

しかし、「健康づくりの考え方」は、この後いったん下火となってしまいます。 健康づくりの現場では、いったい、何がおこったのでしょうか?

下火となる健康づくり

19世紀の後半までに、疾患の流行による脅威は減少しました。すると、 健康づくりの考え方は、 環境的な手段から、個人教育に焦点が絞られるようになり始めました。健康づくりはやがて、この教育的な手法へ偏るようになりました。

教育的な健康づくりは、 次第に心臓病の予防、がんの予防、 高血圧の予防、糖尿病の予防、と健康を脅かす多くの疾患の一つ一つの予防を重視する風潮へと発展していきます。また、 情報キャンペーンや、より病気になりやすい人を特定し、予防する手法なども、 広まっていきました。

健康づくりの夜明け

しかし、 社会環境から健康づくりを支援しましょうという考え方は、下火となることはあっても、途絶えることはありませんでした。1974年には、 当時すでに世界的となっていた教育的な健康づくりと、 社会環境の改善を基盤とした健康づくりとを統合するきっかけとなる提言が、 カナダから発信されました。  それはカナダの健康大臣による“死亡と疾患の大きな原因は、 生物医学的な特性にあるのでは無く、環境的な要因、 個人の行動、そして生活様式にある”という提言です (Lalonde 1974)。この提言は、ややもすれば個人へと偏りがちだった健康づくりの視点を、個人と環境の両方へ向けさせる上で、大きな役割を果たしました。この流れを汲み1986年にWHOは、カナダのオタワにて国際会議を開きました。

このページの主題である、 「健康づくり」への提言です。

健康づくり国際会議の開催

世界保健機構(WHO = World Health Organization)は1986年の11月にカナダのオンタリオ州オタワ市にて、新たなる公衆衛生の潮流を明らかとするために、健康づくり国際会議を開催し、以下のような展望を掲げました。

1. 支援環境の整備
 環境が健康にあたえる影響を認識し、健康づくりにつながる変化の機会を特定しましょう。
2. 健康政策の制定
 保健部門のみではなく、すべての部門の政策が健康に影響をあたえるということに、注意を促しましょう。
3. 地域活動の強化
 個人と地域が中心となって、健康獲得のための優先順位の設定、決断、戦略の計画と実行をしましょう。
4. 個人技能の開発
 情報を発信するだけではなく、一人一人が健康づくりをできるように個人や社会、政治の技能開発を支援し、その情報の理解を促しましょう。
5 医療事業の再設定
 治療や臨床を存続させる責任から離れ、健康づくりに焦点を絞りましょう。

これらは今ではオタワ憲章として知られています。オタワ憲章のひとつひとつを実現することは、「健康づくり」に必要な幅広いさまざまな手法を網羅する、多様で有効な活動へとつながっています。

すなわち、病気になった人をいたずらに非難する「個人の努力に基づいた予防活動」に対する批判が展開され始め、予防は個人のみで実現できるものではなく、社会環境の整備、資源の開発が必要であるとするものです。 

北海道子どもの歯を守る会は、
WHOの提唱する「健康づくり」の考え方を
積極的に支持し、普及していきたいと考えています。

特集 世界の報告書

国連食糧農業機関/世界保健機関の共同報告書

WHOテクニカルレポートシリーズ916
食事、栄養および慢性疾患予防
WHO/FAOはフッ素を栄養素としている
世界保健機関 ジュネーブ2003年

フッ化物の影響

 フッ化物は疑いもなく抗むし歯性物質である。飲料水のフッ化物とむし歯の関連が逆相関であることはよく知られている。フッ化物は小児のむし歯を20-40%減少させる。
 むし歯に対するフッ化物利用の効果に関する対照研究が800以上行われ、フッ化物がむし歯に対して最も効果的な予防要因であることが示されている。

食事とむし歯の関連における根拠の強さ

根拠むし歯減少関連なしむし歯増加
確実な根拠フッ化物利用
(局所および全身)
デンプン摂取
(一部除く)
遊離糖質量
遊離糖質頻度
おそらく確実な根拠硬いチーズ
砂糖を含有しないガム
新鮮な果物
可能性がある根拠キシリトール
牛乳
食物繊維
低栄養
不十分な根拠新鮮な果物ドライフルーツ

WHO勧告(フッ化物利用に関して)

 現在栄養に関する過度期にある多くの国は、適切にフッ化物を利用していない。
 例えば、安価な歯磨剤や水、食塩、牛乳などの適切な方法を介して十分なフッ化物利用を促進すべきである。

 各々の国に応じたフッ化物利用の計画と実行は、政府保健当局の責任である。
 また、その他地域で選択できるフッ化物利用計画の実施と結果の研究を奨励すべきである。

以下全文  東北大学医学部(現公共政策大学院) 坪野吉孝教授翻訳

5.6 歯科疾患予防の勧告目次

5.6.1 背景
5.6.2 傾向
5.6.3 食事および疾患
5.6.4 根拠の強度
5.6.5 疾患別勧告

略語 以下の略語を本報告書に使用している。

ACC国連調整管理委員会
AIDS後天性免疫不全症候群
BMI体格指数
CARMEN欧州各国における炭水化物管理
CHD冠動脈疾患
CVD心血管疾患
DALY障害調整生存年
DASH高血圧予防の食事法
DEXA二重エネルギーX線吸収法
DHAドコサヘキサエン酸
dmfむし歯未処置、喪失、処置乳歯
DMFむし歯未処置、喪失、処置永久歯
dmftむし歯未処置乳歯、(むし歯原因で)喪失した乳歯、処置乳歯
DMFTむし歯未処置永久歯、(むし歯原因で)喪失した永久歯、処置永久歯
DONALDDortmund栄養・人体計測長期デザイン試験
ECC早期発現型乳歯むし歯
EPAエイコサペンタエン酸
EPIC癌・栄養の欧州前向き研究
ERGOB口腔生物学の欧州研究グループ
FAO国連食糧農業機関
FAOSTAT国連食糧農業機関統計データベース
FER脂肪エネルギー比
GDP国内総生産
GISSIGruppo Italiano por lo Studio della Sopravvivenza nell'Infarto Miocardico
GNP国民総生産
HBP高血圧
HDL高比重リポタンパク
HIVヒト免疫不全ウイルス
HFI遺伝性果糖不耐症
HOPE心臓転帰予防評価
IARC国際癌研究機構

5.6 歯科疾患予防の勧告本文

5.6.1 背景

 口腔の健康(口腔保健)は多くの点で食事と関連しており、例えば栄養は頭蓋顔面の発達、口腔癌および口腔感染症に影響を与える。しかし、本レビューの目的は歯科疾患の栄養的側面に焦点を当てることである。歯科疾患にはむし歯、エナメル質形成不全、歯の酸蝕症および歯周病がある。歯科疾患は医療サービスにとり高額な負担で、総医療費の5-10%を占め、工業国では心血管疾患や癌、骨粗しょう症の治療費を上回る(1)。低所得国では、歯科疾患の従来の修復治療費が医療資源を上回ると思われる。健康の促進および予防戦略は明らかに実行も継続も可能である。

 歯科疾患に起因する死亡率は低いが、自尊心や摂食能力、栄養、健康に影響を与えるため、小児および高齢者両方の生活の質を悪化させることがある。現代社会では歯の重要な役割は外見を良くすることである:顔面は個人の社会との結びつきを決定するのに重要で、歯は会話や意思疎通に必須である。口腔疾患はかなりの疼痛、不安および社会的機能障害と関連する(2,3)。むし歯は歯の喪失の原因になり、栄養価のある食事摂取、食物摂取の楽しみ、社会生活の自信および生活の質を損なう(4-6)。


5.6.2 傾向

 むし歯は乳歯/永久歯列のむし歯経験量を表すdmf/DMF指数で判定する。この指数はむし歯が原因で、むし歯未処置、喪失または処置した歯数または歯面数を示す。歯科疾患は歯の喪失をもたらし、それに伴う歯の状態の指標とは集団における無歯顎(天然歯がない)の割合を示すことである。

 ほとんどの低所得国では、むし歯有病率は低く、むし歯の90%以上が未処置である。12歳でのむし歯未処置、喪失歯、処置歯(DMFT)の平均値は、中間所得国で3.3、高所得国で2.1であるのに対し、低所得国では1.9であることがデータ(7)で報告されている(表11)。

12歳児の永久歯むし歯に関するデータには、2つの明らかな傾向がみられる。第一に先進国でのむし歯有病率が低下し、第二に開発途上国における有病率が上昇したことである。開発途上国では糖類の消費が増加しているにも関わらず、十分な量のフッ化物が未だ導入されていないことである。過去30年で先進国のむし歯が著名に減少したにも関わらず、むし歯有病率は多くの先進国で依然として高い。平均DMFTスコアが低い国でも、多くの割合の小児にむし歯がみられるものの、永久歯むし歯には歯止めがかかっていると指摘されている(8)。

表11 12歳児むし歯の傾向
国または地域12歳での1人あたりの平均DMFTa
DMFTaDMFTaDMFTa
工業国
オーストラリア19569.319822.119980.8
フィンランド19757.51982419971.1
日本19755.919933.619992.4
ノルウェー19401219794.519991.5
ルーマニア1985519914.319963.8
スイス1961-639.619801.719960.8
英国19833.119931.41996-971.1
米国19467.619802.619981.4
開発途上国
チリ19602.819786.619964.1
コンゴ民主共和国19710.119820.319870.4-1.1
仏領ポリネシア19666.519863.219943.2
イラン・イスラム共和国19742.419764.919952
ヨルダン19620.219812.719953.3
メキシコ19755.319912.5-5.119972.5
モロッコ19702.619804.519992.5
フィリピン19671.419812.919984.6
ウガンダ19660.419870.519930.4
出典:参考文献(7)
aむし歯未処置、喪失歯、処置永久歯


 多くの開発途上国ではDMFT数が低いが、乳歯むし歯の有病率は高い。欧州の5歳児におけるデータは、むし歯有病率の減少傾向が停止していることを示す(9-11)。5-7歳児では、2.0未満の平均dmft数がデンマーク、イングランド、フィンランド、イタリア、オランダおよびノルウェーで報告された(12)。これより高いdmft数がベラルーシ共和国(4.7)(13)、ハンガリー(4.5)(14)、ルーマニア(4.3)(15)およびロシア連邦(4.7)(16)で最近報告された。

 12歳でむし歯がないことは、生涯にわたってむし歯がないことを意味しない。1988年以降の欧州連合における各国の平均DMFTは、35-44歳で13.4-20.8であった(17)。口腔の健康状態に関するWHOガイドラインでは、35-44歳での14以上のDMFTが高いと考えられる。ほとんどの開発途上国で、この年齢群の成人におけるむし歯は低く、例えば中国で2.1(18)、ニジェール共和国で5.7(19)である。高齢者における歯根面むし歯の有病率と重症度のデータはほとんどないが、高齢人口が増加し、歯の維持が重要になるため、歯根面むし歯は今後公衆衛生上の問題として大きくなる可能性がある。

 いくつかの工業国で無歯顎者数が経時的に減少している(3)。しかし、多くの割合の高齢者が無歯顎または部分的な有歯顎である。高齢人口が増加するに従い、歯の喪失が世界的に多くの人々に影響を与えつつある。表2にはこれまで報告された世界的な高齢者集団における無歯顎者率情報を要約している。

表12 世界の高齢者における無歯顎者率
WHO地域無歯顎者率(%)年齢群(歳)
アフリカ地域
ガンビア665
マダガスカル2565-74
アメリカ地域
米国2665-69
カナダ5865
東地中海地域
エジプト765
レバノン2064-75
サウジアラビア31-4665
欧州地域
アルバニア6965
オーストリア1565-74
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ7865
ブルガリア5365
デンマーク2765-74
フィンランド4165
ハンガリー2765-74
アイスランド1565-74
イタリア1965-74
リトアニア1465-74
ポーランド2565-74
ルーマニア2665-74
スロバキア4465-74
スロベニア1665
英国4665
西太平洋地域
カンボジア1365-74
中国1165-74
マレーシア5765
シンガポール2165
東南アジア地域
インド1965-74
インドネシア2465
スリランカ3765-74
タイ16.365
出典:参考文献(7)

 歯の酸蝕症は世界的に多くの国で比較的新しく認識された問題であり、食事と関連している。有病率が工業国で上昇しているという事例の根拠があるが、本疾患のパターンを経時的に示すデータはない。世界的な傾向を論評するため入手できるデータも不十分である;しかし特定の母集団では小児の約50%が罹患している(20)。


5.6.3 食事と歯科疾患

 栄養状態が萌出前の歯に影響を与えるが、この影響は萌出後の食事効果ほど重要ではない(21)。ビタミンDとAの欠乏およびタンパク質とエネルギーの不足は、エナメル質形成不全および唾液腺萎縮と関連する(歯垢中酸を緩衝する口腔の能力を減退させる)。開発途上国では食事の糖類が少なく、低栄養はむし歯と関連しない。低栄養に糖類摂取増加が加わると、むし歯のリスクが上昇する。

 歯周病は低栄養の母集団で急速に進行するという根拠がある(22);宿主の免疫反応を適切に保つために、栄養が重要な役割を果たすことからこのことの説明が可能である。ビタミンCの重度欠乏とは別に、壊血病と関連する歯周炎の原因となるが、これ以外では食事と歯周病との関連を示す根拠はない。歯周病における抗酸化栄養素の役割が現在研究されている。歯口清掃の不良が歯周病発現の最も重要な危険因子である(21)。低栄養は口腔感染症の重症度を悪化させ(例えば、急性壊死性潰瘍歯肉炎)、人の容貌を変形させる口腔顔面壊疽である水癌などの生命を脅かす疾患に進展させる可能性がある(23)。

 食事由来の糖類の嫌気性代謝により、歯垢中の細菌が有機酸を産生し、エナメル質および象牙質が脱灰してむし歯が発生する(24)。有機酸は歯硬組織のカルシウムヒドロキシアパタイトを溶解し、脱灰が発生する。唾液はpH7でカルシウムおよびリン酸塩で飽和し、再石灰化が生じる。口腔pHが十分に時間をかけて高く保たれた場合、エナメル質の再石灰化を促進する。しかし、酸の侵襲が大きければ、脱灰が優勢になり、エナメル質がさらに多孔質になって最終的にむし歯が発生する(25)。むし歯の進行には糖類と細菌発生が必要であるが、歯の感受性、細菌の構成、唾液の量と質が影響を与える。

食事の糖類とむし歯

 食事の糖類がむし歯の病因に役割を果たすという根拠が、in vivoおよびin vitroのヒト研究、動物実験および実験的研究などの様々な研究で、多く示されている(21)。ひとまとめにすると、これら研究データは、炭水化物のむし歯原性の全体像を示す。糖類は疑いもなくむし歯の進行の最も重要な食事要因である。ここでは、「糖類」という用語は全ての単糖類および二糖類を意味し、「砂糖」という用語はスクロースのみを意味する。「遊離糖質」という用語は、製造業者、調理人または消費者が食物に添加する全ての単糖類および二糖類に加えて、蜂蜜やフルーツジュース、シロップに天然に存在する糖類を意味している。「発酵炭水化物」という用語は、遊離糖質、グルコースポリマー、オリゴ糖および高度に精製されたデンプンを意味する;非デンプン多糖および生デンプンは除外される。

 世界的な疫学研究で国レベルの砂糖消費とむし歯を比較した。Sreebny(26,27)は47ヶ国を対象に12歳でのむし歯経験(DMFT)と砂糖供給データを比較して、有意な相関を見出した(+0.7);むし歯における変動の52%が、1人あたりの砂糖の入手により説明が可能であった。1年間の1人あたりの砂糖消費が18kg未満の国では、一貫してDMFTが3未満であった。WoodwardおよびWalker(28)の後年の分析では、先進国における関連は見出されなかった。それにも関わらず、むし歯の変動の28%は砂糖の入手によるものであった。砂糖入手が50g/日未満の26ヶ国中23ヶ国で、12歳での平均DMFTが3未満で、これ以上の入手国では半数のみが3未満のDMFTであった。

 MiyazakiおよびMorimoto(29)は、1957年-87年の日本における砂糖入手と12歳でのDMFTの有意な相関(r=+0.91)を報告した。第二次世界大戦中に砂糖の入手が減少した母集団では、むし歯が減少したが、その後制限が解除された後増加した(30-32)。これらのデータはフッ化物配合歯磨剤の使用が広まる前のものであるが、Weaver(33)は1943-49年に、飲料水におけるフッ化物濃度に関わらず北イングランドの地域で、むし歯減少を観察した。

 伝統的な生活様式を保ち、糖類摂取が一貫して低い孤立地域では、むし歯が非常に低い。このような社会では経済が発展するとともに、食事の砂糖および他の発酵炭水化物が増加し、むし歯の顕著な増加と関連する。この傾向の実例が米国のアラスカのイヌイット(34)や、エチオピア(35)、ガーナ(36)、ナイジェリア(37)、スーダン(38)、トリスタンダクーニャのセントヘレナ島(39)の集団である。

 糖類に大きく曝されている多くの集団は、母集団平均よりもむし歯が高いという根拠が示されている。長期に砂糖を含有する薬剤を必要とする慢性疾患の小児(40)および菓子製造作業員(41-44)がその実例である。加えて、習慣的に糖類摂取が少ない人々の集団、例えば歯科医の子供(45,46)や厳密な食事レジメンの施設の子供(47,48)に、むし歯が稀であると報告されている。母集団観察からのデータの弱点は、糖類摂取の変化が精製デンプン摂取の変化と関連することが多く、むし歯の変化を単に糖類摂取の変化とすることができないことである。例外は遺伝的フルクトース不耐性(HFI)の小児の研究からのデータである。HFIの人々は糖類摂取が制限され、デンプン摂取は制限されない。HFIの人々においては、糖類摂取が少なくデンプン摂取が平均より多く、むし歯は稀であることが研究で示された(49)。

 ヒトの介入研究については稀にしか行われず、報告されたものは何十年も前のもので、それは糖類摂取とむし歯との間の強い関連が確立される前のフッ化物利用以前の時代に行われた。今日、倫理上の制約のため、このような介入実験を行うことは不可能である。1945-53年にスウェーデンの成人精神科施設で行われたVipeholmの研究(50)で、粘着性の変化した様々な砂糖食品を1日の様々な時間に消費して、むし歯の進行に対する効果を検討した。大量の砂糖でも、最大4回まで食事で消費する場合、むし歯はほとんど増加しないことが見出された。しかし、食間の砂糖消費の頻度はむし歯の顕著な増加と関連した。むし歯となる機能は砂糖の多い食品をなくすと消失した。研究はフッ化物利用以前の時代のものであり、複雑な性質を備えているが、結論は有効である。Turkuにおける研究では、1970年代にフィンランドの成人で行われた比較対照食事介入研究であり、スクロースをキシリトール(非むし歯原性甘味料)にほぼ全面的に代えたところ、2年間でむし歯が85%減少した(51)。

 多くの断面疫学研究で、世界の多くの国における糖類摂取とむし歯の程度が比較された。1990年代早期以前の研究が、Rugg-Gunnにより要約された(21)。消費された糖類の量とむし歯増加とを比較した21研究中9研究で、有意な関連が示されたが、12研究では示されなかった。さらに、糖類摂取頻度とむし歯との関連を検討した37研究中23研究で有意な関連が示されたが、14研究では示されなかった。

 1968-70年に米国の9-29歳の2,514人で行われた断面研究で、最も多く糖類を消費した若年者のむし歯は(標本の上部15%)、最も少ない消費量の若年者(標本の下部15%)の2倍であった(52)。Granathら(53)は、スウェーデンの就学前小児の乳歯むし歯と関連する最も重要な要因は、糖類摂取であることを示した。歯口清掃とフッ化物の効果が維持されると、食間の糖類摂取が低い小児と高い小児のむし歯の差は最大86%であった。他の研究で、フッ化物利用と歯口清掃は、糖類消費よりもさらに強くむし歯と関連することが示された(54,55)。英国の近年の研究において、4-18歳の小児の代表的なサンプルでは、むし歯と遊離糖質摂取の程度と有意な関連を示さなかった;しかし15-18歳の群では、遊離糖質消費者の多い群は、少ない群よりむし歯が多かった(70%対52%)(20)。
 中国(56)、デンマーク(57)、マダガスカル(58,59)、サウジアラビア(60)、スウェーデン(61,62)、タイ(63)および英国(64)などの世界中の国または地域で行われた多くの断面研究で、糖類消費と乳歯および/または永久むし歯むし歯に関連があることが示された。

 食事とむし歯の進行との関連を検討する場合、経時的な糖類摂取習慣がむし歯経験の変化と関連する縦断的なデザインが適切である。このような研究はむし歯の進行と糖類摂取の間に有意な関連を示した(65-67)。イングランドの11-12歳の小児400人の包括研究で、2年間の総糖類摂取とむし歯増加との間に弱いが有意な関連が示された(r=0.2)(67)。米国のミシガン試験は試験開始時10-15歳の小児の糖類摂取とむし歯増加との関連を3年間検討した(66)。食事の糖類量とむし歯との間に弱い関連がみられた。

 糖類消費が高くフッ化物が広範に利用される国で、食事の糖類とむし歯との関連が消失するかどうかを検討するために、縦断研究が予防法の行われている現代社会で施行され、そのデータは糖類消費とむし歯の間に関連があると結論付けられている(68)。多くのこれまでの研究は方法論的によくないデザインで、不適切な食事分析方法を使用し、不十分な有意性であったため、糖類摂取とむし歯の進行の関連を示していなかった(68)。研究母集団の糖類摂取の範囲が限定されたため、個人の糖類消費とむし歯増加の関係は弱いものであった。母集団の全員が疾患危険因子に暴露される場合には、危険因子と疾患の関連は明確でない(69)。

 糖類消費の頻度および量。上述のスウェーデンのVipeholm研究を含むいくつかの研究は、糖類摂取が1日4回を超えるとむし歯が顕著に増加することを示している(50,70-72)。頻度対総糖類摂取量の重要性は、互いに区別しにくいため評価が困難である。動物研究のデータはむし歯の進行に糖類摂取頻度が重要であることを示している(73,74)。いくつかのヒトの研究では糖類摂取頻度がむし歯の進行の重要な病因であることを示している(75)。多くの研究は糖類または糖類の多い食物の摂取頻度とむし歯を関連付けているが、糖類消費量とむし歯の関連を同時に検討していないため、これら2つの変数の相対的な重要性に関する結論は出ていない(76-78)。

 動物研究も糖類消費量とむし歯の進行との間に関連を示した(79-82)。いくつかのヒトの縦断研究では糖類摂取量が頻度より重要であることを示しており(66,67,83,84)、Jamelら(85)は砂糖摂取の頻度と量が重要であることを見出した。

 糖類消費の量および頻度の間の疑いもなく強い相関が、異なった国の何人かの研究者により示された(67,86-88)。従って、むし歯の進行に関して両変数とも重要であることが根拠で示されている。

 異なった糖類および食物の固さの相対的むし歯原性。歯垢中pH研究で異なった単糖類および二糖類の相対的酸産性能を調査したところ、ラクトースが他の糖類よりも酸発性が低いことが示された(89)。動物研究でラクトースを除いて単糖類および二糖類のむし歯原性が異なるという明らかな根拠は示されていない。フィンランドのTurkuにおける上記研究は、スクロース添加食摂取とフルクトース添加食摂取には、むし歯の進行の差がないことを示した(51)。転化糖(50%フルクトース+50%グルコース)はスクロースよりもむし歯原性が低い(90)。

 食物の吸着性または粘着性は、口腔停留時間またはむし歯原性に必ずしも関連しない。例えば、砂糖添加飲料(非粘着性)消費は、むし歯のリスクの上昇と関連する(85,88)。

 糖類減少が他の食事成分に与える影響。遊離糖質減少が他の食事成分に与える影響を検討することは重要である。母集団の食事データの単純横断分析は、遊離糖質摂取と脂肪摂取の間に逆の関連を示し(91)、遊離糖質減少が脂肪摂取増加をもたらすことが示唆される。しかし、脂肪摂取および遊離糖質摂取の変化は逆の関連ではなく、脂肪摂取減少は遊離糖質ではなくデンプン摂取増加で相殺されることが研究からの多くの根拠で経時的に示されている(92,93)。Cole-Hamiltonら(94)は脂肪および添加糖類摂取が、繊維摂取増加で同時に減少することを見出した。全粒主食穀物や果物、野菜の摂取増加を促進し、遊離糖質消費を減少させる全体的な食事の目標としては、脂肪の消費増加をもたらすことはないと言える。

フッ化物の影響

 フッ化物は疑いもなく抗むし歯性物質である(95)。飲料水のフッ化物とむし歯の関連が逆相関であることはよく知られている。フッ化物は小児のむし歯を20-40%減少させるが、むし歯を100%防ぐわけではない。むし歯に対するフッ化物利用の効果に関する対照研究が800以上行われ、フッ化物がむし歯に対して最も効果的な予防要因であることが示されている(95)。しかし、適切なフッ化物が存在するにも関わらず、研究は未だに糖類摂取とむし歯の関連を示している(33,71,96,97)。小児を対象とした2つの主要な縦断研究では、フッ化物利用と歯口清掃の実行で管理した後も、糖類摂取とむし歯の進行の間に関連が残されていることが観察された(66,67)。Marthaler(68)はむし歯有病率の変化を見直して、フッ化物利用などの予防的手段を講じても、糖類摂取とむし歯に関連がみられると結論付けた。また、適切なフッ化物を利用する工業国では、糖類摂取を減少させない限り、むし歯の有病率と重症度が低下しないとも述べた。フッ化物を利用する集団において、糖類摂取のむし歯の病因における重要性を検討した最近のシステマティックレビューでは、以下のように結論付けている:適切にフッ化物を利用する場合の糖類消費は、ほとんどのヒトで中等度の危険因子となる、定期的にフッ化物を利用しない場合の糖類消費は、むし歯のリスクに対するより強力な指標となる、フッ化物を広範囲に利用すれば糖類消費を制限することがむし歯予防に役割を果たすが、フッ化物利用がない場合ではそれほど強力ではない。フッ化物の予防的役割には議論の余地がない。一方、口腔衛生とむし歯の間には明確な相関関係を示す強力な根拠はない(98-100)。

 エナメル質形成中に長期にわたり過剰なフッ化物を摂取すれば、歯のフッ素症をもたらす。上水道中のフッ化物濃度が高すぎる場合に限って、歯のフッ素症が観察される(95)。

デンプンとむし歯

 むし歯原性の可能性を評価する際、デンプンの異質性(例えば、精製の程度、植物学的起源、生または調理)を考慮するべきである。疫学研究はデンプンのむし歯に対するリスクが低いことを示した。高デンプン/低糖類食を消費する人々はむし歯の程度が低く、低デンプン/高糖類食を消費する人々はむし歯の程度が高い(39,48,49,51,67,101,102)。ノルウェーおよび日本で、第二次世界大戦中にデンプン摂取が増加したが、むし歯発生は減少した。いくつかの種類の実験で、生のデンプンのむし歯原性が低いことが示された(103-105)。調理したデンプンのむし歯原性はスクロースの約1/3・1/2である(106,107)。しかし、デンプンおよびスクロースの混合物のむし歯原性はデンプンのみよりも高い(108)。口腔内電極を使用する歯垢中pH研究は、デンプン含有食物が歯垢中pHを5.5以下に低下させるが、デンプンはスクロースほど酸発性がないことを示した。歯垢中pH研究はむし歯の進行ではなく基質からの酸産生を測定しており、一部のデンプン含有食物にみられる保護的要因または唾液流量の刺激に対する食物効果を判定していない。

 工業国ではグルコースポリマーおよび前生命力学的要因が多く食物に添加されている。これらの炭水化物のむし歯原性の根拠は少なく、動物研究や歯垢中pH研究、in vitro研究からのデータは、マルトデキストランおよびグルコースシロップがむし歯原性であることを示唆している(108-110)。歯垢中pH研究およびin vitro実験は、イソマルトオリゴ糖およびグルコオリゴ糖がスクロースほど酸産生能が高くないことを示唆している(112-114)。しかし、フルクトオリゴ糖はスクロースと同じ酸産生能を示すという根拠がある(115,116)。

果物とむし歯

 ヒトの食事の一部として消費される場合、果物がむし歯の進行の重要な要因であるという根拠はない(67,117-119)。多くの歯垢中pH研究が果物の酸産生能を示した(スクロースほどではない(120-122))。動物研究では果物の摂取頻度を高くすると(例えば、1日17回)むし歯を誘発する(123,124)が、スクロースほどではないことを示している。疫学研究のみに果物の消費とDMFTの関連がみられ(125)、穀物農園作業員と比較すると、果物農園作業員の果物摂取が非常に多く(例えば、1日にリンゴ8個またはブドウ3房)DMFTが高いことは喪失歯数の差でも明確である。

むし歯から保護する食事要因

 いくつかの食事成分はむし歯から保護することが可能である。いくつかの実験研究(126,127)、ヒト観察研究(67)および介入研究(128)で、チーズの抗むし歯性が示された。牛乳にはカルシウムやリン、カゼインが含有され、これら全てはむし歯を阻害すると考えられている。いくつかの研究は牛乳摂取後の歯垢中pH低下が無視できることを示した(129,130)。牛乳の抗むし歯性は動物研究で示されている(131,132)。Rugg-Gunnら(67)はイングランドの若年者研究で牛乳の消費とむし歯増加に逆の関連を見出した。全粒穀物も保護的特性を有する。全粒穀物は咀嚼がより必要であり、唾液流量を増加させる。唾液流量に良い味覚および/または自動的刺激を与える他の食物は、ピーナツや硬いチーズ、ガムである。有機および無機リン酸(非精製植物性食物にみられる)の両方とも動物研究で抗むし歯性が示されたが、ヒトにおける研究では決定的ではなかった(133,134)。動物研究およびヒトにおける実験研究の両方とも、紅茶抽出物が歯垢中フッ化物濃度を増強し、糖類の多い食事のむし歯原性を低下させることを示した(135,136)。

母乳とむし歯

 疫学研究では、母乳の健康に対する肯定的な効果の1つとして、母乳がむし歯の低い程度と関連することを示した(137,138)。いくつかの特異的症例研究で、頻回の長期間の夜間での授乳と小児期早期のむし歯との関連が示された。哺乳瓶は早期発現型乳歯むし歯と関連するため、これを使用しない母乳保育乳には利点がある。さらに、母乳哺育児には遊離糖質を無添加の調整人工乳も与えるとよい。調合乳は歯科的な健康に利益をもたらさない。

歯の酸蝕症

 歯の酸蝕症は歯の硬組織の進行的不可逆性の欠損であり、細菌が関与しない過程で外因性および/または内因性の酸により歯の表面から化学的に溶解する。外因性の食事の酸にはクエン酸、リン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸および炭酸があり、例えば果物やフルーツジュース、清涼飲料、食用酢に含まれる。重度の酸蝕の結果、全ての歯が欠損となる(139)。ヒト観察研究で歯の酸蝕症および酸性食品と酸性飲料の消費に関連があることが示され、これにはフルーツジュースや清涼飲料(スポーツドリンクを含む)、漬物(食用酢を含む)、柑橘類、ベリー類がある(140-144)。加齢に伴う歯の酸蝕症は清涼飲料の大量摂取が大きいことが示された(20)。また実験的臨床研究で、酸性飲料の消費または摂取が唾液のpHを有意に低下させることが示されている(121)。コーラの飲用により1時間以内にエナメル質が軟化するが、牛乳またはチーズの摂取で元に戻る(145,146)。動物研究では果物および清涼飲料が酸蝕をもたらすことが示され(124,147)、フルーツジュースは果物自体よりも有意により破壊的である(148,149)。


5.6.4 根拠の強度

 食事の糖類をむし歯のリスクと関連付ける根拠の強度は、各研究の検出力ではなく研究の多様性にある。介入研究が強力な根拠をもたらした(50,51)が、これらの研究の弱点はフッ化物利用以前の時代に行われたことである。さらに最近の研究では、糖類摂取とむし歯の関連を示しているが、フッ化物利用以前のものほど強くない。しかし、多くの開発途上国の人々は、まだフッ化物を利用していない。

 むし歯は経時的に発症し、蓄積的なむし歯量と断面的な食事を同時に測定しても、むし歯進行における食事の役割を真に反映しないため、断面研究は慎重に解釈するべきである。現在のむし歯の程度は数年前の食事と関連する。むし歯の変化をモニターし、その食事要因との関連をみる縦断研究(66,67)は強力な根拠をもたらす。このような研究は全体的に高い糖類摂取でかつ個人間の変動の少ない母集団で行われている;このことが、今まで報告された相関関係の弱いことを説明している。

 糖類消費の変動が少ないという問題を克服した研究とは、食事の大きな変化の後のむし歯をモニターしたもので、例えば第二次世界大戦中の母集団での研究や、糖類を食事に導入する前後の母集団での研究である。これらの試験は、むし歯の変化が経済的成長における変化および遊離糖質の消費増加を、反映することを明らかに示している。時に糖類消費における変化には、他の精製炭水化物増加が伴った。しかし、糖類消費が減少してデンプン消費が増加しても、むし歯の程度が低下する例もある。

 砂糖入手とむし歯の程度が関連するという強力な根拠が、世界的規模の生態学研究でもたらされている(26,28)。これらの研究の限界は、砂糖の実際の摂取ではなく、入手に関するデータを使用していることであり、糖類摂取頻度を測定せず、摂取の程度が母集団で一様であると仮定している。また、スクロースの数値を使用しているが、多くの国で他の糖類から総糖類量を得ている。これらの研究は12歳のDMFTのみを検討しているが、母集団の代表的なサンプルとは限らない。

 歯の形態学、歯垢中細菌生態学、唾液の流量と成分、食事の形態(動物実験では通常粉状である)が異なるため、動物研究の結果をヒトに外挿する時には慎重に行う必要がある。しかし、動物研究は炭水化物の定義された種類、頻度および量のむし歯に対する効果の試験を可能にした。

 歯垢中pH研究は歯垢中酸産生を測定するが、食料の酸産生能はそのむし歯原性の直接的な測定にはならない。また歯垢中pH研究は食物、唾液流量および食事の他成分の効果の保護的要因を考慮していない。果物および調理デンプン食品でpH5.5以下に低下することを示した歯垢中pH研究の多くは、口腔内電極法で行われた。この電極は高感度かつ非識別的で、全ての炭水化物に「全か無か」の反応を呈する傾向がある(150)。

 1年間の1人あたりの砂糖消費が15kg(1日1人あたり40g)を上回ると、砂糖摂取増加とともにむし歯が増加することが一貫して示されている。1年間の1人あたりの砂糖消費が10kg(1日1人あたり約27g)以下であると、むし歯は非常に低い(26,28,29,51,151-158)。フッ化物利用(飲料水のフッ化物濃度は0.7-1.0ppmまたは90%以上がフッ化物配合歯磨剤である)は糖類消費の安全レベルを増加する。

表13-16 食事、栄養および歯科疾患と関連する根拠の要約

表13 食事とむし歯の関連における根拠の強度の要約
根拠むし歯減少関連なしむし歯増加
確実な根拠フッ化物利用
(局所および全身)
デンプン摂取(調理および生のデンプン食品で米、ジャガイモ、パンなど。糖類を添加したケーキ、ビスケット、スナックを除く)遊離糖質量
遊離糖質の頻度
おそらく確実な根拠硬いチーズ
砂糖を含有しないガム
新鮮な果物
可能性がある根拠キシリトール
牛乳
食物繊維
低栄養
不十分な根拠新鮮な果物ドライフルーツ


表14 歯の酸蝕症に対する食事に関連する根拠の強度の要約
根拠酸蝕症のリスク低下関連なし酸蝕症のリスク上昇
確実な根拠
おそらく確実な根拠清涼飲料とフルーツジュース
可能性がある根拠硬いチーズ
フッ化物
不十分な根拠新鮮な果物


表15 エナメル質形成不全に対する食事に関連する根拠の強弱の要約
根拠エナメル質形成不全のリスク低下関連なしエナメル質形成不全のリスク上昇
確実な根拠ビタミンD過剰のフッ化物摂取
おそらく確実な根拠低カルシウム血症


表16 歯周病に対する食事に関連する根拠の強度の要約
根拠歯周病のリスク低下関連なし歯周病のリスク上昇
確実な根拠良好な歯口清掃ビタミンC欠乏症
おそらく確実な根拠
可能性がある根拠低栄養
不十分な根拠抗酸化栄養素ビタミンE補給剤スクロース


5.6.5 疾患別勧告

 母集団の糖類消費が少ないとむし歯の程度も低いため、遊離糖質消費の勧告最大レベルが重要である。母集団の目標により口腔健康リスクが評価され、健康促進目標がモニターされることが可能である。

 入手できた最も良い根拠とは、1年間の1人あたりの遊離糖質消費が15-20kg未満の国で、むし歯のレベルが低いことが示されているものである。これは1日の40-55g摂取と等しく、エネルギー摂取の6-10%と同じである。現在の遊離糖質消費が低い国(1年間1人あたり15-20kg未満)では、消費レベルを増大させないことが特に重要である。高消費レベルの国には、政府保健当局および意思決定者が遊離糖質量減少のための国特定および地域特定目標を作成し、エネルギー摂取の10%を超えない最大量にすることを勧告している。

 遊離糖質量に関する母集団目標に加えて、遊離糖質消費の頻度目標も重要である。遊離糖質を含有する食物および/または飲料の消費頻度は、1日最大4回に制限すべきである。

 現在栄養に関する過渡期にある多くの国は、適切にフッ化物を利用していない。例えば、安価な歯磨剤や水、食塩、牛乳などの適切な方法を介して十分なフッ化物利用を促進すべきである。各々の国に応じたフッ化物利用の計画と実行は、政府保健当局の責任である。また、その他地域で選択できるフッ化物利用計画の実施と結果の研究を奨励すべきである。

 歯の酸蝕症の発生を最小にするために、清涼飲料とジュースの摂取量および頻度を制限すべきである。低栄養を排除すると、エナメル質形成不全および他の低栄養が口腔の健康に与える影響(例えば、唾液腺萎縮、歯周病、口腔感染症)を予防することができる。

第28回 WHO総会事務総長報告

フッ化物添加と歯科衛生
1975年5月29日

概要
本事務総長報告は1974年1月執行理事会によってなされた要請(1974年1月22日執行理事会決議EB53.R30)に応じて提出されたものであり、次の事実をもととしている。
○ 発展途上国における歯科齲蝕問題の急激な増加
○ 齲蝕予防フッ化物添加事業に対象者数と全世界人口との大きな差
○ 様々な種類のフッ化物の安全な使用のより科学的な証明
○ フッ化物添加が、学校単位のプログラムだけでは入手できない所で、使用される新しい技術処置の向上と合法化
○ 予防措置を有効に講じられないことから生じる歯科医の過度の負担

 第28回世界保健総会は執行理事会決議EB53.R30に基づき事務総長の提出した、水道水へのフッ化物添加の促進その他の歯科齲蝕予防法および歯科齲蝕病因・予防研究の支援に関する報告を審議した。

 食生活の変化、特に精製炭水化物の摂取率の増加に伴う世界的な歯科齲蝕予防の重要性を認めた。

 いかなる国であっても単に歯科治療サービスを提供するだけでは歯科齲蝕問題を解決することは期待できないことに注目した。歯科齲蝕予防措置としてフッ化物を使用することの安全性および効果に関する資料は十分入手したとみなした。

 最適含有量のフッ化物を含む水道水は最も効果的であるとされている歯科齲蝕予防方法であるが、第22回世界保健総会以後、飲料水中のフッ化物含有量が不十分でフッ化物添加が不可能な地域においてフッ化物の諸利点をとり入れたそれ以外の方法が開発され、かつまた(あるいは)テストされたことに注目した。

 世界保健機関は、安全な水の供給について加盟国を援助し、その事業をすすめるにあたって歯科衛生面を考慮に入れることが重要であることに留意した。

 多くの加盟国は水道水へのフッ化物添加その他のフッ化物利用措置を組織的な齲蝕予防事業にまだ十分とり入れていないことに注目した。


1. 事務総長に対しその報告に感謝する。

2.
次のことを勧告する。
(a) 事務総長提案事業の実施
(b) 公認の歯科齲蝕予防措置、特に水道水への最適濃度フッ化物混入の推進
(c) 加盟国の国家的齲蝕予防事業の企画と実施を支援

3.
国家の保健事業に歯科齲蝕予防事業をとり入れることを緊急重大事とみなすよう加盟国に要請する。

4.
事務総長に下記の事を要請する。
(a) 予算計上財源および非予算計上財源より本事業用の財政援助を得られるよう努力すること。
(b) 事業の進展状況、特に歯科齲蝕予防事業の人口集団に対する効果について定期的に世界保健総会で報告すること。

提案は、次の三つの部分から成り立つ。

(1) 地域の水道水のフッ化物添加と、歯科齲蝕予防のその他の方法を増強するプログラムの作成
(2) 病因学、歯科齲蝕の予防および関連諸問題の共同研究および調査の計画
(3) 予防活動と研究活動を連携させる情報収集と情報流布システムの計画
 これにより、各国の予防および研究がより効果的、より有用になるからである。

 いうまでもなく、この計画は各会員国がこの問題に取り組む準備ができているかどうかにかかっている。

 それによって、WHOの歯科保健プログラムが、3つの統合活動プログラムが指示しているように、実行されうるのである。会員国によるこの分野の活動およびWHOによるその後のプログラムの立案は、すべての先進国での最頻発の病気であり、発展途上国でもそうなりつつある。

 歯科齲蝕の発生を低下させるという長期間の目標と共に、世界保健総会(World Health Assembly)に託されている。

 各国が、研究機関を設け国家保健局の齲蝕予防活動の計画とプログラム作成を補佐することが提案されている。
 会員各国が、予防プログラムを遂行し、国の特定の目標への進歩の評価において自国の資源を動員する場合は、要請があればWHOは会員各国に援助を与える。

第22回 WHO総会決議文

弗素化と歯科衛生
1969年7月23日

 第22回世界保健総会は、執行理事会決議EB43.R10に基づき事務局長の提出した水道水の弗素化に関する報告を審議し、齲蝕が多くの人口集団に蔓延し、また、ますます多く発生していることを念頭において、数か国における研究が、一貫して弗化物が供給水の中に自然に適当な濃度である場合にはこの疾患の蔓延度が著しく低いことが示されていることを想起し、現在、この操作に経験のある国々から水道水中の弗化物濃度を適当なレベルに調節することは、実行しやすく、安全かつ効率的な公衆衛生的な手段であるとする報告を了承し、全人口に対し、歯科衛生の観点から弗化物の効果をもたらすには、これ以外に同等の有効手段がないことに注目し、この問題に関する広範な科学的文献中に、適当な濃度の弗化物を含む水道水を用いることが、人間の健康に悪影響があるという証拠が全く認められないことを強調し、数か国において、権威があり、かつ別個に行われたいくつかの調査が、すべて上記と似た結論に達していることを認め、さらに、多くの人口集団にとって、安全な水の供給が第一の要件であることを認め、

1. 事務局長に対し、その報告を感謝し、

2.
加盟国に対して、水またはその他の原因に由来する弗化物の摂取が、特定人口にとって適量以下である場合の地域社会供給水の弗素化の可能性について検討し、また、可能な場合には、これを実施すること、ならびに地域社会供給水の弗素化が実現困難な場合には、歯科衛生対策として弗化物を用いた方法について研究するよう勧告する。

3.
事務局長に対し、齲蝕の病因論、食品中の弗化物含有量、飲料水中の適当な濃度の弗化物の作用機序、および天然フッ化物の過度の摂取の影響に関する研究の奨励を継続し、その結果を世界保健総会に報告するよう要請する。

4.
事務局長に対し、この決議について、すべての加盟国の注意を喚起するように要請する。

アメリカ歯科医師会
フロリデーション(水道水フッ化物濃度適正化)の有効性と安全性に関するステートメント

(2000年6月29日)

 アメリカ歯科医師会は、40年以上にわたり、むし歯予防のために安全かつ効果的な方法として地域のフロリデーション(水道水フッ化物濃度適正化)を推奨してきました。フッ化物は天然由来の抗むし歯性化合物であり、岩石と土壌中で微量元素と結合して、地殻に天然に存在しています。微量のフッ化物は天然のかたちですべての水にも含まれており、程度の差こそあれ飲食物にも微量に含まれています。フロリデーション(水道水フッ化物濃度適正化)とはむし歯予防のために0.7ppm-1.2ppmの範囲で天然のフッ化物イオン濃度を調整する過程をいいます。

 “フロリデーションはCDC(疾病管理センター)によって20世紀の10大公衆衛生業績の一つに認められました”とリチャードF.マスカラD.D.S.アメリカ歯科医師会長は述べました。“フッ化物の利益は歯科医療を受け難いアメリカ人、とりわけこどもたちに、重要な意味を持っています。フロリデーションは安全で、効果的で、しかも国民の公衆衛生にとって極めて最良の活力に満ちたパワフルな方策である”と。

 アメリカ歯科医師会のほかにも、およそ100の国内ないし国際的な機関がむし歯予防にとって地域水道水フッ化物濃度適正化の公衆衛生的な利益を認めています。WHO(世界保健機関)、アメリカ合衆国公衆衛生サービス、アメリカ医学協会、アメリカ小児学会、アメリカ家庭医学会、IADR(国際歯科学会)、アメリカ教師・父母会、アメリカ癌学会など。しかも、ちょうど先月にはデビットサッチャー公衆衛生長官がOral Health in America(アメリカの口腔保健)に次のように書いています。“フロリデーションは小児と成人のむし歯予防をする際に安全でかつ効果的です。しかも、フロリデーションは人々の社会経済状態に関わりなく、地域に水道水が供給されているすべての住民にとって利益をもたらします。”

 不幸なことですが、フロリデーションの安全性と有効性に関する証拠は山ほどありますが、1億以上のアメリカ人はフロリデーションの直接的な利益にあずかっていません。州と地方歯科協会と手をとりあって、アメリカ歯科医師会は、フロリデーションによる利益を多数の地域に拡がるように、連邦、州と地方機関への働きかけを続けます。

 フロリデーションに関するアメリカ歯科医師会の方針はだれにでも受け入れられている科学的な知識を基本に据えています。この知識そのものは科学的な手法で研究を遂行し、研究所見に基づいて適切にバランスのとれた結論を導きだし、しかも広範囲に公開されて閲覧されている査読制度のある専門雑誌に研究結果が公表された、国家公認の多くの科学者たちの努力の成果に依拠しています。さらに、科学的な所見の確立によって、これまでの研究の信頼性を補強することにもなります。

 フロリデーション(水道水フッ化物濃度適正化)フッ化物とフロリデーションに関する情報については、アメリカ歯科医師会の次のサイトを御利用ください。http://www.ada.org/goto/fluoride/

アメリカ栄養士会の見解
健康に対するフッ化物の影響

WHO、FAO、アメリカ、EU連合などではフッ素を栄養素としています
アメリカ栄養士会の見解
健康に対するフッ化物の影響
(1998年9月28日米国下院可決)

アメリカ栄養士会雑誌 2000;100:1208-1213掲載
概要

 フッ素は体内組織の石灰化に重要な元素です。口腔の健康のために局所的、また全身的なフッ化物を使用した結果、う蝕とう蝕に関連する障害を大きく減少させました。
 公共の水道水フッ化物濃度適正化は、今ある最も効果的な歯科公衆衛生手段として90を越える保健専門機関によって支持されています。しかしながら、約半数のアメリカ合衆国民は、地域の水道水フッ化物濃度適正化とフッ化物配合製品の使用によって得られる恩恵を十分に享受できていません。
 フッ化物は、骨の健康にとっても有益です。骨粗鬆症予防のため高用量のフッ化物がどうかかわるかについて現在活発に研究中であり、今のところ研究的段階にあると考えられています。
 栄養学専門家は、定期的に全身的または局所的なフッ化物の使用を監視および促進すべきです。このことは特に成長期にある児童と青少年の時期に重要です。
 米国栄養士会は水道水フッ化物濃度適正化を含め、適正な量の全身的、また局所的なフッ化物の使用を重要な公衆衛生手段として改めて強力に支持します。しかしながら、高用量のフッ化物の服用を試す場合には、きちんとした計画に基づく臨床試験下での使用に限って認められるべきだということに注意する必要があります。
見解声明
 米国栄養士会は、フッ素が体の全ての石灰化組織にとって重要な元素であることを再確認します。適切なフッ化物の摂取は骨と歯の健康に有益であり、そのため、口腔の健康ひいては全身の健康にとって重要で積極的な意味をもっています。

監訳:吉池信男(独立行政法人・国立健康栄養研究所・研究企画・評価主幹)、安藤雄一(国立保健医療科学院・口腔保健部) 
翻訳:葭内顕史(歯科医師)、葭内邦子(管理栄養士)
下記に全訳を掲載します。
註:( )の数値は参考文献の番号
水道水フロリデーションを水道水フッ化物濃度適正化としました。
原文http://www.eatright.com/adap1000.htm

アメリカ栄養士会の見解
(1998年9月28日米国下院可決)

健康に対するフッ化物の影響
概要
 フッ素は体内組織の石灰化に重要な元素です。口腔の健康のために局所的、また全身的なフッ化物を使用した結果、う蝕とう蝕に関連する障害を大きく 減少させました。
 公共の水道水フッ化物濃度適正化は、今ある最も効果的な歯科公衆衛生手段として90を越える保健専門機関によって支持されています。しかしながら、約半数のアメリカ合衆国民は、地域の水道水フッ化物濃度適正化とフッ化物配合製品の使用によって得られる恩恵を十分に享受できていません。
 フッ化物は、骨の健康にとっても有益です。骨粗鬆症予防のため高用量のフッ化物がどうかかわるかについて現在活発に研究中であり、今のところ研究的段階にあると考えられています。栄養学専門家は、定期的に全身的または局所的なフッ化物の使用を監視および促進すべきです。このことは特に成長期にある児童と青少年の時期に重要です。
 米国栄養士会は水道水フッ化物濃度適正化を含め、適正な量の全身的、また局所的なフッ化物の使用を重要な公衆衛生手段として改めて強力に支持します。しかしながら、高用量のフッ化物の服用を試す場合には、きちんとした計画に基づく臨床試験下での使用に限って認められるべきだということに注意する必要があります。

米国栄養士会雑誌 2000;100:1208-1213.

見解声明

 米国栄養士会は、フッ素が体の全ての石灰化組織にとって重要な元素であることを再確認します。適切なフッ化物の摂取は骨と歯の健康に有益であり、そのため、口腔の健康ひいては全身の健康にとって重要で積極的な意味をもっていますする自然の元素です。それは、有益な栄養素とみなされていて(1)、体内に微量に存在します。フッ化物は、骨、および歯の健康にとって重要です。体内の約99パーセントのフッ化物は硬組織に含まれています(2)。適量のフッ化物を、水および食物、歯みがき剤・洗口剤による局所応用、診療室における専門的による治療により適用すると、フッ化物は・歯の石灰化と骨密度を増大させます。

・う蝕の危険性と罹患率(有病率)を減少させます。
・あらゆる年齢層の人々に対し、生涯を通じてエナメル質の再石灰化を促進させるように働きかけます

 う蝕予防のためのフッ化物の使用、および水道水と食塩のフッ化物濃度適正化は、現在最も効果的な歯科公衆衛生手段として、90を越える保健専門機 関で承認されています(3)。フッ化物は正常な石灰化に作用するので、骨の健康にとっても重要なのではないかと考えられます。最近の研究では、骨粗鬆症予防にフッ化物の果たす役割があるのではないかという考え方に焦点があてられています。最初に骨の健康に対するフッ化物の役割について、次にう蝕予防におけるフッ化物の役割についで検討していきます。

フッ化物と骨: 骨の健康のための適用と摂取源

 飲料水中に1ppm(100万の1またはミリグラム/L当たり)の濃度でフッ化物が含まれる場合、骨組織中へのフッ化物の取り込みは、おそらくは腎臓の機能が減退した高齢者を除けば、骨粗鬆症による骨折を予防するのに十分であるとみなされていません。成人の場合には、フッ化物濃度調整された飲料水から摂取されるフッ化物の概算量は、その飲料水を毎日摂取すると想定して、1日当たり1.8mg (4)-2.7mg(5)までの範囲にあります。
 この量はフッ化物調整の水を1日に1.5リットルも飲まない多くの女性にとって過大評価となるかもしれません。骨のフッ化物含有量は、地理的な場所によって左右され、食物および飲料水からの日常のフッ化物摂取と直接関連しており、しかも、骨のフッ化物含有量は、年齢とともに増加します(6)。1ppmの飲料水からのフッ化物の摂取は、どうやら明瞭な骨の組織への恩恵はなさそうですが(7)、歯の組織への恩恵があります。1ppmより高いレベルでフッ化物濃度が調整された水の摂取によって実は骨折の危険が増すのではないかという考えは、完全には排除されてはいませんが(7)、1ppmの水準は安全であり、骨折の危険はないと広く認められています(8)。Hydroxyapatiteハイドロキシアパタイト結晶の水酸基イオンと置換したフッ化物イオンは、微細な骨折を起こしやすい無機質の結晶体をつくりうるので、1ppm以上のフッ化物を補充するという処置によって骨質は脆弱になるかもしれません。高用量のフッ化物を補充することは、骨量および骨密度を改善し、特に閉経後の女性では骨粗鬆症による骨折を予防するという仮説が立てられています。この仮説を支持するデータが公表されたにもかかわらず(後述)、それは現時点では納得のいくように証明はされていません(9)。骨質の問題、およびフッ化物治療による骨折の予防効果に関する論争に加えて、過量のフッ化物摂取からの個人の保護、および潜在的な毒性、すなわち、骨のフッ素症に関係する安全性の問題についてもまた、今まで米国食品医薬品局(FDA)の関心事でした。2000年3末現在、米国食品医薬品局はフッ化物補充剤を治療薬として承認していません。

 フッ化物は、骨細胞(造骨細胞、骨芽細胞)の増殖を刺激し(10)、皮質骨ではなく海綿骨に新たな無機質の沈着を増やすことができる数少ない既知の物質の一つです。したがって、研究者たちは、特に多くの国ですでに承認されているエストロゲンとその他の薬に変わりうる治療として、このフッ化物を使用する治療法がFDAや他の国立機関に承認されるように努力しながら、人間を対象とした前向きの臨床試験でフッ化物を使用し続けています。フッ化物がヒトの骨組織へ有利に作用しうるという証拠を示す研究報告が出されたにもかかわらず、(下を見てください)、この治療の長期的な(例えば、30年以上)有効性の証拠については結論が出ていません。健全なフルオロアパタイト結晶の構造を最大限に利用するためには、フッ化物治療の際の骨ミネラル含有量(BMC)の増加と骨ミネラル密度(BMD)の増加が、カルシウムとビタミンDの適切な摂取(すなわち食事摂取基準)を伴っている必要があります(11、12)。しかしながら、フッ化物を人間に供給することの困難さというものは、以前からフッ化物使用に際しての主な障害となっていました。しかし、現在でも、フッ化物補充剤による治療期間が延長することによって骨量にどのような影響が出るかということが主な関心になっています。

 フッ化物摂取と骨の関係の簡潔な論評として、まず動物実験について述べ、次いで人の集団での観察と個人を対象とした調査を扱います。
動物実験による所見

 骨量と海綿骨組織の密度におけるフッ化物治療の潜在的な有効性は、骨の生体力学的特性、特に骨の強度の低下によって相殺されると、多くの動物実験研究で明らかにされています(13-16)。フッ化物処理された骨の強度の低下は硬度の増加に関連します。それは屈曲荷重でより大きなもろさと破折の原因であると思われます(17)。一般的な考え方として、強度の低下は骨のコラーゲン・無機質の複合物におそらくは由来する骨質の低下と関連しているといわれています(18)。

人のデータ

 観察と研究という、人を対象とする2つのタイプからの情報は、……結論していませんが……-フッ化物は骨の健康にとって有益な効果があることを支持しています。種々のフッ化物製剤供給方法の開発は、徐放性カプセルの溶解のように、この研究分野で目覚ましい進歩を遂げてきました。しかし、小腸によるフッ化物イオンの生物学的利用能および吸収についてははっきりわかっていないことから、個々人が徐放性カプセルで服用するフッ化物の適量を見い出そうとしているように……至難の業ですが……、このような安全性についての関心は残ったままなのです。フッ化物濃度が1 ppmよりはるかに高い井戸水の地域における初期の観察研究では、骨粗鬆症性による骨折の割合がフッ化物濃度約1 ppmの井戸水を使う地域よりも低いことを示しました(19)。
 しかしながら、この初期の希望的観測については、他の地域あるいは住民を対象とする研究によって追認されていません(20)。実際に、特に10年間以上にわたり飲料水中の高濃度のフッ化物に曝露されている場合には、骨折の危険性を増やすかもしれません。しかし、この問題はこれと同量のフッ化物摂取で骨折が減少することを支持する報告もありますので、未解決の状態であります。
 フッ化物を多めに用いたアメリカ(21-23)おける初期のある調査研究では、フッ化ナトリウム(徐放性に溶解する製剤ではありません)を取り扱うことは、ありがたいようなありがたくないような面倒なものであったことを示唆しています。それによると、脊椎骨の無機質密度(脊椎骨の骨折にいかなる変化もない)増加することを示していますが、骨密度の増加に伴うひどい副作用(例えば脊椎骨以外の骨折頻度の増加、おそらく微細骨折と関係づけられる下肢痛の症状の発現、胃炎)をしばしば伴いました。より新たな徐放性に溶解するフッ化物投与法の使用によって、例えば胃炎(24-26)のような胃への副作用の軽減および下肢痛を解消しました。
 Pakの最終報告では、フッ化物が一日当たりおおよそ23mg投与された時に(25)、脊椎骨の骨折の減少が認められ、さらに脊椎骨以外の骨折について有意な差はないということでしたが、これはフッ化物は摂るがエストロゲンを摂取していない女性に当てはまることでした。しかしながら、Pak研究では脊椎骨の骨ミネラル密度の見事な向上があったという成果については、骨質の改善として評価されませんでした。ヨーロッパと南アフリカの研究者たちは、Pakと同様に種々のフッ化物製剤を使用し、また種々の治療計画基づいたフッ化物療法に伴って脊椎骨の骨ミネラル密度の向上を観察しています(12.27-31)。
 脊椎骨以外の骨折の割合はフッ化物治療で減少しませんでした。しかしながら、動物実験とは違って、人間対象の骨質については生検でしか評価することができません。
 そして、公表された研究期間は数年間だけのフッ化物治療からの結果であり、その後に脊椎骨の骨折の割合にどんな変化をたどるかについて観察するには研究期間は短いといえます。明らかに、フッ化物治療では腰部の脊椎骨および他の骨格の部位で健全な海綿骨質が蓄積するために、カルシウムの補充およびビタミンDの十分な量を併用する必要があります(32)。興味深い観察としては、脊椎骨の骨ミネラル密度の増加がフッ化物治療の中止後では認められなくなったということです(33)。
 人間の研究におけるフッ化物治療の安全性についての証拠は未だ結論に到達していません。動物モデルからの実験的なデータでは骨質に悪影響を及ぼす可能性が非常に強く示されたので、人間でのフッ化物治療は根拠に基づく標準的方法として認められたというよりはむしろまだ実験的な取り組みの段階として継続されていると言えましょう(34)。

要約:骨の健康とフッ化物

 徐放性のフッ化物錠剤が骨格に有益であることを支持する人間を対象とする臨床試験の最近の証拠によると、骨粗鬆症性骨折のリスクが高い高齢者であっても、フッ化物治療を受けている個人の長期にわたる(30年以上)安全性の不確実性を差し引いて考えなくてはいけません。フッ化物が適切に管理されれてはじめて、胃炎と下肢の痛みという副作用を起こさずに、脊椎骨の骨折の減少という恩恵のみに限定された効果が現われることでしょう。

 フッ化物治療の安全性についての長期的なデータが示されていませんので、このフッ化物療法を認めていないFDAが提示している注意事項は、現時点では妥当であります。確かな証拠が積み重ねられるまで、米国における骨に対するフッ化物療法については抗骨粗鬆症の医療技術の一つとなりえないでしょう。

フッ化物のう蝕予防効果

 フッ化物とう蝕の関係については、20世紀初頭のアメリカ合衆国のある地住民の歯に褐色斑を発生しているという記録にさかのぼります。着色歯は、見栄えはよくありませんが、高度にう蝕抵抗性でありました。1930年代の研究から、重度の斑状歯(severe のフッ素症)の出現頻度とその程度は水中のフッ化物濃度に直接関係していたという発見で最高潮に達しました。その後、水道水中の至適フッ化物濃度(0.7-1.2ppm)でのフッ化物摂取では重度の斑状歯を生ずることなく、う蝕予防できることに注目が集まりました。至適量で水道中のフッ化物濃度が調整された多数の地域で、長期間の試みの結果、う蝕有病率の減少にとって、この公衆衛生手段の有効性、安全性および経済性が確認されました(1、35)。
 初期の研究ではまず最初に子供に注目しましたが、水道水フッ化物濃度適正化は大人のう蝕予防に有効であることもわかってきました。
 フッ化物の供給方法は水道水フッ化物濃度適正化だけでなく、フッ化物補充剤、フッ化物含有口腔保健製品から行われます。
 ごく最近の食事摂取基準では、フッ化物摂取のための新しい提案が行われています(表1)。

歯に対するフッ化物作用のメカニズム

 フッ化物の主な作用が歯の萌出後に生じます。したがって、主要な効果は子供と成人の両方にとって局所的となります。考えられている作用メカニズムは次のとおりです。
 ・酸の脱灰に対する抵抗を増加させます。
 ・初期の脱灰病変部位を再石灰化します。
 ・歯垢微生物の形成と機能に対し阻害します。
 ・萌出後の成熟度を増加させます。
 ・歯の形態を改善します(萌出前)(36)
 ・萌出前の全身的効果として、フッ化物は胃腸から吸収されます。
 吸収の割合および程度は、フッ化物供給源の溶解度と一定時間内での摂取量に左右されます。いったん血流に吸収されると、フッ化物は骨および成長途の歯に取り込まれるか、あるいは尿中に排泄されます(2)。歯の発生中に、フッ化物は発育途上の歯の石灰化された構造に取り込まれます。歯萌出後のフッ化物の局所的な効果は、う蝕予防におけるフッ化物の効果のなかで最も重要な理由として信じられていますが、歯の表面が有機酸に曝されている時に発育中の歯のエナメル質周囲にフッ化物が存在していれば、おそらく脱灰を抑える働きを増します。

・歯の萌出後の全身的効果

 歯の萌出後に、(全身的なフッ化物応用法で供給された)フッ化物はもはや全身的には歯の形成に関与しません。しかしながら、摂取されたフッ化物は唾液を介して分泌され、一生涯に渡って歯の健康に局所的な利益を与えています(37)。

・歯の萌出後の局所的効果

 歯の萌出前にフッ化物が供給されても、う蝕に対して最大の予防効果をあげることはできません。実際には、現段階でのフッ化物の主たるう蝕予防メカニズムは局所的であると考えられています(37)。したがって、局所に存在するフッ化物は、全身的なフッ化物の供給と無関係に、う蝕予防において重要であると考えられます。局所に存在するフッ化物は成人と高齢者も同様に、根面う蝕の予防に重要であります。歯肉が退縮するときに露出したセメント質の石灰化度はエナメル質の石灰化度より低いので、露出した根面が局所のフッ化物に曝されると恩恵を受けます。
 フッ化物の萌出後の有益な影響としては、歯の表面の水和層中に存在するフッ化物に由来している可能性が大きいのです。フッ化物は歯が有機酸に曝される場合に、脱灰を減少させること及び再石灰化作用を増加させる働きがあります。歯表面でフッ化物に曝される頻度が多ければ、う蝕予防する際にエナメル表層の水和層中のフッ化物濃度が高めに維持され、初期う蝕性病変の再石灰化作用を増強するために一番重要なのです(37)。
 エナメル質に対する直接的な石灰化作用のほかに、フッ化物はさらに口腔の歯垢微生物にも影響します。これらの細菌は、歯表面のプラーク中に酸(炭水化物発酵の副産物)を分泌して、歯の脱灰を進行させます。細菌細胞へのフッ化物の取り込みは酸の産生を阻害し、それによりエナメル質の脱灰潜在能を低下します(38)。
 フッ化物は、家庭で、学校であるいは歯科医院で洗口、歯磨き剤あるいはゲルによって歯に局所的に供給することができます。フッ化物濃度適正化された水、また、噛むことのできるフッ化物補充剤も重要な局所的な利益をもたらすと考えられます。したがって、仮に子供の時に水道水フッ化物濃度の調整された水かフッ化物補充剤を摂取されなかった場合でも、すべての年代の人々は局所的なフッ化物応用によって恩恵を受けます。

指標、供給源および効能

水道水フッ化物濃度適正化(フロリデーション)

 水道水フッ化物濃度適正化の定義によれば、0.7-1.2ppm.の間の至適濃度で給水中のフッ化物濃度を調節することです。う蝕予防のための水道水フッ化物濃度正化の価値は、確実に実証されています。至適にフッ化物濃度適正化された地域と非フッ化物濃度適正化地域で各々の地域に生後から居住した学童の比較では、低フッ化物濃度地域の子供の方が61-100%も高いう蝕発生率を示しました(39)。
 イギリスの研究では、フッ化物適正化された地域の5歳児で平均の44%のう蝕減少であり、貧困層の子供については、54%のう蝕減少を示しました。(40)このようなう蝕減少傾向については、適正にフッ化物濃度の調整された水以外の他の多くのフッ化物供給源、それらは水単独の効果を薄めているのですが、その存在によると思われます(38)。
 今日、水道水フッ化物濃度適正化は、子供のエナメル質う蝕を20-40%(38)抑制し、歯根面う蝕および大人の歯の喪失を同様に防ぐ手立てとなります。水道水フッ化物濃度適正化は、経済的に貧困な地域に住んでいる人々(彼らはう蝕リスクが高く、歯の管理も行き届かずまた代替のフッ化物供給源を受ける機会に恵まれていません)にとって特に有益です(41)。フッ化物濃度適正化されていない地域では学校水道設備にフッ化物(水の最適のレベルより高く設定される)を加えた結果、顕著なう蝕の減少がありました。しかしながら、現在では米国の少数の学校だけが水道水フッ化物濃度適正化方式を採用しているに過ぎません。the National Preventive Dentistry Demonstration Project (全国予防歯科デモンストレーション・プロジェクト)の著者は、学校で行う様々なう蝕予防プログラムの有効性を比較し、最も費用対効果に優れた歯科公衆衛生手段としては公共の水道水フッ化物濃度適正化であるとあらためて断言しました(41)。
 アメリカ合衆国の人口の約62%は集中方式の水道設備を備えた地域に住んでおり、適正化されたフッ化物濃度の水を摂取しています(42)。公共の水道設備の約46%ではまだ水道水フッ化物濃度適正化されていません(3、43)。井戸水のフッ化物含量は非常に変動が大きいので水質検査をする必要があります。水道設備のある人口の少なくとも75%最適にフッ化物濃度適正化された水を供給されるべきだというヘルシーピープル2000の米国公衆衛生局の目標は達成されませんでした。改訂されたHealthy People2010では、目標を75%に設定しています(44)。
 水道水フッ化物濃度適正化は予防歯面あたりの費用の面から、米国のう蝕予防として最も費用対効果の高い地域ベースの方策です(45)。米国の水道水フッ化物濃度適正化による毎年の直接コスト(一次コスト)は、$0.50/人/年で、そして0.12から5.41ドル/人/年までの範囲にあります。コストの変動は地域の大きさによります(46)。水道水フッ化物濃度適正化は最も費用対効果の高い公衆衛生的う蝕予防方法で、社会経済的な状態あるいは年齢にかかわらず、国民のすべての階層が恩恵を受けるという利点を持っています。さらに、歯科医療と修復処置費用の節約と歯科疾患に起因するであろう労働時間の損失を補うという、う蝕予防から派生する意味のある間接的な利益もあります(44)。

フッ化物補充剤

 すべての個人が公共の水道水フッ化物濃度適正化の恩恵を受けているとは限らないので、最適のフッ化物を供給する他の方法が研究されました。フッ化物補充剤の使用は水道水フッ化物濃度適正化されていない地域の子供のために使うように指示されています。しかしながら、歯の形成の初期段階で長期にわたり継続して過量のフッ化物を摂取する子供は歯のフッ素症になる可能性もあるので、水道水フッ化物濃度適正化されている場合、フッ化物補充剤を使用してはいけません。
 フッ化物濃度適正化されていない地域に住んでいる子供のための食事からのフッ物栄養補助食品の処方は、有効な(しかし信頼性は低いのですが) 水道水フッ化物濃度適正化の代替法であると長く認められてきました。しかしながら、最近では軽度な歯のフッ素症症例の増加、およびフッ化物の作用および効果についての知識が増して、 the American Dental Association Council on Scientific Affairsによって1994年に推奨されたフッ化物補充剤摂取のためのプログラムには控えめな基準設定をしています(47)。
 これまでは全身的なフッ化物応用の最も大きな効能の期間としては生後から12あるいは13歳まで(未萌出の永久歯の石灰化作用が生じるとき)と考えられていました(48)。推奨された投与量は、子供の年齢、および水道水の中に自然にあるフッ化物濃度を基準としています。これらのガイドラインは、さらに、全身的フッ化物応用による局所的な効果(これがより重要です)と様々な供給源からのフッ化物の有効性を認めています。
 それらは、フッ化物の補充は6か月で始まり、補充に対する年齢上限を13歳から16歳までに延ばすように勧めています(47)。さらに、水道水フッ化物濃度適正化された水以外の様々なフッ化物源からフッ化物の供給がありますので、フッ化物全身応用法をしてはいけない飲料水中のフッ化物濃度は0.7ppmから0.6ppm.に下げられました。
 表2は、フッ化物補充のためのこれらの推奨事項を示しています。推奨された投与量がフッ化物イオンとして述べられることに注意してください。


補充剤はフッ化ナトリウムとして提供されます。1mgフッ素量はフッ化ナトリウムの2.2mgから得られます。

 出生前に胎児にフッ化物を使用しても有意義な全身的な利益をははほとんどありません。したがって、米国歯科医師会の Council on Scientific Affairsおよび the American Academy of Pediatrics Committee on Nutrition(栄養における小児科委員会の米国アカデミー)は、水および食物によって通常得られる以上の量を出生前にフッ化物の全身応用法として摂取することを勧めるにはほとんど根拠がないと信じています(49)。

 母乳中のフッ化物の濃度は非常に低いので、水道水フッ化物濃度適正化された地域の母乳育ちの幼児がフッ化物補充剤を与えられるべきことが示唆されました。しかしながら、多くの母親が人工乳と母乳を組み合わせて哺育し、幼児に授乳の間に水を与えているかもしれないので、これには注意する必要があります。したがって、一般的には水道水フッ化物濃度適正化された地域に住む母乳育ちの幼児に対するフッ化物補充剤は推奨されません。フッ化物補充剤については、小児科医あるいは歯科医の監督の下で行われるべきです。フッ化物の効果は主に局所的であるという知識から、永久歯への局所的な接触の機会を最大限にする別の方法としてフッ化物錠剤に関心が向いています(50)。

局所応用をするためのフッ化物の供給源

 フッ化物洗口法、フッ化物配合歯磨き剤およびフッ化物歯面塗布は有効で、容易に学校あるいは家庭に常備して管理することができる重要な局所応用の補助的なフッ化物供給源となります。学校を基盤としたフッ化物洗口プログラムもまた有効な公衆衛生手段です。このプログラムによって、20%以上のう蝕の予防効果があると報告しています(51)。
 さらに、う蝕を発生する危険性が高い子供および成人のために歯科医院で適用される高濃度のフッ化物溶液、ゲルおよび塗布剤も有効です。米国歯科医師会の推奨するマークの貼ってあるフッ化物製品はそれらの有効性および安全性を実証するために広範囲な臨床試験を受けています(52)。永久歯の形成期に歯のフッ素症の危険を少なくするために局所応用のための製品を飲み込まないように保護者と子供に注意する必要があります(53)。このような理由から米国歯科医師会は6歳以下の子供によるフッ化物洗口あるいは低年齢の幼児によるフッ化物配合歯みがき剤の使用を推奨していません(3)。

食品からのフッ化物の供給

 食事からのフッ化物の主な供給源はフッ化物濃度適正化された水です。年歳6歳未満の平均的な子供の水摂取量は1日当たり水を0.5リットル未満の摂取であり、最適にフッ化物濃度適正化された水を飲むことから1日0.5mg未満のフッ化物を摂ることになるでしょう(54)。さらに、水道水以外の飲み物(ボトル水、お茶、人工乳)および市販調理食品(例えば鶏肉製品、シーフードおよび穀物製品)と様々な食餌からフッ化物を摂取することができます(55、56)。 食物のフッ化物含有量は0.01-1.0ppm.の範囲で変動しているとみることができます。お茶は使用される茶葉の量、使用される水の中のフッ化物濃度および浸出時間によりフッ化物濃度で1-6ppmとなります(2)。ボトル水では、フッ化物含有量が大いに変動し、多くの場合低い状態です(57)、大多数の市販ボトル水のフッ化物濃度は低いのですが、飲むことによって、また、調理品、およびスープおよび飲料の調合品からのフッ化物摂取の可能性があります(58)。
 フッ化物濃度適正化された水で加工された食品は、特に総フッ化物摂取量(特に幼児期に)を著しく増加する可能性があるので、どのようなフッ化物補給を勧める際にも、子供の食事については、フッ化物摂取量を増加させる可能性のある食品源を確認する必要があります(59)。
 家庭用水処理システムもまた、ろ過された水のフッ化物含有量に影響するかもしれません。逆浸透システムおよび蒸留ユニットは水から著しい量のフッ化物を取り除きます(60)しかしながら、硬水軟化剤はフッ化物レベルに影響をあたえるようには思われません。水フィルタは、水からフッ化物を取り除く能力に違いがあります(61)。家庭用水処理システムを使用する人々はフッ化物含有量を監視するために、地域のあるいは州の公衆衛生部、または個人の試験所で水質検査をしてもらう必要があります。

フッ化物の安全性

フッ化物濃度適正化された水からの持続的な少量の摂取

 水道水フッ化物濃度適正化に対する反対は1950年に始まり、今日でも地域によっては論争の火種になっています。住民投票、市議会公聴会、新聞キャンペーンおよび訴訟などの戦術を駆使して、引き続き水道水フッ化物濃度適正化に反対しています。
 水道水フッ化物濃度適正化の反対者たちは、フッ化物適正化の開始以来、反対論として、つまり、証拠もないのに健康に有害な影響(癌、エイズ)を主張したり、選択の自由に対する侵害を訴えるというように、より多岐にわたる傾向にあります。癌とAIDSと水道水フッ化物濃度適正化を関連づけて、それらを強調して訴えメッセージを出せば、一般大衆への強力な影響を及ぼしますし、これまでもその影響は大きいものでした(62)。
 反水道水フッ化物濃度適正化論者は水道水フッ化物濃度適正化についての科学的な論争があるかのように見せかけて、大いに有名になりましたが、適切なレベルでの水道水フッ化物濃度適正化によって健康上有害であるという反対者の主張には根拠がありません。
 水道水フッ化物濃度適正化は最近の歴史において、おそらく最も徹底的に研究されてきた公衆衛生手段です。広範囲な研究によると、水道水フッ化物濃度適正化が癌、心臓病、頭蓋内の病巣、腎炎、肝硬変、アルツハイマー症およびダウン症を含むいかなる慢性病の発生率や死亡率をも増加させないことを実証しました(63)。
 したがって、1ppmの水道水フッ化物濃度適正化はう蝕を防ぎ、これまで言われてきた健康へのいかなる悪影響とも関係していません。水由来のフッ化物の毒性については、中毒を引き起こすためには一度に非常に多量の水を摂取しなければならず、それは不可能なことなので、フッ化物中毒は起こりえません(2)。

歯のフッ素症

 歯のフッ素症とは歯の萌出前にエナメル質形成期に過度の全身的なフッ化物摂取に起因する歯のエナメル質の低石灰化(減形成)です。歯のフッ素症はvery mild (非常に軽度な)段階から severe(重度/高度な)段階まで程度の差があります。米国の学童に関する全国調査で、調査された子供の22.3%が何らかの歯のフッ素症を持っていることが分かりました。これらの症例のうち、94%は very mild段階か mild段階でした。
 フッ素症例の6%だけが、 moderate(中等度の)段階 または severe段階でした(64)。mild段階の歯のフッ素症例では、チョーク様の白い斑状あるいは斑点があることを除けば、歯は高度に抗う蝕性でありました。このmild段階の歯のフッ素症の大部分は、歯の検診中にのみ見つけることが出来ますが、審美的には不快なものではありません。Severe 段階の歯のフッ素症は褐色斑のある歯となり、井戸水のように天然の高濃度のフッ化物を含む水を使う田舎の地域でよく見られます。
 近年、様々な全身的なフッ化物の供給源からより広範にフッ化物摂取の可能性があり、mild 段階の歯のフッ素症罹患率が増加しています(65)。これは次のもののような要因に起因しています
・幼児期にフッ化物配合歯磨き剤を飲み込み。
・フッ化物補充剤の誤用。
・幼児の調合乳、特にフッ化物濃度適正化された水で調合された人工乳の長期使用。
・フッ化物濃度適正化地域で作られて、しかも非フッ化物濃度適正化地域とフッ化物濃度適正化された地域の人々によって摂取された食糧および飲料からのフッ化物の拡散(あるいはハロー効果) (66、67)
 水道水フッ化物濃度適正化は歯のフッ素症への主な原因ではないと考えられています(68)。mild 段階の歯のフッ素症は主に審美的な問題ですが、大衆の不安心理の結果としてすべてのフッ化物使用に反対するかもしれないという懸念材料となります(50)。

急性症状を来す高濃度のフッ化物摂取

 過量に摂取されると、ほとんどの元素がそうであるように、フッ化物も毒性をもたらします。したがって、高濃度のフッ化物製品は注意して使用する必要があります。急性フッ化物中毒の危険性を防ぐために、小さな子供の手に届かないようにフッ化物製品を保管するべきです。
 大人によって監視されていない子供は過度のフッ化物摂取を避けるために、米国歯科医師会は、一度に処方されるフッ化ナトリウムが264mg(120mgのフッ素)以上にならないように勧めています(52)。
 フッ化物配合歯磨き剤はほぼ40年間も市場に出回っています。アメリカで現在売られている歯磨き剤はほとんどすべてフッ化物配合製品です(3)。フッ化物配合歯磨き剤摂取によって引き起こされた急性中毒に関する報告はありません。けれども、6歳未満の子供には、歯ブラシの毛の部分にフッ化物量をエンドウ豆大以上にするべきではありませんし、練り歯磨剤(または洗口剤またはゲル剤)は歯のフッ素症から守るために飲み込まないで、すべて吐きだすべきです。米国歯科医師会は、歯磨きのメーカーに「6歳未満の子供にはエンドウ豆大の量だけ(練り歯磨き剤)使用する」という注意書きをつけるように要求しています。(水道水のフロリデーションをしている米国では)フッ化物洗口法は6歳未満の子供には推奨されません(3)。

結論

 至適な量のフッ化物が供給される場合には、フッ化物はすべての年齢層で歯の健康に大きく寄与します。公共水道水フッ化物濃度適正化は現存する歯科公衆衛生手段として最も有効な方法として90以上の専門的保健機関に認められています(3、69)。しかしながら、いまだ、米国人口のおよそ半分は、水道水フッ 化物濃度適正化とフッ化物製品からの恩恵を十分には享受していません。そのために、まだ12-17歳の人の67%が(70)また、18歳以上の人の94%(71)が永久歯う蝕に罹患しています。栄養学専門家は、特に子供と思春期青年に、常日頃から全身的、局所的なフッ化物の適切な使用を促進し見守るために助言と教育活動の一部をあてることを考える必要があります。この目的に向かって、栄養学の専門家、歯科衛生士、歯科医師の間で協力関係となるシステムの構築が最善の口腔の健康を推進する力を強化するために必要であります。米国栄養士会は、重要な健康増進手段として水道水フッ化物濃度適正化を含めて、全身的および局所的なフッ化物を使用するように再び勧奨します。

アメリカ栄養士会雑誌2000;100:1208-1213.

カナダ歯科医師会
フロリデーション(水道水フッ化物濃度適正化)に関するステートメント

(2000年)

 カナダ歯科医師会は、すべての年齢層に対する、安全で、経済的かつ効果的なむし歯予防方法として地域水道水のフロリデーションを支持することを再度是認します。地域の水道水中のフッ化物濃度はモニターされ、適正濃度に調整して過度のフッ化物濃度にならないようにすべきです。

国際歯科連盟(FDI)
フロリデーション(水道水フッ化物濃度適正化)決議

第52回年次回総会にて採択(1964年)

1. 歯科齲蝕症(むし歯)は全身的健康を阻害し、疼痛を誘発して、全世界の大多数が罹患する疾病である。
2. WHO、各国政府及び科学専門諸団体より召集された専門委員会によって、むし歯抑制手段としてのフロリデーションの安全性、効果及び実用性に関する科学的根拠が検討され、承認された。
3. 過去30年間に亘る経年的観察研究の結果、上水道のフロリデーションがむし歯抑制に対して、 最も効果的かつ、廉価な方法であることが確認された。従って、以下の如く決議する。
 フロリデーションはむし歯の発生を安全かつ経済的に抑制する手段として、現状に おいては最も有効な公衆衛生学的施策であることをすべての関係当局に推薦するべきことを決議する。

国際歯科連盟(FDI)の新たな声明文 2001年
フッ化物 とむし歯

はじめに
 50年以上にわたる世界中の広範な調査研究では、一貫してむし歯予防に対するフッ化物の安全性と効果を示しています。フッ化物の使用と安全性の科学的根拠は、数え切れないほど多くの科学者、専門家グループ、政府機関などに認められています。フッ化物の使用によって、むし歯の発生率と有病率が減少し、多数の人々の生活の質の改善につながっています。どのようにしてフッ化物がむし歯を防ぐか(フッ化物の作用機序)むし歯予防におけるフッ化物の役割を調べた初期の調査では、その作用機序を水道水中のフッ化物の存在と濃度に結びつけたものでした。フッ化物の効果は、発生時にエナメル質を強化する全身的効果と関係があると仮定されていました。現在では、口腔内に適切な濃度のフッ化物が絶え間なく供給されていることが最も重要な因子であることが明らかにされています。低濃度のフッ化物が存在することでエナメル質の脱灰を抑制し、再石灰化を促進しているのです。これらの発見は予防的、治療的手段としてフッ化物利用を考える上でとても重要です。 フッ化物の局所的応用、あるいは口腔内フッ化物の適正濃度を持続させるあらゆる手段がむし歯予防上、この上なく重要であることが確認されています。

フッ化物の供給
フロリデーション(水道水フッ化物濃度適正化)

 水道水からのフッ化物供給は、給水系が整備されている地域では、むし歯予防とむし歯治療のもっとも効果的な公的な健康増進の手段であります。水は誰もが必要でかつ使用する食事成分の一つであり、それで地域の全ての人々に利益をもたらすからです。この方法の運用上の唯一の制約としては、信頼でき、かつ調整可能な給水路があることです。つまり、常に集中管理された水道があることを意味しています。利用人口や地理的区域に対して水道水中の最適フッ化物濃度レベルを決定するために、他の供給源からのフッ化物の利用を明らかにする必要があります。推奨される水道水中のフッ化物濃度は、水の消費量によります。それは気候により影響をうけます。また、地域ごとの文化や食習慣などもまた加味されるべきでしょう。

食塩フッ化物濃度調整(フッ素化食塩)

 フッ素化食塩からのフッ化物の摂取は、水道水からのフッ化物供給が適していない地域では望ましい方法です。フッ素化食塩による、むし歯減少の効果を示唆する研究も行われています。ある特定の国と地理的区域で活用されるフッ素化食塩の製造にあたっては、製品の品質管理のために強力な技術的援助をもって集中管理されるべきです。食塩のフッ化物濃度は食塩の摂取量の研究とその他の供給源からのフッ化物の利用度に基づいて決められなければなりません。フッ化物濃度は食塩の包装に明記されることが必要です。

ミルクフッ化物濃度調整(フッ素化ミルク)

 フッ素化ミルクは学校保健プログラムとして特に学童へのフッ化物供給源として使われており、その効果は多くの研究により示されています。しかしながら、公衆衛生手段としては、制約があります。

フッ化物配合歯磨き剤

 現在のところ使用されているフッ化物の供給源のうちで、フッ化物配合歯磨き剤は最も内容豊富な調査対象となってきました。十分にコントロールされた広範な研究が行われ、その大半の研究では有意なむし歯の減少によって口腔保健の大幅な改善をもたらすことが証明されてきました。したがって、フッ化物配合歯磨き剤は最も重要な公衆衛生手段の一つであり、この使用を広める努力が必要であります。幼児がフッ化物配合歯磨剤を過量に飲み込むと非常に軽度の歯のフッ素症(エナメル質白斑)の増加をきたすことになるかもしれません。この確率を減らすために、幼児のフッ化物配合歯磨剤の飲み込みを最小限に抑えることが望ましいのです。国によっては、特別に小児用として低濃度のフッ化物配合歯磨剤(550ppmF)が利用されています。これのむし歯抑制効果の証拠としては、まちまちで一貫した成績が得られていません。フッ化物配合歯磨剤をすくなくとも1日2回使い、歯磨き後には少量の水で口を洗口のが望ましいといわれています。歯磨剤の容器にはフッ化物濃度と6歳未満児では歯磨きの際には保護者が監視して少量の(エンドウマメサイズの)歯磨剤を使うべきであることを明記すべきであります。

フッ化物補助剤

 フッ素錠剤はむし歯リスクの高い個別の患者に推奨され、他のフッ化物供給源の利用がない場合に地域のリスクの高い集団に一般的に使うように考えられています。フッ素錠剤のむし歯予防効果は他のフッ化物の供給方法ほど明らかに証明されていません。フッ化物素の局所効果に重きを置いた考え方から、フッ化物補助剤は飲み込む前に口の中でなめて噛んで溶かすのがよいと奨められています。また、もしも補助剤が不適切に 使われるならば、歯のフッ素症のリスクを高める危険性があります。投与量については、地域のフッ化物利用、特に水道水からのフッ化物供給量を考慮するべきであります。投与方式についても、可能なところでは、考慮されることが必要です。フッ化物投与量については国によっては多少の違いがありますが、推奨量が決められています。それらは他のフッ化物供給源に照らしあわせて、注意深く管理され適切に更新されるべきであります。

フッ化物洗口

 リスクのある個々人や集団に対するフッ化物洗口は効果的な手段である。洗口は毎日法、あるいは地域の必要性に応じて用法口授される間隔で行われます。フッ化物洗口は6歳以下の子供には勧められません*。市販のフッ化物洗口剤は個人利用を意図したものでありますが、効果的であります。市販フッ化物洗口剤は個々人の特殊なニーズに応じて使用されるべきでしょう。
*(注):わが国においては、永久歯の萌出途上にあたる4、5、6歳児に対するフッ化物洗口が実施されています。フッ化物洗口液の飲み込み量の調査によって、安全性が確認されています。また、わが国は地域レベルで飲料水のフッ化物濃度が低く、適切なフッ化物利用が行われていないという背景を勘案しなければなりません。

<参考文献>
日本口腔衛生学会フッ化物応用研究委員会;就学前からのフッ化物洗口法に関する見解、 日本口腔衛生学会雑誌、49:1-3、1996.

 0.05%フッ化ナトリウム7mlの1分間洗口による口腔内フッ素残留量は、3歳で0.25mg、5歳で0.16mgと算出されています。これはむし歯予防のための適正フッ化物投与量(低フッ化物地区)である0.5mgF/日(3-6歳児)を下回り、安全性は保証されています。総合的な判断から、日本口腔衛生学会では、4、5歳からのフッ化物洗口を推奨しています。

専門的なフッ化物ゲルの応用

 専門的に応用されるフッ素ゲルは、むし歯に対するリスクをもつ個々人に対して適応されます。たいていの場合高濃度ですので、注意深い操作が必要とされます。

フッ化物バーニッシュ

 フッ化物バーニッシュはむし歯に対するリスクをもつ個々人に対して、あるいは歯科的、医科的治療のためにリスクが増加している患者に対して適応されます。

重複するフッ化物供給源からのフッ化物供給

 フッ化物は世界中のいたるところに自然のかたちで存在しています。フッ化物はあらゆる食べ物や水の中にいろいろな濃度で存在しています。そのためすべての人がなにがしかのフッ化物を摂取しています。フッ化物は食べ物や飲み物、適正なフッ化物濃度に調整された水、歯磨剤、洗口剤などを通じて利用できます。これは大変むし歯予防の点で有益なことであります。不適切に使えば、軽度な白斑/歯のフッ素症の増加にもつながることもあります。このためにフッ化物の利用には、調和的のとれた使用が望ましいのです。あるフッ化物利用を行うに際しては、すべてのフッ化物供給源からのフッ化物の利用が考慮される必要があります。

健康リスク評価

 もしフッ化物が適正濃度で適切に使用されたとするならば、膨大な量の科学的検証からもフッ化物がむし歯予防にとって安全かつ効果的であることは明らかです。しかしながら、歯の萌出前の形成期間中に過剰なフッ化物を摂取すれば、エナメル質白斑/歯のフッ素症の誘因となります。かつて、むし歯予防に用いられたフッ化物レベルにおいては、白斑/歯のフッ素症はわずかの人に見られただけでした。またその変化は非常に軽度で、主として審美上の問題でした。最近の研究でも、大衆は一般的に望ましくないとされる歯のささいな変化である審美的な面に気をとめていなし、あるいは見つけられてもいないと報告されています。供給されるフッ化物の摂取レベルが注意深く管理されれば、フッ化物は口腔保健を維持するためにもっとも重要な公衆衛生手段と考えられます。

(東北大学予防歯科 志村匡代先生訳 日F会議ホームページから転載)

CDC(アメリカ疫病予防センター)声明 2002

2002.2.22

 現在、水道水フッ化物濃度適正化(水道水フロリデーション)は、アメリカの総人口の約3分の2に達している。

 今日のCDCが発表した文献では、現在、アメリカの給水人口の約3分の2がフッ化物濃度適正化された水道を供給していると報告している。 「アメリカ合衆国の水道水フッ化物濃度適正化(水道水フロリデーション)の実施状況(2000年度版)」では、州ごとの水道水フッ化物濃度適正化普及状況の最新情報を提供している。
 1992年から2000年までにフッ素化された水道水を供給している人口は、62.6%から65.8%に増加し、約1億6千2百万人に達している。

 地球上に天然に存在しているフッ素は、生涯を通じてむし歯予防に効果があることが知られている。過去数十年以上も水道水フッ化物濃度適正化(水道水フロリデーション)はむし歯を著しく減少させるのに最も重要な役割を果たしており、CDCによってアメリカの20世紀10大公衆衛生事業の一つと認識されている。しかし、むし歯は18歳のむし歯罹患率が80%であり、現在でもなお最も蔓延する慢性疾患である。

 最近の水道水フッ化物濃度適正化のむし歯予防率は18から40%と報告されており、1970年代では17歳のカリエスフリー(むし歯のない)の割合が6%であったのが1990年代では22%に増加した。

 むし歯を減少させるのに水道水フッ化物濃度適正化(水道水フロリデーション)が最も貢献していることを著名に報告しているのは2000年3月に出版された米国公衆衛生長官の口腔保健の報告書初版である。
(http://www.surgeongeneral.gov/library/oralhealth/)

 また、米国公衆衛生長官であるデビット・サッチャーが2001年12月に「水道水フッ化物濃度適正化(水道水フロリデーション)は、アメリカ国民のむし歯に関連する痛み・苦痛を減らし、むし歯の治療により学校や会社を休んだり、お金を費やしたりすることを減らすことにより、生活の質を改善するのに役立っている」と演説したことがその報告書を確固たるものにしている。
(http://www.cdc.gov/nccdphp/oh/fl-surgeon2001.html)

CDC(アメリカ疫病予防センター)声明 2006


http://www.cdc.gov/fluoridation/safety/nrc_report.htm
CDC
Community Water Fluoridation
CDC Statement on the 2006 National Research Council (NRC) Report on Fluoride in Drinking Water

CDCは、適切な給水システム地域に居住する住民にとって、むし歯予防のために安全、有効で、経済的な方法として、地域の水道水フロリデーションを推奨しています。私たちが自らの健康のために摂取する数多くのビタミンやミネラルと同様に、フッ化物は適量に摂取するべきです。水中のフッ化物の安全性と有効性に関する現在までの包括的なレビューは、水道水フロリデーションが安全で、効果的であると結論づけています。フッ化物は、極微量に、多くの水に天然の形で存在しており、米国の公共水系において1億7万人以上の人々がむし歯予防のために至適レベル(0.7-1.2 ppm)に調整された水の恩恵を受けています。

 (米国の)幾つかの水系では、至適濃度よりもかなり高いレベルの天然由来のフッ化物濃度が存在しています。2006年3月22日に公表された米国研究評議会(NRC)によるFluoride in Drinking Water: A Scientific Review of EPA’s Standardsという最近の報告書では、飲料水中に安全な最高のフッ化物濃度を記載しています。この報告書は、天然由来の高いレベルでの飲料水中フッ化物の安全性について記されていますが、むし歯予防のための低レベルのフッ化物使用については問題に取り上げていません。

 この最新の報告書は、フッ化物を含む飲料水中の全ての規制汚染物質について、権限を有する政府機関である米国環境保護局(EPA)によって、通常的にかつ定期的に見直す部分として求められました。議会権限での使命の一部分として、国民の健康を守るためにEPAは安全な飲料水の基準を設定しています。飲料水は、多くのミネラルや化合物、また微生物を含有する可能性があり、その中の幾つかの項目は、EPAの規制下で“汚染物”とみなされるものがあります。現在、Safe Drinking Water Act(米国安全飲料水法)には96種の汚染物が規制されています;なお、フッ化物は天然由来のミネラルに含まれます。
 フッ化物のレビューの目的は、小児やその他の人々の健康を守るために、飲料水中に最大限許容されるフッ化物濃度について、EPAにより設定された現在のガイドラインの適正を決定することでした。NRCの委員会は、現在の飲料水中の4ppmというEPAの第一次上限濃度目標値(MCLG)が、天然の高いフッ化物濃度に関連する健康リスクから国民を守るため、(そのMCLGを)低く設定すべきであることを見出しました。この報告書は、MCLGの適切な水準を決定するために、リスクアセスメントについてEPAが更新するように勧告しました。
 NRCの委員会は、飲料水中のフッ化物に関連した可能性のある多くの健康への影響を評価しました。NRCは、飲料水中の高濃度フッ化物の規制基準を改訂する際に、生後から8歳までに高濃度のフッ化物暴露で発現する重度の歯のフッ素症、骨折リスクの可能性、それに一生を通じて高濃度フッ化物を摂取した場合に生じる重度な骨のフッ素症の3つの有害性について結論づけました。
 この報告書は、2mg/L(ppm)以上の天然の高濃度フッ化物地域で居住する住民にとって重要です。米国人口の約0.5 %はこの(2ppmFの)地域に居住しています。また、約22万人のアメリカ人が、4mg/Lあるいはそれ以上のフッ化物濃度の給水を公共水系から受けているとEPAは推定しています。この委員会では、1ppmの水を飲用する人々に比べ、一生涯にわたり高いフッ化物濃度を飲用すれば骨折のリスクを高める可能性があると結論づけました。さらに、米国の140万人は、天然由来の2.0-3.9 mg/Lの範囲のフッ化物濃度給水を飲用しています。この委員会では、2mg/Lを上回るフッ化物レベルの水は8歳未満児にエナメル質の着色や小凹窩のある重度の歯のフッ素症のリスクを高めることを認めました。2mg/Lを上回る地域では、8歳未満児の親と保護者は子どもに低いフッ化物濃度の飲料水を与えるようにとCDCは推奨しています。2mg/L(ppm)未満のレベルでは、重度の歯のフッ素症の発現は極めて低い(ほとんどゼロに近い)ことを認めました。
 NRC報告書の所見は、水道水フロリデーションに用いるフッ化物濃度レベル(0.7-1.2ppmF)が安全で、健康であるというCDCのアセスメントと(矛盾がなく)首尾一貫しています。CDCは、さらに継続して最新の科学的な文献をレビューし、積極的に国家施策である水道水フロリデーションの質的な保証プログラムを堅持します。CDCは、フッ化物研究を、また公衆施策への効果を推進します。むし歯予防手段としての水道水フロリデーションが、安全でかつ効果的であるというCDCの勧告は存続しています。水道水フロリデーションは、現在実施のフロリデーション地域で(今後も)継続され、かつフロリデーション未実施の地域では拡大されるべきです。
 CDCは既に、中等度ならびに重度の歯のフッ素症を防ぐための幾つかのステップを勧告しています。それらの勧告は、2001年8月17日のMMWRレポート:Recommendations for Using Fluoride to Prevent and Control Dental Caries in the United States(米国におけるむし歯予防とコントロールのためのフッ化物予防の勧告)で示され、http://www.cdc.gov/OralHealth/waterfluoridation/guidelines/index.htm.でも見ることができます。さらに、第一次飲用水源が2mg/Lを上回る天然水であれば、8歳未満の子どもたちのために代替水源の使用について、以下を含めて勧告しています。

・2歳未満児のフッ化物配合歯磨剤の使用については専門家のアドバイスを受けること
・6歳未満児のフッ化物配合歯磨剤の使用はpea-sized(えんどう豆の1粒大)の量を用い、監視下で歯磨きすること
・フッ化物サプリメント(錠、液)の処方をきちんと行うこと
・フッ化物洗口を適切に行うこと

飲料水のフッ化物濃度をお知りになりたい消費者は、地方の水道設備、あるいは地方、郡、州の保健部に尋ねることができます。現在では、32の州がCDCウェブサイトのMy Water’s Fluorideを通じて、公共利用できる水系に関する情報を提供しています。

Dated last reviewed: September 26, 2007
Dated last updated: August 9, 2007
Content source: Division of Oral Health, National Center for Chronic Disease Prevention and Health

特集 健康情報の批判的吟味

健康情報の信頼性を評価するフローチャート


※C-Hは東北大学医学部(現公共政策大学院) 坪野吉孝教授のフローチャートです。

用語の説明

※チャート上の「専門家」とは高度な専門性を有する人材であり、専門性を発揮できる存在である。そのような高度な専門性がない場合には、専門家とは認めない。

※「専門性」とはある領域に関する十分な専門知識と経験である。

※定評ある医学専門誌
 ランセット・米国臨床栄養学雑誌
 ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メデシィン
 米国医師会雑誌・英国医学雑誌
 内科学アナルズ・内科学アーカイブス
 米国がん研究所雑誌・米国疫学雑誌
 (※東北大学医学部坪野吉孝教授による)

※メタアナリシスとは
メタアナリシスは、同じテーマに関する同じ研究デザインの論文を収集し、個々の論文に報告されている数値を統計的な手法を用いて1つの要約値にまとめる。こうした要約値を算出することで、批判的総説に比べて定量的な判断を行うことが可能である。

研究のデザイン
(東北大学医学部 坪野吉孝教授著書「食べ物とがん予防」から)

無作為割付臨床試験
健康人を無作為に介入群と対照群に分ける。介入群には栄養素補給剤の投与や、栄養指導を行う。対照群には偽もの(プラセボ)の投与や、栄養指導なしで経過観察を行う。両群を追跡調査して、疾病の罹患率や死亡率を比較する。
( 対象者の目安 ) 千人から数千人 ( 長所 ) 誤り可能性が最も少なく、最も信頼性の高い情報を得られる。
( 短所 ) 費用と手間がかかる。数年-数十年の追跡調査が必要。無作為割付が困難なことがある。

前向きコホート研究
健康人の日常的な食生活を質問票などで調査する。追跡調査を行い、疾病の罹患や死亡を確認する。食品・栄養素の摂取量が多い集団と少ない集団で、罹患率や死亡率を比較する。
( 対象者の目安 ) 数万人から数十万人
( 長所 ) 信頼性が比較的高い。疾病の罹患前に食生活を調査するので、栄養と疾病の時間的前後関係を正しく評価できる。
( 短所 ) 費用と手間がかかる。数年-数十年の追跡調査が必要。

コホート内症例対照研究
前向きコホート研究の参加者から血液などの生体試料を採取し、凍結保存しておく。追跡調査を行い、疾病の罹患や死亡を確認する。
疾病に罹患した者(症例)と健常者(対照)の生体試料を分析し、血中濃度などを比較する。
( 対象者の目安 ) 百人から数百人
( 長所 ) 信頼性が比較的高い。コホート研究の一部の参加者の生体試料を分析するのみでよい。疾病に罹患する前に生体試料を採取するので、曝露要因と疾病時間の前後関係を正しく評価できる。
( 短所 ) 費用と手間がかかる。数年・数十年の追跡調査が必要。

後ろ向きコホート研究
特定の要因(ダイオキシンや環境ホルモンなど)に高度に曝露した集団(産業労働者など)を対象とする。追跡調査を行い、疾病の罹患や死亡を確認する。対象集団の疾病頻度を、性別や年齢分布が等しい一般集団での期待値と比較する。
( 対象者の目安 ) 数百人から数千人
( 長所 ) 疾病に罹患する前の曝露要因を調査するので、曝露と疾病の時間的な前後関係を正しく評価できる。
( 短所 ) 数年・数十年の追跡調査が必要。個人の曝露量を定量的に評価できないことが多い。

症例対照研究
疾病に罹患した患者(症例)と健常者(対照)を選ぶ。過去の日常的な食生活を質問票などで調査し、症例と対照で比較する。
( 対象者の目安 ) 百人から数百人
( 長所 ) 比較的簡単に調査ができる。追跡調査が不要。
( 短所 ) 数すでに疾患に罹患した患者に、過去の食生活を質問するので、正しい回答がえられるとは限らない。症例と比較が可能な対照を選択することが困難な場合がある。

地域相関研究
国や地域などの集団を対象に、食品・栄養素の消費量・摂取量と、疾病の罹患率・死亡率との関連を調査する。
( 対象者の目安 ) 数集団から数十集団
( 長所 ) 比較的簡単に調査ができる。追跡調査が不要。
( 短所 ) 疾病の罹患率・死亡率と曝露要因を同時に調べるので、両者の時間的前後関係を正しく評価できない。誤りの影響を受けやすい。集団の結果を個人に適用できるとは限らない。

断面研究
疾病の有無と曝露要因を同時に調査する。
( 対象者の目安 ) 数百人から数千人
( 長所 ) 比較的簡単に調査ができる。追跡調査が不要。
( 短所 ) 疾病の有無と曝露要因を同時に調査するので、両者の時間的前後関係を正しく評価できない。誤りの影響を受けやすい。

情報の読み取る力をアップする演習問題

上記参考を読んだ上で、以下の問題をフローチャートに当てはめ、情報の読み取り力をアップさせましょう!解答は最終問題の下にあります。

問題1 2001.5.8 朝日新聞掲載の記事の一部です

コレステロール上昇を抑制
 卵の白身に「コレストロール上昇を抑える効果がある」という研究が7日、京都市で開かれている日本栄養・食糧学会で発表された。
発表したのは、 名古屋大のO.U.・助教授らとQP研究所。
 Oさんはネズミに卵の白身をえさに混ぜ10日間食べさせ、牛乳の蛋白質カゼインを同じだけ混ぜた場合と比べた。
 ネズミの肝臓から血液中に放出されるコレステロール速度は、白身の方が2割ほど遅かった。

問題2 2001.9.24 河北新報掲載の記事の一部です

ビールに抗がん効果
 岡山大薬学部のA助教授(薬品科学)らの研究グループが、ビールの複数の成分に発がん性物質の働きを抑える効果があることを発見し、成分の一つを特定した。
 二十一日、横浜市で開かれる日本がん学会で発表する。
 グループはサルモレラ菌の遺伝子に、発がん性物質のメチル化剤を加えて実験。
 通常はがんの第一段階である遺伝子の突然変異が起こるが、ビールの少なくても六種類の成分で突然変異を抑制する効果があり、その一つがシュードゥリジンであることが分かった。

問題3 2004.9.24 時事通信が配信した記事です

飲酒で乳がんリスク上昇=缶ビール1本までOK?
 1日に缶ビール(350ミリリットル)1本程度より多くお酒を飲む女性は、飲まない女性の約3倍乳がんになりやすいことが、文部科学省研究班の初の大規模疫学調査で分かった。
 29日から福岡市で開かれる日本がん学会で発表される。

問題4 米国医師会雑誌2003年6月11日号に報告された

PCBの多量曝露で、精子数が減少
PCBが混入した食用油を摂取した台湾の男性40人を20年後に調べたところ、対照群の28人と比べて、精子が少ない人の割合が高く、異常な形態の精子も多かった。台湾のグループによるこの研究は、米国医師会雑誌2003年6月11日号に報告された。

※研究デザイン 断面研究

問題5 内科学アーカイブス2003年1月27日号に報告された

睡眠不足で、心筋梗塞リスクが上昇
 米国の女性看護師 7万人(45-65歳)を対象に、 1986年にアンケート調査を行い10年間追跡したところ、
睡眠時間が8時間の人と比べて、5時間以下の人では、心筋梗塞や突然死などの発生率が 1.45倍高かった。ハーバード大学のグループによるこの研究は、内科学アーカイブス2003年1月27日号に報告された。

※研究デザイン 前向きコホート研究

問題6

脳出血の発生率は飲酒量が 増えるにつれて高くなる
アルコールと脳卒中についての35件の疫学研究をまとめたところ、脳出血の発生率は飲酒量が増えるにつれて高くなるいっぽう、脳梗塞の発生率は少量飲酒で低く、多量飲酒で高くなった。米国トゥレーヌ大学のグループによるこの研究は、米国医師会雑誌2003年2月5日号に報告された。

■コホート研究と症例対照研究のまとめ
 前向きコホート研究が19件、症例対照研究が16件

※前向きコホート研究と症例対照研究のメタアナリシス

演習問題の解答

問題1の解答
フローチャートDより、
動物実験は直接ヒトにあてはまるとは限らないので、話半分に聞いておく。


問題2の解答
フローチャートDより、
培養細胞実験は直接ヒトにあてはまるとは限らないので、話半分に聞いておく。


問題3の解答
フローチャートEより、
論文になっていない研究発表は未確定なので、話半分に聞いておく 。


問題4の解答
フローチャートGより、
研究デザインは時系列の断面研究であり、信頼性が低い。あまり断定的に受けとめることには、慎重になるべきだろう。


問題5の解答
フローチャートHより、判断を留保して、他の研究に待つ。


問題6の解答
フローチャートHの結果により、まず信頼してもよい。

用語の説明

※メタアナリシスとは
メタアナリシスは、同じテーマに関する同じ研究デザインの論文を収集し、個々の論文に報告されている数値を統計的な手法を用いて1つの要約値にまとめる。こうした要約値を算出することで、批判的総説に比べて定量的な判断を行うことが可能である。

海外のサイト

こちらには、海外へのリンクがあります。国内へのリンクはこちらをご覧ください。

WHO(世界保健機関)Oral Health Country/Area Profile Programme
http://www.who.int/en

ADA(American Dental Association:アメリカ歯科医師会)
http://www.ada.org/index.asp
http://www.ada.org/goto/fluoride/

CDC Oral Health Resources(アメリカ疾病予防センターにおける口腔保健情報)
http://www.cdc.gov/OralHealth

FDI(世界歯科連盟)
http://www.fdiworldental.org

NIDCR(アメリカ国立歯科衛生研究所)
http://www.nidcr.nih.gov

The British Fluoridation Society(イギリスフロリデーション協会)
http://www.liv.ac.uk/bfsh

国内のサイト

こちらには、国内へのリンクがあります。海外へのリンクはこちらをご覧ください。

リンクT 科学的に情報を読む力をつけるホームページ

東北大学公共政策大学院教授 坪野吉孝先生のホームページ
最新の英文医学誌に掲載された、食品、補助食品、栄養素と成人病や癌との関係などに関する疫学論文の要約が日本語でわかりやすく紹介されています。 情報の読み方もご覧下さい。
http://www.metamedica.com

リンクU むし歯予防を進める団体のホームページ

日本むし歯予防フッ素推進会議
多くの専門家がフッ化物応用推進の全ての情報を提供する全国組織です。
http://www.nponitif.jp/

子供の歯を守る会
現在、日本でむし歯が最も少ない新潟県の30年以上の実績がある団体
http://www.niinet.com/mamorukai/

宮崎県地域保健活動推進協議会
元東北歯科大学教授 矢崎先生の主催する明快な論評
http://www.geocities.jp/go_fluoridation

富山むし歯予防フッ素推進市民ネットワーク
熱血漢山本武夫先生ならではの情報が満載
http://www5.ocn.ne.jp/~motobuu

長崎県フロリデーション協会
http:// www.bekkoame.ne.jp/ha/aj0694/syui.html

Well-Being
福岡市にある健康団体、行政への研修会も行っている。
http://www.well-being.or.jp/

ウォーターフロリデーションファンド
フロリデーションという、すばらしいむし歯予防政策が、日本中の人々行き渡るようにと、活動する団体です。
http://fluoridation.de6480.net/

リンクV 熱血歯科医師のホームページ

萩原歯科医院のホームページ
町でフロリデーション実現に取り組んでいる群馬県の萩原歯科医師です。
http://hagiwarashika.jp

水道水フッ素化とむし歯予防
故山下文夫先生の残した貴重な情報の数々
http://www18.ocn.ne.jp/~yamasita

秋田県佐藤謹一先生のホームページ
http://midorishika.blog78.fc2.com/

リンクW 国が関係する機関のホームページ

厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/

8020推進財団
統計資料がしっかりしています。
http://www.8020zaidan.or.jp

リンクX 歯科医師会関係のホームページ

日本歯科医師会   http://www.jda.or.jp/index.html

北海道歯科医師会  http://www.doushi.net/top.html

日本歯科衛生士会  http://www.jdha.or.jp/

富山市歯科医師会  http://www.toyamacitydental.jp

富岡甘楽歯科医師会 http://www.tkda.jp

佐世保市歯科医師会 http://www5.ocn.ne.jp/~sasikai

リンクY フロリデーションを紹介しているサイト

水道水フロリデーション|e-ヘルスネット[情報提供]
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-010.html

水道水フロリデーションとは?
http://www.nponitif.jp/newpage8.html

フロリデーションとは ― 歯の豆知識! / 歯医者さん ネット
http://www.haishasan.net/haisha_html/care/tooth/tooth43.htm

フロリデーション(水道水へのフッ素添加)
http://www.ha-channel-88.com/husso/huroride-syon.html

水道水フロリデーションの知識(第1号)「歴史」 - 吉川市公式ホームページ
http://www.city.yoshikawa.saitama.jp/9,456,51,235.html

水道水フロリデーションの知識(第2号)「効果」 - 吉川市公式ホームページ
http://www.city.yoshikawa.saitama.jp/9,31983,51,235.html

水道水フロリデーション---松木歯科医院---高知県高知市 虫歯予防・小児 ...
http://www.matsugi.com/contents/treatment/fluorine/water_fluoridation.html

8.最も効果的なむし歯予防「水道水フッ化物濃度適正化」
http://www.f-take.com/npo-ippanchishiki.htm#ippan-08

フロリデーション (水道水のフッ化物濃度適正化) - ホワイト歯科・小児歯科 ...
http://www.do-mamoru.net/laboratory/past-labo/05_fukkabutu02.html


まなみ歯科へのリンク